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始まりは果実をかじってから  作者: 木森林檎
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始まりは果実を齧ってから

こんにちは木森林檎です。

今回から本作品の主人公とヒロインを登場させます。

この作品は王道、ハッピーエンドを目指して書いていきたいと思います。

脳内でストーリーが完成していても文字に起こすとやはり時間がかかってしまいます。気長に見てくれると嬉しいです。

それでは本編をお楽しみください。

なんだろうか。さっきまで、ついさっきまで。誰かとお喋り、というか一方的に話をされていた気がした。なんだろうか。








花神幸歳、16歳。嫌いな物、キノコ、数学、英語。苦手なもの、パリピ系女子、趣味の合わない人との会話。嫌いなもの、マスコミ、キッズ。


この世で恨んでいるもの、一向に伸びない自分の身長。



自己紹介終了。自己紹介ってこんなんだっけ?こんなマイナスな自己紹介から始まったら見てくれる人も見てくれない気がするけど……。

まあいい、さ。──状況説明状況説明



目を覚ました俺を出迎えてくれてのは真っ青な空。雲が無いから遠慮なく日光を乱射する太陽。黄金の(黄金のだと!?)木の実が成った大樹と脚立(きゃたつ)らしきもの。そしてそれらを見上げる幼げ(と言っても中学生くらい)な少女。


……綺麗な顔してるな。長いまつ毛、少し赤い頬。長めのショートカットの綺麗な黒髪。


うん。蕩れ……。


風が吹く。木の葉が舞う。

金色の実が落ちる。俺の顔目掛けて。

『あ』

ゴツッ

「ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいぁぁぁぁぁ!」

木の実は俺の鼻に落ちた。冬じゃなくてよかった。死んでだぜ。

「あ、だ、大丈夫ですか?」

「っ、大丈夫やけど。いや、おぅまじで痛てぇ」

「よしよし……」

この子天使かよ。見知らぬ人の頭撫でられるかよ。


赤くなっているだろう鼻をさすり、少女を見上げる。

なんでか分からん状況だが、俺はこの子に膝枕をしてもらっている。なんでだろう、胸が高鳴るのを感じる。いやはや、最高の気分だ。


一旦気を落ち着けて、と……。

──自己紹介自己紹介


「俺は花神幸歳。よろしく」

見上げる俺。学校とは違って名札も相手の名前を知る方法なんてないからね。名乗るしかないのさ。名刺持ってくりゃよかったよ。持ってないけど。


「私は与恵華美(あたえはなび)。よろしくお願いしますね、幸歳」

「うん、よろしく。華美ちゃん」

ごく自然に手を差し伸べる。一瞬ぎょっとした華美ちゃんをみてまずかったかと思ったものの笑顔で応じてくれた。敬語×呼び捨てってなんか蕩れるな。


「あ、左手が、その……。大変なことになっているんですけど……」

「左手?お、おぅ……」

華美ちゃんから左手へ視線を移した。

「確かに大変なことになっとるね」

「はい……」

誠に残念ながら私の愛すべき左手は、というより左腕は曲がるはずの方向と真逆に曲がっていた。しかも肘の位置ではなく、だ。

「その……。左足と脇腹は治せたんですけど、私の禁断じゃ患部を直接見ないと治せなくて」

申し訳なさそうにもじもじする華美ちゃん。

先述した通り俺はこの少女、華美ちゃんに膝枕をしてもらっているため興奮気味になっていた。恐るべきことに華美ちゃんは現在短パン。そんな格好でもじもじされると男は幸せに困るのである。


うん……。


「ねぇ」

「はい」

「禁断って何?」

「はい?もちろん禁断の果実。フォビドゥンフルーツのことですけ……ど」

一瞬キョトンとしてしまったという顔をする華美ちゃん。

まあ、俺も大体の状況は把握出来た。


「もしかして外の世界から来られましたか?」

「うん。外の世界から来たみたい」




そもそも俺が住んでた世界に、五体満足でない患者を一瞬で完治させてくれる人はいないだろう。尊敬するブラックジャック先生でも1週間くらいはかかるだろう。


華美ちゃん曰く、今日、村のお祭りで必要な木の実を取りに来たら血だらけの俺が倒れていたらしい。左腕はあらぬ方向へ向き、左足は千切れ、脇腹が吹き飛んだ俺を。今も残っているがしっちゃかめっちゃかに飛び散らした血のおかげで相当にえぐい図であったろう。まあ、なくてもえぐい図てはあったろう。その後2、3度気絶しそうになりながらも俺を"実の能力"とやらで治してくれたそうだ。この黄金の実を食べると特殊能力、ここでは禁断の果実、フォビドゥンフルーツと呼ばれる能力を得ることが出来るらしい。そして、この実を食べた能力者達は食す者、"イーター"と呼ばれるらしい。うん。よく分からん。


