第42話：狂いし紅蓮の使者
前線はレイムとソージ、アシストはソピアとサリア、遠距離攻撃はないと思うけど、ランスは一突きが強い…だからすべての攻撃を避けないとその一突きが当たれば、大けがになる。
「いくよ！」
「死ねぇぇぇぇぇ！」ナリスは踏み込み、一瞬にしてこっちに近づいた。
「はやっ……てぁぁぁ」レイムは一突きのランスを避け、横斬りでナリスを攻撃した。
レイムは振り返り、血しぶきが見えた。
だが、血しぶきが止まり、傷口がふさがった。
「再生能力…いや支配者の能力か…だったら回復する前に消滅させる」レイムは破壊の魔法陣を無数にナリスの周りに展開した。
「全てを貫け、ディスラクシェント！」
だがナリスはそれを避け、炎をレイムに放った。
「避けた！…そんな、ありえない」レイムはナリスが上へ飛び避けた、その光景を見て同様してしまった。
これが、支配魔法の力…。
「レイム！」レイムの目の前にはナリスが避けて、放った炎が来ていた。
レイムは剣先を向かってくる炎に向けた。
すると炎は剣先に当たり、消滅した。
「だったらこの剣とこの体でお前を倒す、じゃあないと私を信じてくれる人に失礼だからね」
レイムは右手で剣を構え、左手で黒い玉を作った。
初めてじゃないけど…互角の者と戦う時は何かわかんないけど楽しくなる…。自分と互角の方が戦いはより楽しくなる。
2人は睨み合い、そして同時に進んだ。
レイムは左手を前に出し、黒い玉を放った。
その玉はナリスの前で消滅したと思ったが、破壊の力が溢れ出し大爆発を起こした。
「くっ…うぉぉぉぉっ！」ナリスは一度立ち止まったが、すぐにランスを構え走り出した。
「これで、終わりだ。ナリス！」レイムは剣を突き付けた。
「てぁぁぁぁぁっ！」
「うぉぉぉぉぉっ！」
レイムは腕を伸ばし、剣をナリスに突き刺し、ナリスもレイムにランスを伸ばした。
2人の武器の先が接触し、とてつもない波動が発生した。
レイムは左手で破壊の力をため、ナリスに放った。
ナリスの腹にくっきり穴が開き、その瞬間、ナリスは破壊の力の衝撃で吹き飛んだ。
レイムとナリスの距離は一気に離れた。
もう、動けないか……。
腹の穴から血がドバドバと溢れ出した。
「あっ…がっ……は～や～く～死ねぇぇぇぇぇぇぇっ！」
だがナリスは立ち上がった。
そして周りに炎の渦が出現し、ランスの先へと集まっていった。
あれほどの傷でも、生きているなんて……これじゃあ戦う気が失せる…。
「死ねぇぇぇぇぇぇっ！」全ての炎の力がランスの先から放たれた。
だけど…そんな者から私はあなたをっ……。
「はぁぁぁぁぁぁぁっ！」レイムは踏み出し、剣を前に突き出した。
その瞬間、炎の力がレイムの剣に吸い込まれた。
その炎は静かに剣に吸い込まれ、それを見たナリスは少し呆然とした。
だが、「うぁぁぁぁぁぁ！」叫び、ランスを構え走り出した。
それが、だめなら…距離をまた詰めるか…。
レイムは剣を下に降ろした。
何度も攻撃を与えたが、何度も立ち上り、こっちに向かってくる…その光景を見ているとレイムは自然に殺せないと思ったのだ。
「レイム！」ナリスが数メートルの距離でもレイムは剣を降ろしていた。
その時、後ろから風が吹いたと思ったがいつの間にかあの少女が立っていた。
少女は右手を前に出した。
すると炎が棒の形になり、その手に赤い杖があった。
「死ぃぃぃねぇぇぇよぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁっ！」顔は酷く…これは生きているものの姿ではない…。
その顔は思い出したくないほどだった。
その瞬間、ブスっと音がなった。
「がっ……」前を見ると、少女が杖の下の鋭い部分でナリスの心臓を貫いていた。
ナリスは動きを止め、目には支配の色が消えた。
そして少女をじっと見て、地面にバタっと倒れた。
「私の友人が魔法にかけられたせいでこんなことになってしまった。本当にすまない」少女は深くレイム達に頭を下げた。
「だが、この子には納得いかないだろう。だから再びあなた達の前に現れる。覚悟しているんだな」
そして少女は倒れたナリスと消えていった。
レイム達は何も述べることなく、二人は目の前から消えてしまった。
これは、紅蓮の魔王によっては予想外の事だった。
「わかった。いつでも待ってる」とレイムは剣をゆっくり修めた。
私もあれじゃ……決着…そして本当の彼女と戦いたい…。
そして振り返り、笑顔で笑った。
「じゃあみんな炎の要塞ファイテンラスク領域へ行こう」
みんなはあの少女の気持ちを分かってくれていた…そしてレイムも次に会ったら戦うと…。
そして一時この戦いは終わったのであった。
