第69話:あとの者達
無事、帰還したレイムはロナをつれて光の国へと向かった。
「ロナ!分かってると思うけど…口出しはするな!」と転移中にレイムはロナに言った。
レイムも守護者達も手紙を送ってきたラウルんい怒りを感じてる…。
もし、ラウルがいい加減なことを言ったら、レイムは戦闘になるかもしれない……。
そしてエレクシア城、最上階に二人は転移した。
「ラウル様…あの以来の結果ですが………氷結の魔王は復活していました……あの傷では少しの間は悪さはできないでしょう……」とレイムは流れで、魔王を倒したと報告した。
「そうか……んっ…あの傷では………まさか勝ったのか………」と声を震わせ、レイムに問い掛けた。
「そんなことはどうでもいい…。その前に、情報が足りない大地に我々を送り込んだこの責任は果たしてもらうぞ……。今度調査などしたいだったら自分の部下を使って……じゃあ報酬は高額だから……」とレイムは言うとロナがラウルのデスクに請求書を置いた。
この請求書は魔法が付与されているので、そこにお金を入れないと標的に精神障害を起こされると言うもの…解除するには魔法を付与したものだけだ……。
「じゃあ結果報告はこれでいいね……」とレイムは後を去ろうとした時、あることが気になった。
「そういえばいつもだったら、隊長と副長がいるはずだけど今日はいないの…」と扉の前にいる大隊長と副隊長がいなかった……。
「あぁ…急に数日前調査へと向かったのだ…今も光の騎士達のほとんどは遠出をしている…この本部にいるものは5人くらいだからなぁ…」とラウルの様子から深い事情はわからないらしい…。
だが、おかしいな……これはラウルが知っていなくてはならないことなのに……。
まさか…無断で………一体どこに………。
まぁ、私には関係ないけど……。
今度こそレイムは帰ろうとした……。
その時だった。
ロナが水晶を取り出し、どこかに連絡を取っているようだった。
「まずいです!………レイム様!領域周辺に何千もの影がまっすぐ領域へと向かってるという情報が…」と大変な情報だった。
つまりは襲撃か……。
だが、あり得ない……我が領域であるディスラクシェント領域に襲撃しようとするものなんて魔王クラスしかいないはず……。
それ以外は全滅している……。
そして何千人の影ということは、まだ相手の正体がまだわかっていない…。
「何だと!……すぐに戻るよ…」レイムはラウルに礼をし、ロナとともにテレポートで領域に戻った。
そしてあの後氷結の魔王は…。
「ここか……久しぶりに来たな………」
氷結の大地に二人の人影があった。
「魔王様…この魔力…」フィナは魔王にそう呟いた。
「そうだな…私が対処する…少し下がっておれ…」相変わらず幼い姿で王様のマントを羽織り、頭には黄金の冠に手には黄金の杖を手にしていた。
それは、恐らく神器だろう……。
耳をすますと微かに唸り声が聞こえた。
「破ぁぁぁ壊ぃぃぃ神ぃぃぃんっ!」氷の瓦礫の中からレミナスが出てきた。
まさか、あの破壊の力をくらっても動けるなんて、さすが最古の魔王だ…。
「久しぶりだな…レミナス…」とエマは気軽に話しかけたが、レミナスに反応はなかった。
「じゃぁぁぁぁ!まぁぁぁぁ!をぉぉぉぉ!するなぁぁぁぁ!」レミナスはランスを大地に突き刺した。
「これは、目を覚まさせないと……」
すると広範囲に亀裂ができ、氷の欠片があり得ないほどに高く飛び出し、そのまま空中に浮遊した。
この技は、広範囲に氷の破片を散らばし、その破片一つ一つが氷属性の大爆発を起こす……『氷結・大爆発』
全属性種族に体に凍り付かせる…この技を無傷でいられるものはその上に君臨する大魔王だけだろう。
「まさか…初手から大技とは……」エマは目を閉じた。
すると周りに5つの赤い十字架のようなものがエマの周りを回っていた。
これは、遠距離攻撃や防御のできる…レイムで言うなら破壊の翼のような役割だ。
その名も『紅蓮・十字架』
レミナスと戦うのはランキング戦以来だ……。
そしてこの氷結の大地はレミナスにとっては独擅場だった。
レミナスにとってはこの大地が武器となりエマにとっては大地が敵となっている。
エマはそのことも考えて、高い位置まで浮遊した。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」レミナスは更にランスを地面に押し込んだ。
すると宙に浮いている氷の欠片一つ一つに魔法陣が展開され、大爆発が起きた。
その爆発は巻き込んだものを凍り付かせることができる…。
だが、エマの周りにある5つの赤い十字架がその効果を防いだのであった。
これなしではエマでも薄い氷が体に張り付いて動きが鈍くなるだろう…。
さすが、『氷結・大爆発』だな……。
だが、相手が私だったら仕方ないね……。
「次は私の番だ…」杖をヒョイと回すとその高さから見える範囲まで紅蓮の魔法陣を展開された。
「『紅蓮・大爆発』!」エマは杖を掲げた。
そして、純白の光が光った瞬間、大爆発が起きた。
爆発の高さは確実に天に届いていた…。
この大爆発はあの時レイムが放ったディスラクシェントと同じくらいのものだ。
異なるのは範囲の違いだ。
レイムのあの破壊の力は一体の標的に最大火力を叩きこむ……大爆発は広範囲に最大火力を叩きこむので数が多い時はエマの紅蓮・大爆発が効率がいい。
「あぁ~これは大陸の半分が消えてしまうなぁ~」エマはまぁ余裕そうにフィナの所まで降りた。
「少しやり過ぎでは…」とフィナがそう言うくらいの悲劇だった。
破壊の力で氷の大地が崩壊し更に広範囲に渡って亀裂が入った。
「うん、私もそう思った……」エマはホコリを掃うようにマントをポンポンと叩いた。
「さぁ、これでメンバーが揃った…魔王達を再招集をかけて……レナミスは私が連れていく…」
「了解しました……」とフィナはそう言い、魔王城と繋ぐゲートを展開した。
「まさか……奴らもか………。やはり破壊の神が………」とエマは何かを呟いていた。
「どうかなさいました…エマ様……」とフィナはその様子を違和感を感じた。
「標的は破壊の神、大魔王…そして世界だ……。すぐにこの場から離れるぞ!」
エマはレミナスを担ぎ、フィナとその場から離れた。
巨大な何かが動き始めたことは、エマは感じていた………。