まあ、俺の周りにはえげつない量の血液が飛散してるし足やら脇腹やらはほんとに持ってかれてたみたい。つまり疑いようがない。能力者が存在することを嫌だとしても認めざるを得ないということだ。嫌なんか思わんがな。俺もついに異世界デビューか。長かったな……。


「すみません。私じゃ患部が見えてないと治療出来なくて……。左腕は症状というか、骨が折れてるっていう状態の確認はできるんですけど。治すべきなのは折れている骨で、その骨自体が見ることが出来ないので……えっと……」

「いや、うん。イーターについても華美ちゃんの実、禁断の果実(フォビドゥンフルーツ)のこともあらかた分かったよ」

ふつー分かるもんじゃないがパニクってなければ案外飲み込めるな。オタクでよかった。

この腕はお医者さんに見せなきゃなんないみたいだな……。異世界にもお医者さんはいるだろうしまあ、大丈夫か。





「外から来たばかりの人と会うのは初めてです。村にも来られる人もいるはいるんですけど」

「へー、やっぱ他にもいるんだ」

「はい。えっと……色々説明した方がいいですよね?」

「うん、お願い」

「分かりました。上手く説明出来る自信はありませんから。分かりづらいところや分からないところがあったら言ってください」

「うん。ありがとう」






「さっき私は幸歳の住んであ世界のことを『外』と表現していましたけど、実際としてはこっちの方が外の世界に位置します。この世界はですね。うーん、簡単に言えば幽霊だとか行方不明だとかで元の世界に留まれなくなった、死亡したが成仏できてなくて魂がさまよってたり、生きてるけど行方不明者、もう見つからないみたいと故人のように扱われた人みたいな存在を生存を否定されてしまった人達が住んでいるんです」

「あー、うん」

分からなくはない。


「判定は難しいし、誰がその判定をしてるのかは分からないんですけど、大体の人は行方不明状態、広い意味で言ってしまうとご遺体が幸歳がいた世界で見つかっていない、生きてはいるけど絶対に救出出来ないような場所にいるとか、そんな感じの人がこっちに送られて来るみたいです。元の世界で亡くなられている人はこっちで新しい体を、亡くなってはいないけど行方不明扱いで世間では生存を否定的に見られている人はそのまま体を持ってくるみたいです。分かりませんやね……」

「いや、大丈夫。多分大体は分かったよ。読者には俺の方から箇条書きででも説明するから」

「読者?」

「おっと失礼。まあ俺の場合は後者の方かな」

「そうですね、私が見つけた時にはボロボロの状態でしたし。もし亡くなっていたなら綺麗な体で見つかったと思います」

つまり俺は異世界転生、ではなく異世界転移したって訳になるな

良かった。死んでなかった


ここで説明

・俺が元いた世界で行方不明扱いになる→この世界へ(誰かによって)送られる

・元の世界で死んだ状態で行方不明扱いになった場合︰この世界に転生する

・元の世界で生きているが行方不明扱い(かつ、絶対に見つけられない場所で行方不明になった時⦅多分太平洋のど真ん中とか、誰も訪れるない辺境の島国とかで行方不明になった場合だろう⦆)︰この世界に転移する

大体こんな感じかな。確かに分かりずらいし説明もしづらいな。これでも伝わるか分からんし。


「まあ、幸歳のいた世界とこの世界の繋がりは大体こんな感じです。次はこの世界の大きな特徴です。いきなりなんですけどこの世界の人は半分不老不死です」

「不老不死?半分?」

いきなりだなほんと。異世界への転生転移も驚きだけど、半分不老不死だなんて///。いや、訳分からんな。

「はい、訳が分からないと思いますが、この世界の人はその人がもつパフォーマンスを最大限に発揮出来る状態までしか成長、老いません。そして第三者からの危害を受けない限り死ぬことはありません」

