第31話:紅蓮の魔導士
「さぁ……始めようか……」戦闘態勢に入ったレイムは少し口調を変えたが、そんな口調も可愛いと思わせるほどに表情は怖くはないが、オーラを出されると下位、中位、上位のモンスターは怯む並の破壊の力が湧き出ることもある。
レイムは奴に向かって走り近距離で剣を奴に突き付けた。
すると剣は奴の手前で何かにぶつかった。
「何っ…」
奴に剣が通らない、結界?…。
レイムは構わず、攻撃を続けた。
バシュっバシュっ…と結界で破壊の剣が通らず弾けていた。
だったら魔法で…。
レイムは剣先を上に向け瞬間、黒い稲妻が奴に放たれた。
凄い衝撃とともに奴に当たったが、やはり奴の周りには結界が球体のように囲んでいる。
物理攻撃も魔法攻撃もダメ…。
その時はレイムはいいことを思いついた。
剣を奴に向けた。
それは、とてもずる賢い方法だった。
レイムは結界の範囲内に破壊の魔法陣を展開した。
そして結界の中で破壊の魔法陣が展開され、衝撃だけがこっちに届いた。
音は聞こえなかった。
思いつきが当たったのか、奴はよろけた。
「そっ…そんなのありかよ…」と地面に杖をついた。
意外な攻撃に混乱していた。
そんなのお構いなしに、「あなたがこの魔王軍の束ねる者?」
その答えは速かった。
「くっくっくっ…いかにも、我は紅蓮の魔王軍幹部の一人、紅蓮の魔導士のレドルである…」紅蓮の魔導士…杖を持っているから、やっぱり魔法で攻撃している…。
レイムはいかに早く、奴に接近して剣を当てるかが重要となる。
足を踏み込む準備をした。
「来い、破壊の神レイム…」
「てぁぁぁっ!」レイムは踏み込み、加速した。
そして剣に力を込め、一突きした。
だが杖で弾かれてしまった。
耐性を崩し、地面に手をついたその時、杖を捧げたその瞬間、上から大きい炎の玉を振ってきた。
避けられないと思ったレイムは剣を上に大きく振った。
すると炎の玉は黒く染まり、消滅していった。
全属性の力はレイムに掛かれば、全ての力を自分の力に変換することができる。
「残念…私に炎は効かない」
レイムはドヤ顔を浮かべた。
するとシャリーンという音が自分の左側に響いた。
「なっ何…左腕が動かない」左側を見ると地面を張っている氷が自分の左腕を凍らせていた。
なっなんで、紅蓮の魔導士って言ったから炎属性の魔法しか使えないと思ってたのにっ…。
これじゃあ身動きがとれないとレイムが悔やんだのと同時に奴は口を開いた。
「甘かったな…紅蓮の魔導士と聞いて、炎限定にするのはとても甘い考えだ。私は全属性を操る者、だが全ての力を破壊の力と変えてしまう貴様には関係ないがな…」とレドルは笑みを浮かべた。
全属性なんて使える者なんて……。
ある意味神以上存在だ。
「そうかもしれない……けどそこまで破壊の神について…そして私の事を知ってるなんで誰から聞いたの……」とレイムは上から目線だった。
「そんなこと貴様が知って、なんのメリットがある」
それを聞いて、レイムはちょっとムカついた。
このレイムは少し反論させると怒る…まぁ、子供だから…。
「やっと、やっとだ…破壊の神を倒すことができれば、もう他の神など魔王様の敵ではない。そしてあの方も喜ぶことだろう」
あの方…魔王様とは違う人なのか。
まさか魔王の他にも幹部が忠誠を誓う者が他にいるのか。
「あの方って…」
すると杖をこちらに向けた。
「口を閉じろ…」
やばっ…確かに質問し過ぎた…。
「さあ、どうする、破壊神…」
レイムはその問に迷わず答えた。
「あなたを……倒す!」
レイムは剣で左側に振り下ろした。
するとバキーンと音を立てて氷の塊が地面に砕け散った。
「うぉぉぉぉっ!」とレイムはレドルの方に走っていった。
レドルは杖を構えた。
レイムは下から上へ振り上げ、レドルは杖で剣を弾いた。
木製と金属の弾く音が何度も何度も響いた。
剣を振るが全て受け止められていた。
「杖だからってなめるなよっ!」
するとレドルは大きく横に振った。
その時、杖の先端が青く光り、氷の斬撃が飛んできた。
やばっ…。




