第54話:プロローグ-2
今では冷たく厚い氷が大地を覆っている…。
その中心には大きな城がそびえ立っているが、今は氷に包まれて形をなくしていた。
その氷の城を見上げる一人の銀髪の少女がいた。
「これが氷結の城…ここに…あの剣が……」盗賊のような身なりをしていて腰に短剣があった。
そして盗賊姿の少女は、あの城へ向かっていった。
城の中は外よりとても寒く、何も音が聞こえない空間だった。
ここに来た目的は水氷属性の神器の中で最強と言われる氷結の剣を手に入れるためだった。
氷結を司る神器…氷結の剣……。
その武器は第三神暦より前から、この世界に現れた『漆黒の騎士団』の一人が使用した者だ…。
その頃は、漆黒の騎士団と死の一族を率いる、魔王と初代世界七神皇帝の間でバチバチしていた。
そして第三神暦に入って20年が経った時だった……漆黒と死の間で争いが起きた…。
『漆黒の騎士団』13人の最強達で構成されていたが、何ていうか突然に現れたと言った方が適切だろう……。
その者達は全員が神器を持ち、それに加えてレベルは全員が史上最強級の実力だ…。
この者達は、世界で初めて、死と戦った者達だ…。
氷結の剣、紅蓮の大剣などの神器を目にした……。結果、大魔王エマ・ラピリオンが『漆黒の騎士団』のリーダーを倒したことで争いは終結した…。
持ち主が死んだ場合、神器は突然と姿を消す……そして世界を巡り、自分自身で持ち主を探している……。
今、冒険者の中ではレアアイテムとか言われているらしい…。
そしていくつもの冒険者達がその剣を手に入れようと必死だった。
『漆黒の騎士団』についてはおとぎ話は宗教で常識として伝わっている……。
だが、皆が思っているより、それは冷気に飲まれている……。
今まで、事例がなかった……世界最大の大陸を一瞬にして氷に閉ざしたなんて……どれだけの
力を……。
神達はその件が起き、その神器の元まで行ったが、神でさえその神器に触れると凍りついたようだ…。
城の場所の正確な場所は分からず…氷結の大地と言われているため大地全体が凍り付く気温だ。
そしてその少女はある情報を辿りに、この城までやってきた。
少女の手にはボロボロの地図があった。
「この先が…剣が突き刺さった場所……」と呟き、周りが氷に閉ざされた道を進んで行った。
少し歩くと、光が見えてきて、狭い道がひらけた…。
その光は氷の隙間から太陽の光が差し込んでいた。
そしてその光に照らされているのは、氷結の剣が深く刺さっていた。
その光景は神秘的だった。
この剣は何千年もここにいる……。
「これが…氷結の剣……やっと見つけた…」少女は剣の柄にゆっくりと手を差し伸べた…。
すると「何をしている人間…」と突然どこからか声が聞こえた。
「だっ誰……」少女は慌てて、周りを見た。
その声は前から聞こえてきた。
前には氷の格子があった。
奥を見ようとゆっくりと前に進むと…氷の鎖で繋がれた、水色の髪でボロボロの服を着た女性がぐったりと座っていた。
ここで、何してるんだと少女は疑問に思った…。
こんな城の奥で何をしているのだろう…。
「こんな所で何をしているの……」と少女は恐る恐るその女性に話しかけた。
「人間…その剣をどうするつもりだ……」と私の質問を無視し、聞いてきた…。
「この剣を手に入れるために、私はここに来たの……」と正直に言った。
「その剣が何なのか知っていて、そう言ってるのか…」と女性はゆっくりと顔を上げ、青い目を私に向けた。
「もちろん知っている、この剣はかつて平和だった王国のある日…天からゆっくりと剣が降りてきた。そして王国の城の中心に突き刺さった、その瞬間王国全体が氷に包まれた…。そして5分後に大地全体が氷ついた。水氷属性の最強神器と言われている…」と少女は知っている限りのことを話した。
「そうだな…そうだからこそ、その剣を手に入れても貴様には嫌、大抵の者はその剣を持ち上げることさえできないだろう…。神器というものをお前はわかっていない…たしかにその剣は最強の中でも最強の神器だ・・・それはこの私がよく知っている、そしてその神器は長久の間…自分が認める主を探し求めていた…。つまり、神器は普通の物体とは違う、その神器自体が意思を持っているのだ…」と神器をよく知っていた。
そう、その力で封じられているから…それと『漆黒の騎士団』とも戦ったことがあるからだ…。
「そんなこと言われても、もうここまで来たんだ…この剣は私がもらっていくよ。今、鎖に繋がっているあなたにはどうしようもないでしょ…」と少女は少し下がり、自分と剣…そして女性を見た。
「最後に言うが…その剣を抜かない方がいいよ…」と女性は少女を睨むように向いた。
そして少女は無言で両手で柄を握り、思いっきり剣を抜いた…。
その瞬間、女性を繋いでいた鎖が砕け散った…。
そして大きな地震がこの大地全体を襲った。
だんだんと揺れが激しくなり、城が崩壊し始めた。
少女は立っていられなくなり、その場に座り込んでしまった。
すると少女の下が割れた。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
少女は剣を抱き、暗闇に落ちていった…。
そして氷の鉄子も砕け散り、女性は裸足でゆっくりと歩きだした。
「だから言ったのに、まぁ、貴様には感謝してやろう…何せ、私が封印された鍵はその剣だったんだから」と言い、女性の右手には氷の美しいランスがあった。
「さぁ、封印が解かれたんだ。いざ、大暴れしようとするか…最古の魔王氷結の魔王様が……」
女性はそう呟き、塞がっている氷をランスを振って壊し、前へ進んで行った。
城はほぼ崩壊した。
あの剣が展開した氷が消滅したことを意味する…。
だが今ではもうこの大地の氷は消えることはない……。
女性は歩き、光が差し込む所へ来た…。
「はぁ~久しぶりの太陽の光だ…覚悟してろよ、聖騎士共が…あぁぁはっはっはっ……」
この日…あの封印されていた。
最古の魔王の一人、氷結の魔王が復活したということが光の神の耳に入るのはだいぶ後だった…。
「だが、あの小娘…何故、あの剣を抜くことが……」今頃だが、封印を解かれた魔王はふと疑問に思った……。




