第5話 茶色い絵の具のチューブ
「ん"に"ょほぉぉぉ"ぉ"!!主様はわらわと子供を作って欲しいのぉぉぉ"ぉ"!!」
ネイルはそう宣言すると秀吉に襲いかかり、ベッドに押し倒した。
「主様〜、主様を見てると、わらわの心とあそこがキュンキュンするんじゃぁ〜」
欲情に飲み込まれたネイルは、汗なのか汁なのか分からない体液を垂れ流しながら、秀吉に抱きつくと、秀吉の耳を甘噛みした。
今の秀吉のステータスでは、ネイルの圧倒的なパワーに抗う術は無い。
秀吉はアポロが2つ押し付けられる感触を感じながら、思わず叫び声をあげた。
「あああああああああああ!!!痛い痛い痛い痛い!折れる!折れるって!マジで折れる!!」
理性の失われた高ステータスのネイルのハグは、ステータスの低い秀吉にとって、もはやただの暴力であった。
「かはっ…!(息が…できねぇ…!)」
肺を圧迫された秀吉は、呼吸が阻害され、脳に酸素が送られず、失神した。
10分後…
「…う、うーん」
「主様、お体は大丈夫かのぅ…取り乱してすまなかったのじゃ…」
「あ、ああ…。…あれ、何かここすげー臭くない?」
「…何のことじゃ?気のせいじゃろ。…それより、冒険者ギルドへ行くのじゃ!主様はまだ冒険者ギルドへの登録はまだじゃろ?試験に合格して、ギルドに登録すると、税金が免除されるのじゃ!どうじゃ、すごいじゃろぅ?」
ネイルは何かを隠すようにそう言った。
「いや…やっぱり臭い…。あっ、もしかして俺…漏らしてた?」
「…」
人は失神すると全身の筋肉が弛緩し、もし大腸に便が溜まっていた場合、漏れ出てしまうことがある。
秀吉は、失神する前の便意が嘘のように無くなっていたことに気付き、確信した。
「ネイル、本当のことを言ってくれ…」
「…!!」
何も言わず、俯いていたネイルだったが、秀吉の真剣な眼差しを見ると、せきを切ったように言葉が溢れ出した。
「わらわのせいなんじゃ!わらわが、わらわが!わらわが我を失って抱きしめたから!主様、ごめんなさいなのじゃ〜!」
ネイルは泣きながら、謝ってきた。
秀吉は、ネイルの圧倒的な力で締め付けられ、茶色い絵の具のチューブのごとく、中身をひり出されてしまったのだろう。
「気にするな。それに、下の処理をしてくれてありがとうな。」
「…!!主様!うわぁぁぁぁん!」
人は、漏らした時に、1番かっこいい表情になると言われているが、この時の秀吉もまた、顔だけはかっこよかった。
「気を取り直して、冒険者ギルドに行くか…!」
「ぐすん…ひっぐ…!………うむ!」
ネイルは涙を拭うと、秀吉と共に冒険ギルドへと歩き出した。
秀吉とネイルは、どちらから言い出すこともなく、自然に手を貝殻つなぎにして、冒険ギルドへと向かった。