第40話:誰かのささやき
その時だった。
爆発音が向こうから聞こえた。
「この爆発は…」
「これは、急いだそうがいい」レイムは何かを感じ走り出した。
そして向こうで何が起きたのか…まだレイム達はまだ知らなかった。
「では兄者…私はこのダンジョンで奴らを迎え撃ちます」私はレドルがやられたことを少し心の中では悲しんでした。
赤髪のロングにひっそりとした雰囲気で美人な女性だった。
兄者はファイテンラスク領域の遺跡で待つと言っていた。
私には敗北はない。
偉大なる魔王様の幹部として……。
そのことを考えながら、私はダンジョンの最深部へと向かった。
やはり、最深部には沢山の財宝があった。
「この財宝は私にとってただのガラクタ…」彼女には全くの興味がなかった。
この部屋の全体は金が施られていた。
正直…目がチカチカする……。
すると財宝の部屋の扉の向こうで数人の足音が聞こえた。
「随分と早くないか…」
彼女は炎の魔法陣を出現させ、炎の魔物を召喚した。
彼女は静かにその足音の音に集中した。
足音は聞こえる……だが…足音からすると数が多すぎる、情報によれば勇者パーティーは4人だったはずだが…。
すると足音が止まり、ゆっくりと扉が開いた。
入ってきたのは10人の人間だった。
前には6人の剣士と後ろに4人の魔導士がいた。
だけどただの魔導士ではない、少なくとも4人の中の2人は…。
「人間…何者だ…」と彼女は問いかけるとすぐに返答がきた。
「我らは大教会騎士だ…ここに来た目的はここに魔王軍の幹部がいるということで討伐に来た…」と剣士の一人が答えた。
その瞬間、4人の魔導士が呪文を唱えた。
大教会騎士?…そんなものが…何故っ!…。
「人間ごときが私と戦うのか…我がしもべよ人間どもを焼き殺せ!」
その命令を聞いた、炎の魔物が人間達に襲い掛かった。
そして魔物が6人の剣士に近づいた瞬間にして消え去った。
私の召喚した魔物が消えた。
やっぱり私の予想は当たっていたようだな、4人のうち2人だと思っていたが1人が明らかに魔力が違っているのが見えた…。
その者は服装からして多分神官だろう。
神官は魔法を熟知している。攻撃魔法もそうだが、精神魔法もだ…。
あいつ、強い…。
その時、6人の剣士が剣を構え、走ってきた。
私の相手はあの神官だ!
「邪魔だ!」彼女は神官に向けて、踏み出した。
そして手を握るような形を作った。
その瞬間、炎が出現し手のうちで渦を巻いた。
そして炎がなくなり赤い装飾が施されたランスが彼女にはあった。
彼女は前を向き、左手で空気をはらった瞬間、6人の剣士が激しく燃え上がった。
そして叫び声を上げ、消滅していった。
そして再び神官を見た時だった。
その神官から光が…。
光属性か…。神官の手には光が輝いていた。
その光は形を変化し、ドラゴンを形になっていった。
なんだ、あれは手の中にドラゴン…。
彼女はそのドラゴンに見覚えがあった。
「まさか、支配の龍!」光属性のドラゴンで名前の通り、幻を見せたり相手の全てを支配できるドラゴンだ。
そう、その神官はそんな上位の光属性の魔法を使えるほどの実力だった。
そしてだんだんとドラゴンの形になっていった。
まさか、人間がそんな魔法を使えるなんて…。
もし、あの魔法をくらったら、私でも耐えきれるかわからない。
「まずい…」彼女はランスを神官に向けて突いた。
するとランスの先から炎が鋭く放たれた。
それと同時に神官の魔法が転換され彼女に放たれた。
そしてドラゴンが光を帯び、彼女を包んだ。
「がっ…あっ……がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」彼女は完全に魔法に支配されてしまった。
神官と魔導士達は彼女の放った炎により大爆発が起きた。
その爆発でレイム達は最深部へと向かった。
「今の爆発は…」
「やっぱり何かあったんだ」
景色は赤い絨毯と左右にある柱が続いていた。
そして煙が漂う扉をくぐった。
そこにあった光景は部屋の壁が金が施されている。
その中心には紅蓮の魔王幹部と思われる女性が下を向き、そこに立っていた。
「誰だ…」レイムは剣に手を当て、そう問いかけた。
だが、何も返答がなかった。
何も、言わない。それと1人…10人がここに向かったはずだが…。
でも、この部屋には一人しかいない…。
するとロナがレイムの肩に乗ってきた。
「レイム様、この者は光属性の支配魔法を受けております。恐れながらここで敵対行動を行うと魔法が発動する可能性があります」
「光属性で支配魔法か…じゃあここに来たのは神官か……」ソージはそう考えた。
多分、その情報だったら、この答えの方が可能性としては高い。
「神官だったら光の領域内の教会にいるけど、神官が偶然ここにきたとはありえない…」とソージは悩んだ。
「誰か、ここに魔王軍の幹部がいると情報を流した何者がいる…」とソピアは言った。
その言葉に全員が納得した。
「それが可能性が高い…多分ラウル様の所に来たっていうあの道化だろうな…」
「そしてこの状況をどうするか……」レイムはそう呟いた。
その時だった。
「いや~来てくれたんですか~。まぁ全て私の計算通りなんだけどなぁ~」とレイム達の後ろから、疳高い声が聞こえた。




