第74話:第二番目の騎士副隊長トム・ヒート
ここは第七階層『破壊の闘技場』
サリアは不安でえ押し潰されそうだった。
ここで、来る相手をじっと待っていた……。
そして登場の鉄格子の門が上がった。
「来た………」とサリアはいつもとは慎重な雰囲気で呟いた。
そして現れたのは、第二番目の騎士【副隊長】トム・ソシアル……。サリアにとっては実の父…そして少しあこがれていた父だった。
昔から伝説の勇者の話をしてくれた。
「お前も…破壊神の手下だったのか…」とトムは矢を抜き、弓を構えた。
お前……なんて………親子喧嘩でしか言わなかった…。
もう、私は敵なんだ……。
サリアはもう心に決めた……。
「手下なんかじゃない……仲間…だよ…お父さん」サリアは弓を強く握り、目を瞑った。
誰よりも父を思い、その意思を都合と弓を極めてきた……。
自分もいつか勇者にと………子供の頃から的に矢を何度も何度も狙った……。
真ん中にだんだん当たるようになると、標準や構え方…矢を引く力の加え方が体に自然と馴染むように……。
自分で納得いくようなものを何度も何度も……お父さんが教えてくれたのは最初の基礎だけ……そこから自分流のものを、ゼロから創った……。
そう……私の中にあるこの力が……。
今だ……私の強さを………。
サリアは目を開き、戦いを決意した。
すると地面が凍り付いた。
光氷弓の属性は光と氷…氷は範囲に凍り付く『氷の大地』、地面から『氷の柱』を突き出すことが可能だ。
『氷の大地』は近接戦でも十分に役に立つ…常に大地に侵食しているため…そのフィールドに入ったら足を取られる…。
そして『氷の柱』で遠くからでも攻撃可能だ…。
「小賢しい…」トムは矢を放った。
その矢は光を纏い、サリアに向かってきた。
目に追えるスピードだったのが幸いだった。
あれも神器……。
サリアはスレスレで矢を避けた。
するとトムは弓を握り動かしていた。
その瞬間、避けたはずの矢が後ろから向かってきた。
そんなっ!
「くっ……『氷の柱』!」サリアは氷の壁を作り、向かってきた矢を防いだ…。
彼の能力は放たれた力を操ることができる。
だから避けたはずの矢が返ってきたのも理解することができる…。
「以外と厄介だけど…私も似たようなことができるから……」
矢を防ぎ、サリアは矢を充填した。
トムも同時に矢を充填した。
二人は睨み合った。
放たれた矢は操れる……よし………。
そしてサリアは矢を放ち、少し遅れてトムを矢を放った。
緊迫感の中、2つの光の矢がぶつかり合い、周りに光のエネルギーが広がった。
サリアが放つ矢は光属性でどちらも一緒だ…。
するとトムは瞬時に次の光の矢を放った。
サリアはまたも氷の壁を作り、光の矢をそらした。
矢をそらすこともできる……だったら私に必勝はある!
だが、光の矢はスピードを緩めることなく、こっちに向かってきた。
まだか……。
「『氷の壁』!」自分の周りに氷の壁を作った。
すると光の矢は氷の壁に跳ね返され、空中で散った。
最終的には氷の壁だな……。
その瞬間、トムは弓矢を向けた。
熟知としてはトムの方が上だ…だから矢の充填も早い……。
サリアはトムのことを見ることはできない状態だった…だが、氷の壁越しからもわかることがあった。
トムは5本の矢に光の力を溜めていた。
その矢の先はだんだん光が強くなった。
これは…ヤバいな……。
サリアも矢を充填した。
氷の壁越しでも光の輝きが強くなり、直視できなくなるほどになった瞬間、トムが5本の矢を放ち、操った。
矢に宿っている力は操られたことによって増大されていた。
5本の矢は氷の壁を囲むように方向を変え、氷の壁に直撃した。
ガシャーン!
氷が砕け、破片が飛び散り、サリアが立ち上がった…。
「『複数の氷の柱』!」サリアは一列に複数の氷の柱を出した…。
「これが、私の全力!」サリアは力一杯、矢を放った。
物凄い衝撃とともに放たれた光の矢は氷の柱に通り、火力が増加した。
そして……ズドーン!
トムに見事直撃した…。
「はぁ……はぁ……」と疲れた様子でサリアはトムに近づいて行った。
トムはさすがに重症を負っていて…膝をついていた。
「これが…お前の全力か…成長したな…サリア……」トムは一瞬、マインドコントロールが解けてこの言葉を発した。
サリアはその言葉を聞いて、自然に目から涙がこぼれた。
「ありがとうございます…お父さんにそう言われることを願って今まで修行をしてきたから……」
トムはサリアの表情を見て、笑みを浮かべ、その場に倒れた…。
サリアは少しの間その場から動けなかった…。
そして涙を拭き、水晶を取り出し、レイムに連絡した。
「こちらサリア…副隊長トム・ヒート行動不能にしました…任務完了…」
「ありがとう、こちらも終わったよ…ゆっくり休んでね…」
通信は終わり、サリアは出口に向けてゆっくりと歩き出した。
これも、一つの成長となった………。




