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第2話 ドラゴン

そこに立っていた、いや、浮いていたのは、2つのツノと翼、そして尻尾を持った赤い髪の少女であった。




「ふむ、人間同士の争いには興味は無いのじゃが、そこの男に確認したいことがあるからのぉ。助けてやろう」




硬くて丈夫そうなツノや翼とは裏腹に、華奢で柔らかそうな少女は秀吉のそばへ降り立った。




「じゃけど、わらわは回復魔法を使えないんじゃ…。すまぬが、原始的な手法で止血処置だけさせてもらうのじゃ…」




少女はその細い腕で秀吉のズボンに手を伸ばすと、ズボンを抑えていた紐をほどき、するりと一気に抜いた。


秀吉は、出血多量で意識を失いそうな中、少女に疑問をぶつけた。




「な…なぜ俺のズボンの紐を…?確認したいことって俺の下半身のことかい…?」


「黙っておれ」




少女は紐を秀吉の血が出ている腕の根元に巻くと、強く縛り上げた。


すると、どくどくと漏れ出ていた秀吉の腕の出血が止まった。




「ひとまずこれで止血完了じゃ。町の回復術師の所まで持つかは分からんがのぉ」


「フンッ!」ガキィン!




ゴツい男の不意打ちだ。




「チッ、わざと時間を置いて不意打ちしたが、なんて防御力だ。やはり貴様、竜人だな?わざわざこんな田舎まで人をさらいに来たかいがあったぜ!」


「やめておくのじゃ。わらわはそこらの竜人とは違う」


「だが…、くくく…。残念だったな…。貴様は本当に運が悪い。俺の剣はエンチャント持ちでな、「ドラゴンまたは竜人に対して300の固定ダメージを与える」効果がエンチャントされているんだよ!貴様の防御力がどれほど高くとも、最低301のダメージが与えられる。つまり、数発殴れば貴様のHPは0になり、無様に気絶するってことだ!」


「…」


「驚いて声も出ないか!ククク…貴様が次に目覚めた時は檻の中さ、せいぜい楽しい奴隷ライフを送るんだな!ウワハ!ウワハ!ウワハハ!ウワハハ!」




ゴツい男は突然、アニマル浜口のような笑い方で笑い始めた。




「運が悪いのはお主の方じゃ…。その剣は…王都のSランクギルド「ドラゴンスレイヤーズ」のものじゃな?」


「ほぅ、よく知っているな」


「わらわと彼らには因縁がある。なぜドラゴンスレイヤーズが対ドラゴンのエンチャントを持つレア装備を大量に所持していて、ギルド員に配れるのか、知っておらんじゃろ?」


「地下の古代遺跡を漁ったり、それこそ強いドラゴンを倒して、その魔石を触媒にして武器を作っているんだろ?」


「それもあるじゃろうが、違う。お主のギルドのギルドマスターが、色恋営業で竜人の乙女達を騙して、素材にしておるのじゃ」


「くくく…そこまで知っているとはな…」


「確かに竜の血は強い者を求める。強ければ強いほど心が惹かれてしまう。そして、お主のギルドマスターは人間にしては強い。じゃが、それを利用して乙女の純情を弄ぶお主のギルドマスターは許せんのじゃ」


「許せないならどうする?竜人なら皆この剣の前にひれ伏すのさ!お話は終わりだ!死ね!」ガキィン!ガキィン!




ゴツい男は少女に剣を何度も振り下ろした。




「あと何発持つかなぁ!?ウワハ!ウワハ!ウワハハハ」ガキィン!ガキィン!


「ステータスオープン…」


「ありがてえ!わざわざ残りHPを見せてくれるのか!?」




少女の前に現れた透明な板にはこう書かれていた。


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



レベル【248】


HP 582347/582347

MP 3421/3421


名前:ネイル

種族:ドラゴン



基本ステータス:

体力 【435】

力 【258】

魔力 【56】

物理耐性 【425】

魔法耐性 【388】


スキル:飛行、雷魔法Lv5、風魔法Lv3



ユニークスキル:

ドラゴンリカバリー(毎秒最大HPの1%のHPを回復する)


ドラゴンオーラ(最高で最大HPの20%分のダメージを吸収できるオーラが体を覆う。オーラは1秒ごとに1%修復される)


ドラゴンブレス(口から火を吹き出し、魔法攻撃扱いでは無い炎属性ダメージを与える)


ドラゴンスーパーセル(天候を操作し、巨大な積乱雲を作り出す。また、積乱雲の影響下で雷魔法と風魔法の威力が大幅に上がり、mp消費が無くなる)


ドラゴンチェンジ(人間の姿に変身する。人間の姿の時、基本ステータスが下がり、ドラゴンブレスとドラゴンスーパーセルが使えなくなる。)


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓




「おわかり頂けたじゃろうか…」


「…」




剣を振るうのをやめた男は、少女が出したステータスを見つめたまま。動かなくなってしまった。




「301ダメージ、今の所全部ドラゴンオーラに吸われとるから…。オーラが無くなっても体力は毎秒5800くらい回復するし、そもそもオーラも毎秒1000ちょっと回復するんじゃ…」


「…」


「あとわらわ、竜人じゃなくて、ドラゴンじゃから…。お主のギルドマスターも多分、わらわにかかれば瞬殺じゃよ…。許せないだけで、王都までお仕置きしに行くの面倒なだけじゃから…」


「…」


「じゃあの…」バァン!




少女が男に触れると男は一瞬震えた後、ばったりと倒れてしまった。雷魔法を使ったのだろうか。




「あの、助けていただき、ありがとうございます!」




突き飛ばされていた少女と倒れていた男は、今のやりとりの間にだいぶ回復したようだ。




「私の名前はモモです。実はこの近くの町の領主の娘です」


「申し遅れました。私はこちらのモモ様の執事をしておりますセバスチャンと申します。この度は私とモモ様を助けて頂き、誠に有難うございます」


「うむ、わらわはドラゴンのネイルじゃ。ところで、お主らの町に回復術師はおるかの?」


「はい、おります。ただ、ここから街までかなり距離があります…彼が持ち堪えられるかどうか…」


「わらわに任せるのじゃ、今からドラゴンに戻ってお主らを運ぶから、舌を噛まないようにだけ気をつけるのじゃ」




ネイルは光に包まれると、身の丈50メートル程の美しい赤色のドラゴンになった。そして秀吉達と秀吉のちぎれた腕を手のひらに包むと、加速で潰されないようにしながら街へ向かった。


街の上空からはネイルは人型に変身し、風魔法を使って3人と1人を街へ下ろした。




「王都だったら結界が張ってあるから、こうはいかないんじゃがな」




治癒術師の所へ向かい、治癒術師は秀吉にヒールと上級ポーションを使った。秀吉のHPと顔色は良くなり、腕も奇跡的に繋がった。


途中で心臓が止まったが、ネイルの雷魔法で息を吹き返した。

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