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第60話:さらに苦しくなるもの



 ソージがレイムの手を握ったのがよかったのかレイムの表情は少し和らいだ。


 ソージやソピア、サリアの心と言うか、体の中には光属性らしきの力が宿っているのをロナは今気づいた。

 恐らく、親があらかじめに宿したのか生まれつきなのか……。


 

 一同は…いや後ろがうるさいが…何だかんだ歩いて町の出入り口の門の前までやってきた。


 不思議と形は恐らくその時のまんまだろう…。

 まるで、そのまま時間が止まったかのように……建物だけ見ると神秘的だが、人間もそのままだった。


 その人間をよく見ると、楽し気に笑う表情がそのまま……。



 この町の唯一の出入り口だろう、この門は相変わらず凍り付いていたが、幸運なことに扉は開いていた。


 「よかった…門が開いてる……」とソージは呟いた。

 「そうだが、レイム様ご体調の方は……」ロナはそう言い、レイムに近づいた。



 これで、何の出来事もなく町を出られると一同は思ったその時だった…。




 ガシャンッ!


 門の氷の扉が突然落ちてきて、門が塞がれた。


 「何だ!」一番にいたソージが叫んだ。


 「全員門に背を向け、戦闘に備えろ!」ロナは瞬時に判断し全員に行動命令を告げた。



 

 前線はリツリ・ピール・シール・ロナ・ソピア。

 戦闘力は守護者が三人いるため全滅はないと思うが……前線の人たちは周りを見渡し、周りの動くもの察知した。


 後ろではソージがレイムを守っていた。




 皆が静まり、そして音が聞こえた…。


 ミシミシと氷が擦れる音が聞こえ…その後に聞こえたのは氷が砕けた音が周りから聞こえた。




 前線の者は何かが動き、襲ってくるということも考え、敵の予想も考えた。


 するとロナが「まさか…凍り付いた人間?」と呟いた。


 その事を前線が聞き、皆が疑った。

 「まさか…凍り付いた後は操られると言うの……」前線の皆が息を殺した。



 皆がまさかと思っていた…が現れたのは人の形の氷がゆっくりと歩いてきた。


 動きはゆっくりであるが、数が圧倒的だった。


 だが、ただの動く氷漬けなら簡単だが…戦闘は避けたい…。

 もし、攻撃すれば、守護者も精神障害を起こす可能がある…。


 「これは…数がやばい…戦うよりこの町から出ないと…それと気になるのは敵の戦闘力……」ロナはレイムの状況も考えて、まず後ろの門を破ることを考えた。



 ノロノロ動いているあの敵達がいつ戦闘に入るかわからない…今動くしかない…。



 「皆、後ろの門を壊して町を出るよ…」その声を聞いて、前線が一斉に門に攻撃した。



 だが攻撃はかき消された…。


 「門が攻撃を跳ね返した…」皆が愕然とした。

 それと、同時にゆっくり歩いていた氷に包まれた人間達が走り出し、一点に集中した。




 そしてだんだんと巨人のような形に変化していき、頭の部分には大きな赤い目が現れた。


 「アイスゴーレム…しかも3体…厄介…」

 「あぁ…初めて見た…」


 ソピアとサリアは氷の巨人に驚いてはいた。


 3体の氷の巨人は当たり前だがこちらへと走ってきた。



 「やばい…逃げるよ…レンジ・テレポーテーション!」ロナは全員を対象に瞬間移動魔法を展開した。


 ロナはテレポートで外へ出ようとしたが魔法の壁のようなもので脱出はできなかった。



 「まさか…そこまでは考えてなかった…ほかに脱出できる所は…」ロナは魔法展開中なので凄い高さの所で浮いている状態だった。


 ロナは町全体が見渡せる高さまで行き、門の外を確認できる塔があった。 


 「あれは、兵士が見張る塔…」ロナは精神を集中させた。



 そしてロナの目が光り、ロナからは建物などが透けて見えていた。


 「やっぱり、道があるそこに行けば…」外から町を繋ぐ道を見つけたロナはそこに飛ぼうとした。



 その瞬間、氷の刃が無数に飛んできた。

 

 やばい、ロナは瞬間移動を再展開した。


 皆が辺りを見渡すと石の壁が縦に伸びた建物の中にいた。


 「ここは…町の外を見渡せる塔です…透視で確認した結果この下に外に繋がる道があることがわかりました…」ロナは石の床を魔法で壊して中を覗くと道が続いていた。


 「助かった…ロナ…」レイムは苦しそうにお礼を言った。

 皆もロナに礼を言い、一人一人地下の道に入っていった。



 

 そして最後にレイムとソージとロナだけになった。

 「レイム様…その苦しみはただの苦しみじゃあないです…」そのことはレイムの顔を見た瞬間わかった。


 あの状況に対して苦しいだけの顔じゃなかった。

 

 レイムの顔は赤くなり、汗が滴っていた。


 「何てこと…ソージ!レイム様を担いで移動してください…今はそうしないと氷の巨人に見つかるもの時間の問題です…」


 「そうだな…レイムの事は任されたからな…」ソージはロナにそう誓い、下へ入っていった。



 あれは…予想外だ……。



 

 全員が細い通路を少し進んだ所で一同は止まった。


 「まさか…瞬間移動の制限と氷の精神障害と氷に対して魔法反射……正直我々は舐めていたようだ……。何故、戦闘を避けたか…この氷は自然ではなく、氷結の剣で出来たもの…もし戦闘を行い魔力が感知された場合すぐさま氷漬けにされる恐れがある…そして氷漬けにされたものに関しては近接攻撃は出来ないだろう…この中で魔法に特化しているのはピールだ。だが、あの場で使用したら何があるかわからない……」

 この状況は全員にとってヤバい……。


 「くそっ……」その言葉はロナにとって後悔と甘さを悔やんでいる…。

 

 「何を考えているんだ……こんな大地に………情報も欠けているこの状況はほぼ戦闘は避けなくてはならない……。だがもう戻れないと言うか後戻りはしたくない…先に進むぞ……レイム様の精神障害は私とピールで何とかしよう……」


 

 我々の戦力では敗北はないが…もし、戦闘が避けられない事態になったら……。


 まぁ、少し余裕をこぼすのであれば…破壊の加護を受けている私達であれば、凍り付いたとしても全然だろう…。


 だが、警戒は怠ることはないだろう……。


 

 こんな依頼の見返りは高額の報酬とレイム様が魔王を倒せれば……だが何故、レイム様だけ……。


 破壊の神であるレイム様だったら破壊のオーラで纏っているのに……もしや標的?………。


 「これ以上考えると、結果が違う方向へ行きそうだな……」とロナはボソッと呟いた。



 

 

 

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