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第32話:赤き黒炎の王



 やばっ…。

 レイムはすぐさま斬撃を避け、レドルに剣を振り下ろした。


 だが単純な力ではレドルに劣っていた。

 レドルはすぐに剣を跳ね返し、レイムは態勢を崩したがすぐに立て直し、再び剣を振った。


 「てぁぁぁっ!」その声に自分の弱さを改めて知った自分がいた。


 レイムは剣に力を込めた。縦、横、斜めと剣を振った。


 2人の距離がだんだんと近くなり、剣と杖がぶつかり合い、火花があちこちに舞った。

 レイムは当てようと繰り返し、剣を振り続けていた。


 そしてまたぶつかったままお互いにひかなかった。


 これでは、いつになったって、勝負がつかない…。


 「あなたを…倒す!」

 「やってみろ!」

 二人は一歩も引かなかった。


 レイムの後ろでは敵を片付けた、ソージ達とシュナがレイムとレドルの戦いを見守っていた。



 私は勝つ…この力で…。

 「破壊の翼!」レドルはレイムの突然の嫌な感じに気付き、距離をとった。


 そしてレイムは剣を上に掲げた。


 その瞬間、ザァーという音とともに黒い翼…いや羽が幾百の幾千もの数の黒い羽がレイムの周りを回り背中へと集まっていき、幾千の羽の塊の翼になった。


 「ほぉ…これは魅力的だな…。まさか本当に自由自在というわけか…」

 「だから……あなたは敗北をする……」


 それを聞いてレドルは歯を食いしばった。


 「だったらやってみろぉぉぉぉ」レドルは杖を上に向けた。



 すると炎、氷、風、闇、光と全属性の塊が現れた。


 それを見て、レイムは態勢を低くし踏み出す準備をした。


 「くらえ~」とレドルは杖を振り下ろした。

 そして5つの塊はレイムの方へと猛スピードで飛んでいった。

 

 レイムは走り出し、左手を前に出した。

 すると背中の羽が前へザァーと流れ、5つの塊を包み込んみ、5つの塊は消滅した。


 その時、走るレイムはローブから微かにレドルの驚きの顔が見えた。

 「そんなことって……」と微かに言っていた。


 そしてレイムは躊躇もなく、左手を下げ剣を握る右手をレドルの心臓に向けた。


 「はぁぁぁぁ!」辺りは衝撃が凄かった。

 破壊の力が強すぎて、剣がレドルに触れずその手前で止まっていた。


 これにより、レドルと剣先の間に破壊の力が様々な所に流れ、衝撃が凄かった。


 そしてその限界がきたのか剣先とレドルの間に衝撃が起き、レドルは吹き飛び後ろの木へと直撃した。

 剣が刺さっていないとはいえ、あの速度で木に直撃したとなると、もう立つ力は残っていない。



 レイムはゆっくり態勢を直した。

 そして「ふぅ~」と息を吐いたと同時にソージが「終わったのか…」と力が抜けると同時に呟いた。


 レイムは少し驚き、「うん。5人の幹部の一人を倒すことができた」と5人は顔を見合わせて笑みを浮かべた。

 レイムは剣を腰の鞘に納めた。


 それと同時に幾千もの羽が光り出し消えていった。



 レドルはふと頭の中にある記憶が浮かんだ。

 「レドル様~」黒くそびえ立つ城の玉座に駆け足で入る魔人、外は襲撃を受けていた。

 「魔王軍がこの城に攻めてきました」と配下の者が膝をついた。


 「全ての者を集め、魔王軍を返り討ちにしろ!」と命令が出され、全ての者は魔王軍と激しい戦いをした。


 黒炎の王…魔人たちを従え、魔王の力に匹敵するという者。

 その王の存在を無視できなくなった紅蓮の魔王が黒炎の王の城へ攻めてきたということだ。


 玉座は外の音がまったく聞こえなかった。

 すると玉座の大きな扉の向こうから足音が聞こえた。


 レドルはその者があの紅蓮の魔王ということがすぐにわかった。


 その者は赤毛に長い髪見た目は人間のような美しい女性だった。


 だが確かに、奴は紅蓮の魔王だった。

 レドルは剣をゆっくり抜いた。


 「黒炎の王…貴様が望むのなら、そこの眺めからもっと高い景色を私と見ようではないか」とその女性はレドルに手を差し伸べた。

 その言葉にレドルは心を動かされた。


 「でも、私と戦ったあとでも選択してもよい。その変わり、もし私に従わないのならあなたを殺します。そしてもし、従うのならあなたの配下を全て殺し、その力で新たな力をあなたに授けます」と言った。


 一体この魔王は何がしたいのか今の僕にはわからなかった。


 魔王は剣を抜き、構えた。


 そして2人の戦いが始まった。


 勝負は一瞬でついた。


 すぐさま剣を弾かれ、剣を離した隙に攻撃された。


 自分は敗北というものを知らなかった。

 だが魔王は笑みを浮かべてレドルに手を差し伸べた。


 その強大な力に自分は魅了された。


 それは、過去の記憶…レドルが紅蓮の魔王の幹部に入った理由だ…。



 そのことを思い出したレドルは涙を流し、笑みを浮かべた。

 レイムは近づき、レドルの表情を疑問に思った。


 するとゆっくり口を動かし、「ははっ、もうあれから3000年も経ったのか…」レドルは右手を出し、何かを掴むような感じだった。


 「魔王様…俺は、出来ませんでした……」レドルはそう言い、目を閉じた。



 レイム達とシュナはレドルの死を確かに、見届けた。


 「終わった…」レイムは急に力が抜け、座り込んだ。

 「何か、引っかかることを言ってたな。魔王様のあとに…」シュナはその疑問にちゃんと気付いていた。


 「それは町に行ってからにしよう。ここにいたらレドルの死を知った幹部が来るかもしれない」とレイムはソピアの肩を借りてゆっくりと立ち上がった。


 「そうだね。私も聖域はもう安全だから、ここの漂う力を何とかしないと」とシュナは私達に移動魔法を唱えた。

 「レイム様、力を出し過ぎたみたいです」とロナは癒しの魔法を唱えた。


 「ありがとう…シュナ」とレイムは手を出した。

 「安心するのはまだだよ。まだ幹部は4人あなた達だったらきっと紅蓮の魔王を…」


 その瞬間レイム達はシュナの魔法の光に包まれた。


 この時点でレイム達はシュナと別れ、黒炎の王との戦いは決着した。



 そして早くも魔王の城では…。

 水晶を片手にフィナは恐怖を感じた。


 「レドルが…」その言葉に獣人の2人は驚いていた。


 「まさかレドルが…」そう男は言ったが、「じゃあ次は俺達だ。この城の情報は炎の要塞に隠されている奴らは絶対にそこに行くはずだ」男はフィナに背中を向けた。


 「わかった…」とフィナは胸に手を押し付けた。

 フィナのその言葉をちゃんと聞き入れたのか、獣人の男女は城の外へゆっくりと歩いて行った。


 柱に寄りかかり、手から水晶がボトッっと落ちていった。


 そして天井から差す光を見て、フィナの目は今でも泣きそうな悲しい目をした。

 「魔王様…私は覚悟を決めました…」静かに呟いた。


 その目はもう真実を知っているかのように…悲しく、死を覚悟している瞳だった。



 巨大な流れに足先を入れたレイム達…そこからはもう流れに任せるしかない…。


 いやでも…その流れの中にいる者達とは必ず接触することになるであろう…。

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