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第65話:氷の呪い



 目が覚めたのか………それすら、わからない。



 気が付くと……目の前には普通の街並みがあった。


 「ここは……どこ………」私の呟き、周りを見渡すが、すれ違う人々は私とは目が合わず、それはまるで自分はそこにいないと………。



 人が暮らし、その生活に幸せを思い、笑い…それは、とっても心が温まる光景だった。


 見ている自分も自然に笑顔になれた。

 

 「人が暮らしていて…こんなに心が温まることなんて………」レイムは自分が抱いているこの気持ちを疑問に思った…。


 これは、誰かの記憶なの……。




 すると遠くで、青色の光が見えた…。


 その方向を見ていると白い煙のようなものが迫ってくるのが見えた。


 「なっ、何っ!…」

 その光景を見て、レイムは自分が何を見ているのかを察した……。



 「まっ、まさか……氷結の―」

 その瞬間、町が一瞬にして白い煙に包まれた……。


 何も感じないがその勢いで目を閉じた。



 そして再び目を開けると、落ちた時に見た光景と同じだった…。


 建物や人間はそのまま凍ってしまっていた。 


 「まさか…自分で目にするなんて……」


 まるで、時が止まったように人は動きを止めた。



 そして流れるようにその光景は時が流れていった。

 レイムの目には空が氷で閉ざされていくのが見えた……。


 「嘘っ…でしょ………」かつては地だった高さが暗闇に包まれ、そして下に引きずり込まれた……。



 その光景を目にしたその瞬間人々の声が頭を駆け巡った。


 ―嘘っ、こんなのっ。

 ―嘘だ!嘘だ!ヤダぁぁぁっ!。

 ―何で、こんなことに…。

 ―冷たい…痛い……。


 一瞬にして声も上げられず、死を遂げた人々の叫びだった……。


 

 頭の中を駆け巡る声達がガンガン頭の中に響いた。


 「何これ……これは人々の………」

 「ヤダッ…聞きたくないっ!……やめてっ!やめてっ!やめてっ!」

 

 声はまだ続いていた。


 ―痛いっ!

 ―メアリー!

 ―ラフー!

 と大切な人を叫び…。



 そして、最後に出た人々の声が……。


 ―助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!

 その言葉はレイムの心に無数の矢が刺さるようだった…。


 

 その声はこだましながら頭の中に広がった…。


 ―助けて……殺してやる……。と言葉がガラっと変わった…。



 ―殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す………。


 それは、もう怨念だった……。


 そして………。


 ―殺してやるぅぅぅぅぅっ!


 その言葉に完全に心が崩壊してしまった……。

 

 そしてその影響でレイムは…。


 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 

 その瞬間、レイムは暗黒の空間に閉ざされた……。




 そしてその頃、トラップフロアでは…。


 入り口は氷で塞がり、フロアいっぱいに氷の塊が佇んでいた。



 すると氷が解ける、ジュ~という音を立てて、氷がだんだんと崩れていった。

 氷の背はどんどん低くなり、少し経つと水になった。



 「ふぅ~…ピールがバリア魔法をかけてくれなかったら、ただではすまなかったな…そして氷を解かすこともね…」氷が解け、皆はびしょびしょだった。


 ロナが言った通り、氷が落ち地面に落ちる瞬間にピールが自分とみんな全体を魔法の壁で守ったことでダメージをおわずに済み、上の氷を炎魔法で氷を解かすことができた。



 「どうするロナ…レイムが連れ去られた…」ソージは悔しくそして目の奥には怒りがあった。


 だが…何故、レイム様を……連れ去ったということは…レイム様が目的だったのか………。



 「先を急ぐしかない…ピールのおかげで動けない者はいない…一刻も早く先に進むぞ!」ロナは次の入り口の氷を魔法で砕き、皆は先へ進んで行った。




 そして、氷結の玉座では……。


 「私の力は封じた者を簡単に操り、記憶さえを操り、他人に見せることをできる…」暗闇の中に光が差し込んでいた。


 氷が鎖に巻かれ、玉座の上につるされていた。

 

 その中には人影があった…。


 その下でその氷を見上げる氷結の魔王がいた。


 「だが、封印されていたせいか…力があまり出せない……まだ時間が必要だ…」氷結の魔王は玉座に座り、目を閉じた。


 

 そしてその上にあるつるされた氷にはレイムが閉じ込められていた……。




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