なんか本当凄い訳の分からんことになってんなこの世界


「ん?じゃあ、転生、転移した人がおじいさんおばあさんだった場合、その人たちはどうなるの?」

「そのままですね。もしもその年齢よりもさらに老いている状態が最高のパフォーマンスを出来る状態なら歳をとると思いますよ」

「なるほどね……。そいで、第三者からの危害って言ったけど、その第三者から与えられる死ってのは───自殺と老いでの死を除くほとんどだよね?ほら、誰かに殺されるとかだけじゃなくて病気でだとか、災害だとかに襲われての場合も」

「原因が自分にない場合は総じてだと思います。すみません、そこら辺はあまり分かりません」

「OKOK。うん、大丈夫。多分支障はないと思うから」

「じゃあ、あとは実の話ですね、この実、禁断の果実(フォビドゥンフルーツ)にもまだ色々ありま……「ねぇ、華美ちゃん。なんか聞こえない?」


なんかおかしい。なんて言うかな、凄い揺れてる気がする。

もちろん華美ちゃんが前後左右に揺れてるって訳じゃないぜ?

「確かに……地震と言うか地響きと言うか……」


次の瞬間


『_______________!!!??』


いや、もう訳の分からんくらいでかい雄叫びに耳を殴られた

咄嗟に耳を塞ごうにも塞ぐ腕が1本しかなかったのでまともに喰らうしかなかった


「く、熊!?」

「やべぇ、ここ熊出んのかよ。なんだか手負いだけどよぉ」

何を冷静に言ってんだ俺は


林の中から飛び出してきたのは2mはありそうな熊だった(なんか一瞬2mlに見えない?)。血だらけで、息を切らしており、目は白目を向いていた。この状況に置いて俺が把握出来たことは目の前にいるそいつがツキノワグマでは無いこと、そして自分たちは笑えない状態にいるといことだけだった。てかよく漫画とかアニメの描写で白目むいて襲ってくるヤツらいるけど見えてるの?


いやー、それにしてもクマ。こいつ思った以上に高い声出すんだな……。……いや、やけん冷静すぎやわ俺。


「まずい」

熊は俺たちに向かって飛びかかってきた。そう2mで数百の体重を誇る巨体を宙に舞わせて来たのだ。

まあ、普通に走ってい寄られるよりはマシだった。

「あ、幸歳!」

右手で華美ちゃんを突き飛ばす。膝枕されていた状態から無理に突き飛ばしたから俺も華美ちゃんも変な体勢で吹き飛んだ。まあ、所詮高校生の力、そう遠くまでは押しだせなかったがな。

「乱暴してごめん、華美ちゃん、木の後ろに隠れてて。逃げちゃダメだよ。逃げたら追われるからさ」

あと死んだふりもダメだったかな。


『グブッ、ガアゥッ』

親父が言ってたな。くまと会った時には──

「うおぁぉおぉ!!!うぇあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

取り敢えず威嚇して、相手の方が自分より強いって思わせないといけないって。それが合ってるかは知らんが取り敢えずやるだけやろう。

50mも離れていない距離だけど、1歩前に出てまた叫ぶ

「うおぁぉおぉぉぉおぉ!!!!えぁぁぁぁぉぉ!!」


ありったけで叫ぶ。そして睨む。


いや、まあ、相手は気の狂った熊。怖いものなんて知らねー。

いやー、まずい。異世界と言っても俺にはなんの能力もねーんだ。追っ払わないと行けないのに……。

『フゥゥゥ、ハウウクウ!!!』


そして意を決したように突っ込んでくる熊。今回は走りだった。

熊は100mを8秒くらいで走れるらしい。つまり50mくらいのこと距離は単純計算4秒5秒で詰められるということだ。俺も瞬発力はそれなりにある方だとは思うが野生のスピードには敵わない。

───(かな)うはずはねー。


熊は目障りだったのか、俺のボディラインから不気味にはみ出た左腕を噛みちぎった。噛みちぎったのだった。

「──はっ!?あぅ!?_______________」

吐き気を催すほどの痛みに跪きうずくまる。わけがわからん、くそが、うそだろ───


「な、な、何してるの!!」

黄金の実を入れた籠を投げつける華美ちゃん。

「やめて!」

『ハアゥッ』


当たりこそしなかったが熊は俺から集中を華美ちゃんの方へ向けた。


やばい、華美ちゃんが狙われる。まずい……本当にまずい!まずい!


