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第4話:謎の力



 「レイムゥゥゥッ!」ラウルは叫んだ。


 そんな、一振りで斬るなんて…あいつは一体…。

 そんなことよりレイムを…いやここは魔王軍を何とかしなくてわ。


 ラウルは黄金の鞘から黄金の剣を抜き魔法陣を展開した。

 「聖なる光よ。悪を貫け!」


 するとあの男に向けて光の光線を放った。

 だが男は避け、剣を抜きこっちへ向かってきた。

 「来い相手になってやる」

ラウルは剣に光の力を込め剣身に光の三本の輪が現れ剣が光り出した。


 その剣は輝きまさに聖剣だった。

 男は両手で剣を握り縦に大きく振り下ろした。


 ラウルは両手で頭のすぐ上に構えた。

カーンと金属音が響き、2つの剣がぶつかり合い火花が散った。


 「うぉぉぉぁぁっ」男は全体重を両手にかけた。その表情は憎しみと怒りが混ざっていた。

 「くっ」ラウルは男の剣を跳ね返した。


 そして右手で剣を持ち男の腹を切り刻んだ。だが傷は浅く男は距離を取りすぐに両手で思いっきり剣を振り斬撃をくりだした。


 くそっ…浅かったか…。

 あれほどの力に、その身体能力…。

 そして剣を交えてわかる……貴様は……。


 ラウルは剣に力を込め両手で縦に振り下ろし斬撃を消した。

 そして片手で左から右に大きく振り光の斬撃を繰り出した。男はそれをジャンプで避けたがラウルは男の下に魔法陣を出現させ光の光線を放ち男に命中した。その攻撃が効いたのか男は少しよろける行動を見せた。


 そして剣先をラウルに向け地面を蹴り走ってきた。

するとラウルも走り右肩に剣を置いた。男の方を見ると妙な違和感を感じた…。

生きてるよな…生物だよな、一体何者なんだ。とさっきまでとは別人だった。


 「てぁっ」キーンとまた金属音が響き、二人の剣がぶつかり合った。

 そしてラウルとその男は剣を合わせながらにらみ合っていた。


 こいつは一体…まさか……。





 そして変形した地形の間に落ち、地の底ではレイムの意識がなくなりだんだん別人へと変わっていった。


 ここは…くそ何も見えない。

 私は落ちて…下半身の感覚がない。


 私は…何を…なんでここに…。

 周りは暗く、ごつごつとした感じだ。


 レイムは立ち上がろうとしたが足の感覚がなく下を見ると下半身がなかった。


 そうだ。私はあの男に…。

 レイムの目から涙がこぼれた。


 くそ…。それは悔しさと怒り…。

 「くそぉぉぉ…あいつぅぅぅぅ」

 レイムは唸るようにこぼした。


 するとどこから不気味な声が聞こえてきた。

 「お前は最強の神、こんな所で死ぬのか」

レイムは辺りを見渡したが人影はなく反射的にその質問に答えた。


 「嫌だこんな所で…」涙を流し苦しくそう答え、また声が聞こえた。

 「ではお前に力を与えよう。我の力を…」


 「はっ…」するとレイムに邪悪な力が注ぎこまれた。

 「この強大な力であの者を殺せ」と囁いた。


 そしてレイムの周りに黒い煙が集まっていき全身を包み込んだ。

 その黒い煙はレイムの体の傷をどんどん治っていき、消えた下半身も元に戻った。


 そうこの力はとてつもない再生能力を誇るこの力だった。

 まるで力そのものが自分の中に入っていくように…。


 この…力で…あ…い…つ…を…。

 「殺す」歯を食いしばり身を起こした。


 レイムはゆっくりと立ち上がりその表情は怒りへと変わり理性はなくなってしまった。

 「破壊の力よ。我に力を…」と言うと、周りの黒い煙がどんどん濃くなっていき渦をまいた。


 破壊の力はレイムの思いを形にした。

 すると背中から黒い翼が生え、腰から4本の黒い鎖が生え背後に黒い輪が4つ現れ、黒い鎖と輪が一つ一つ繋がった。


 そして…すべて黒くなっていた。

 それはまるで破壊の神の本当の姿でもある漆黒のドラゴンのようにも見えた。


 「あはっ」レイムは不気味ににやけた。

 殺す…殺してやる。


 「魔王の幹部の一人…ジン」

 レイムはなぜかあの男の名前がわかった。

 それも破壊の力なのか…それともあの声か…。


 そしてレイムは上を見て初めて翼という器官を動かした。

 するとあらゆる力がレイムへ流れ込んできた。


 この力で…。


 これが新の姿なのかと思わせるくらいだった。

 「さあ、行こう…」と言いレイムは静かに飛びだった。

 その後には小さな黒い石の欠片が転がっていた。





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