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第59話:氷に閉ざされたもの



 馬車で進み、2週間が経った。


 「昔、人が住んでいたのなら、形くらいあってもいいのにね…」とレイムが馬車の窓から髪が靡きながら呟いた。


 たしかに周りには氷の景色が広がっていた。


 こんな風景に一瞬にしてできる力……氷結の剣というものを見てみたい……。

 レイムの欲は膨らんで行くだろう…。


 だが、ちょっとしたことでその膨れは突然にして割れる。




 凍り付いたのはおよそ4000年前だと言うのに、氷の厚さはもう地面と繋がってるくらいだとこの「氷の大陸探検記」には書いてある。


 移動時間だが、平な大陸を渡るにも何日もかかるから、レイム達は城から持ってきた本をペラペラと流して読んでみたり、じっくり見たり、一部だけ見たり、読み方はさまざまだった。



 第八階層の「知識の図書館」にある本はほぼほぼ世界に一冊か数冊しかない本たちだ。

 本というものは争いやあの古の大戦などで焼けてしまって、本が圧倒的に減ったことが原因だ。

 

 あの大戦はほぼ世界大戦と同じだ…。

 建物は崩れ、大戦の後は平なほどだった…少なく助かったのは地下だった。



 そして「知識の図書館」にある本は魔法の本だったり、禁書だったりある。


 本の中にはそれを書いた人の記憶が詰まっている。


 それほどの価値が本にはある…。


 それとは別に、遺跡や謎の大陸なども同様となる。



 その大戦については、最初の守護者達はあまり口にしない…。

 

 それほどの激しい大戦だったのだろう……。



 

 こうして本を読んでいるうちに太陽が雲に隠れ、周りが暗くなった。

 

 その影響で視界が塞がれた。


 

 その時だった。

 地面が揺れ氷に大きな亀裂が入り、そして地面が崩壊した。


 バリッ!バリバリバリバリバリ!


 もう逃げることはできないほどの大きな崩壊だった。


 「なっ、なんだ!」全員が中にいて、何が起きたのか分からなかった。


 だが、馬を操作していた、リツリは氷が思ったより薄いことに気付いた。

 「まずいっ…地面が崩壊した!」と叫んだが中には声が届かなかった。


 「まさかっ…」ロナは窓から外を見た。

 「レイム様、地面がっ!」そう言ったが、もう遅かった…。


 突然馬車が横へ傾き、中にいた全員が壁に叩きつけられた。


 そして「きゃぁぁぁぁぁぁっ!」と全員が悲鳴を上げ、そのまま遥か下へと馬車は暗闇に消えていった。


 これは、偶然なのか……。



 

 気付くとリツリは馬車の横に倒れていた。


 「痛っ……ここは…」体を起こし、周りを見ると、奥に空間が続いていた…。

 しかも、とても広い空間が……。


 意外と落ちた先は明るく灯りは必要ないほどだ。


 こんなに明るいとは、ここは……。


 リツリは急いで立ち上り、馬車の扉を開けた。


 すると中に入っていた全員が重なった状態で数人がうなっていた…。


 まるで、ゾンビのようですね…。



 さすがのリツリもこの光景に言葉も出せずに、無言で一人一人を出した。



 全員を出して、透明の水晶に馬車をしまった。



 そして中にいた全員が意識を取り戻した。

 

 


 そして全員がこの明るい氷の町を見渡した。

 それは、とても美しくもあったが、よく見ると人も凍っていた。


 「これが…一瞬にして凍り付いた町の様子か……」レイムにはこの町の光景がとても体に重くのしかかった。


 「これが…神器一つの力…」全員がその恐ろしさを感じていた。

 凍り付いた人間は人間の形を象った氷の塊…植物は消えてなくなり、建物はそのままの形で今も残っている。

 

 空間支配並みの氷結の力だった。


 「落ちたのなら、仕方がない…この先は続いているから先へ進むもう…」レイムは何も言わず、先へ歩いていった。


 レイムはこの光景が見たくなかった…。


 …だが、突然にこの光景を目にしただけで、少し大げさすぎの雰囲気だ……。



 その様子にソージ達も守護者達も気になった。


 「レイム…大丈夫…」とソージがレイムの隣を歩いた。


 「うん…こんなの見たくない……何も悪くない人々が一瞬にして、何も言えないで一瞬にして終わった人なんて…そんなの苦しくて見てられない…」と下を向いた。

 

 その目には人の苦しみを感じる者の目だった。


 黒い目の奥に苦しいという感情があった。


 

 「俺がそんなレイムを前へ進めてやるよ……苦しくて見えなくなったら、俺が手を握り、レイムも前へ進めてあげるよ…今はそれでいい……」ソージはレイムの右手を握り、前へと背中を押した。


 その様子を後ろから見た、全員の空気がほっこりと暖かくなり肌寒い寒さが和らいだのは確かな感じだ。




 だが、その影でロナは守護者達に呟いた。

 「だが…おかしい…。あまりにも大げさと言うか……カルマ値であればどっちも傾かない0のはず……」

 「それもそうですね…。レイム様のあんな様子初めてです…」とピールがいい、シールも頷いた。


 「ロナは何か心当たりは……」とリツリは問いかえた。

 

 「ん…んん……」その様子は当たりのようだ…。


 「氷結の魔王の力は氷結もそうだが、見た者に精神障害を与える…。心などがまだ構築されている者…つまり未熟の者や怯えているもの恐怖を抱くものに適用される……」それが氷結の一つの力だ。

 「その精神障害は大げさに怖がり、そして狂う……そして我を失い、自分自身で命を絶つなど……そして最大の力は――」

 

 「みんな何をしてるの…早く~」とソピアが守護者達に声をかけた。


 ロナの話はそこで中断し、レイム達のあとをついて行った。



 

 


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