取り敢えず走り出す、距離はほんとにそこまで離れていないが、体を起こしあげるのに時間をロスし過ぎた。

ゆっくりと慎重に華美ちゃんに歩み寄る熊。さっきは怖いもの知らずと言ったがやはり野生の勘はあるのだろう警戒はするようだ。


まずい、やばい、どうすればいい、考えろ、考えろこの馬鹿野郎。どうするんだ。どうするんだ。

どうする、どうする、どうする────


走ると言っても左手の痛みで走れているようなものではないふらふらな足だったがこのふらふらの足も役に立つ。いいもんに当たった。

「はっ──





『カシュッ』


一口で半分ほど、りんごのような形の木の実を齧る。

落ちてたもん食べるなとか言うなよ。緊急事態だ。

種まで喰うなとか言うなよ、緊急事態だ。

齧った面にはどこから浮き出たのかは分からない、分からないが文字が浮き出た。




地面を思いっきり踏み込んでとんでもない速度で距離を詰める。

まあ、制御なんてできねーが。

「こんにゃろぉぅがぁぁぁぁ!!!」


声に驚いたのか振り向いた熊の鼻っ面を思い切り蹴り込む。思いっきり。

『ブファウ!』


全力で蹴り込んでも所詮は体重50後半の俺じゃ、と思ったがスピードも相まって熊はぶっ倒れた。結構効いてるみたいだな。

「熊は鼻が弱点って聞いたことがあるけど、まじみたいだな」


「ぁぁぁう、幸歳……。腕、腕大丈夫?待って、今治すから……」

よろめき近寄る華美ちゃんを片手で抱きしめる。

「ごめんね、華美ちゃん、2重の意味で。怖い思いさせた。本当にごめん。」

「そんなことは大丈夫です。でも幸歳……」

「俺も大丈夫だからさ。まだあいつにトドメさしてないから、その後にお願いしていい?」

頷く華美ちゃん。その頭をくしゃくしゃに撫でる。サラサラな髪。


……セクハラやないぜ。


せめてものハンデだ、武器使わせてもらうぜ。木の実を成らしていた大樹は木の柵で囲まれていた。それを叩きおって武器を作ってみた。


図画工作には自信があったのだが。えっと…剣というか長い棒状のものを作ろうとしたんだけど……。だがまあ、下手くそな折り方したからだろう。トンファーみたいになってしまった。


『ウガオゥ!グウォゥ!!!』

「作り直す暇はねーみたいだな」

熊の渾身の一撃。が、が俺の禁断の果実(フォビドゥンフルーツ)の前じゃ──

その一撃を避け、腰を落とし思いっきり腰を入れて、体勢の崩れた熊の横腹に


「っっしゃあ!!!」

一撃をかます。殴る時は殴った後の拳を引く動作が大切らしい。


吹き飛びこそしなかったが足をたどたどとふらつかせ、ドオォンと地響きを立て背中から倒れた。

一撃で倒す気はなかったんだけど……。奇跡的に急所やらツボやらに直撃したらしい。


「奇跡的やな、気絶してくれたぜ」


「うぅ……」

泣きじゃくる華美ちゃんが寄ってきた。

「あぁ、ごめん、華美ちゃん。怖い思いさせたほんとに。それに庇ってもくれたし。本当にありがとう」

ポカポカと腹あたりを力なく殴る華美ちゃん。


「うぅ、う、腕を……腕をみせてくだい……」

「あぁ、ごめんなさい。お願いします」

泣きじゃくった華美ちゃんに腕を見せる。

アドレナリンだかなんだかで痛みも気になってなかったが(このレベルの痛みでもどうにかなるのか?)確かに当たり一体血まみれだったし止血をしないとまずかった。手を噛みちぎったのは熊で、それが原因で出血多量になったら死ぬだろうし。熊も第三者扱いだろうし。


この世界に来て直ぐに隻腕になるなんてな。まあいっか。未来悟飯みたいな男を目指そう。隻腕の戦士。たったりひとりで強敵に立ち向かう男のあこがれのような戦士に。


「治りましたよ……」

「あぁ、ありがと、う!?」

治りました。と言われましたが本当に治されてると思わなかった。俺は治すという言葉を傷口を塞いで止血してくれるって意味だと思っていたが。華美ちゃんは腕を、肘から下の噛みちぎられた部分を見事に治してみせたのだ。でもまあ確かに吹き飛んでいた足を治してくれていたと言うし驚くのが遅すぎたのだろう。

「凄すぎる。すげーよ華美ちゃん……」

「禁断はステージやエディションなどでランク付けされています。私の治療はステージもないやつなんですけど。取り敢えず幸歳の禁断も、えっと……」

「神経」

「神経……ですか。創造系統でも操作系統でもないですね。」

キョトンとする華美ちゃん。

「珍しい(たぐい)ですよ。で、その神経の禁断も使い続けたり、精度を上げると意味不明な能力を得ることも出来ますよ。」

「へー。禁断ってすげーな。あ、華美ちゃん本当にありがとうね。このまま行くと俺は人造人間との戦いで命を落とすところだったよ」

「幸歳はキカイダーに何かするんですか?」

「流石の俺も正義の味方に目をつけられるような行動には出ないと思うけど……」

てかキカイダー分かるの15の女子。

ん?キカイダーなんで知ってるの?


「ねえ、華美ちゃん。華美ちゃんって、その聞きづらいんだけど、なら聞くなって思うかもしれないけど。あの、華美ちゃんも元は俺がいた世界にいたの?」

「あぁ、いえいえ私はこの世界で生まれましたよ。母は早く亡くしましたけど。それにお父さんが誰かも知りませんけど」

「悪い、やっぱ聞かない方が良かった」

申し訳ないこと聞いてしまった

じゃあ聞くなアホ。


「いえいえ、元からこっちで言うつもりでしたけどタイミングが分からなくて。今この世界の大半の人はこの世界で生まれてきた人達ですよ」

「ほー、そうなんだ。人口増え続けない?それ」

「この世界は人間の子供が産まれる確率がものすごく低いんです。だからあまり人口は増えないんです」

「へー」


「そういや、禁断ってどうやってその、発動するの?」

「好きな時に発動出来ますよ。言わば体の一部みたいなものです。無意識に出てしまう人や暴走してしまう人もいますが」

「あ、確かにさっきも想像というか、頭で指示を出したら発動できたしな……」


「それと能力自体と進化、成長は想像力に依存します。それがさっきのステージとエディションってやつです。連想ゲームを用いるのが最適ですよ」

「連想ゲーム?」

「マジカルバナナの方がかりやすいですかね」

「あーね。神経と言ったら運動神経、見たいな?」

語呂わりーな。

「そういう感じですね」


「取り敢えず、禁断の果実はなんとなくで操ることができます」

「なんとなくか……。まあ、なんとなくとか凄いさじ加減難しいよな」

言葉じゃ表せないものはやっぱりあるな。


んー。神経と言えば、他にも感覚神経とかあるな。感覚神経といえば五感。五感か……。


目を瞑り、耳を澄ませる。聴覚……






「……。はぁ……」

「どうしたんですか?ため息なんかついて」

「──またなんかこっちに来てるよ」

「えぇ……」


次の相手は誰ですかね。熊に勝ったんだから粗方の相手には勝てると思いますが(まだ、戦うか決まってないけどね)。

金属が触れ合う音。そして軽快な足音が、2つかな……。



まあいい。さあ、この熊殺しの幸歳が相手したるよ。どこからでもかかって聞きな。あ、あの熊まだ死んでないから後でどうにかしないと……。




今回はこれで終わり。次も暇があったら聞いてくれ。


ご精読ありがとうございました。

我ながら主人公の最初の敵を熊にしたのはよく分かりませんでした。この話の粗方の流れはもう数年前から完成していたのですが、主人公がいきなりチートでどうすんねんと思いまして。なら取り敢えず小手調べに野生動物を当てて見ました。

いやはや、見事な勝利でした。これからも彼には頑張って欲しいですね。

みなさんもこんなレベルかよなんて思わないで彼等の成長を見ていって欲しいと思います。

次回も見ていただけると幸いです。

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