第30話:最強の魔王軍
海に浮かぶ、黒い影、最強パーティー全員その影を見ていた。
「レイム…どうする」ソージは剣に手をかけた。
「この領域に入れるな!」レイムは破壊の魔法陣を展開した。
破壊の力は海を貫き、魔王軍へと直撃した。
だが魔王軍は変化もなかった。
何もしてこない…命中したはずなのに……。
すると海に浮かぶ、影が一瞬にして消えてしまった。
「消えた!あの影が一瞬にしてっ!」レイムはきょろきょろと周りを見渡した。
「ロナ!魔王軍はどこに…」ロナは水晶を手に魔王軍を探した。
レイムも水晶に顔を近づけ、魔王軍を探した。
「もっもう森の奥地にいるっ!」海からシズゼリア領域の奥地へ、一瞬にして…その距離とその数を転移させるには膨大な魔力が必要だ…。
そんな力を持つ者だと、これで分かった……。
つまり、予想通りに幹部のお出ましだな…。
相手の指揮官は恐らくだが魔法詠唱者か……。
「ロナ!すぐに魔王軍の所に…」4人はすぐにロナの移動魔法で魔王軍へと向かった。
あの数を全て転移させるなんて…。
凄いと思うしかない…。
そして、森の奥地へと現れた魔王軍はまっすぐと聖域に向かっていた。
その瞬間、先頭で進む者達が破壊の力を浴び、消滅していった。
「ふう、なんとか間に合った…」上から降りてきたレイムはそう言い、魔王軍の前へ立ちはだかった。
「近くで見るとすごい数だな~」とソージ達も上から落ちてきた。
目の前には全てが鎧を纏い、硬い防御力を持っている…。
これじゃあ剣同士で戦うなんて、バカな話だ…。
だが魔王軍はレイムの一発の攻撃だけでは侵攻を止めなかった。
「みんな!私が広範囲に攻撃するから向かってくる敵を倒して!」とレイムは上空に無数の黒い魔法陣を展開した。
レイムの指示でソージとソピアは剣を抜き、レイムの前へ、サリアは遠距離から爆撃をする。
これで、数は圧倒的だが近接攻撃と遠距離攻撃で戦闘態勢が整った。
「じゃあみんな行くよ!」
「うん!」とみんなは一斉に魔王軍に攻撃を仕掛けた。
レイムの攻撃で50万の兵を半分くらい消せれば後はシュナに交代だ。
だが、弱点としてはスタミナが低いということだ。
攻撃力は最強だが…今現在のレイムは全火力を継続できるのは一時間が限界らしい…。
まぁ、ポジティブに考えれば一時間で50万を片付ければいい話だ。
…レイムは破壊の力で広範囲に攻撃を続けたが、一向に侵攻は止まらず、いよいよ魔王軍全ての者が剣を抜いた。
「まさか、全員で…」レイムは攻撃をやめ、剣を向いた。
そしてレイムの予想通りに魔王軍が一斉にこっちに向かってきた。
レイムは剣を構えて、魔王軍の一人が近づき、剣を振り下ろした。
「てぁぁぁ」とレイムは下から剣を振り上げた。
剣を弾いた瞬間、後ろに回り込み、心臓を貫いた。
遠距離も最強だが近接攻撃も最強に近いだろう。
素早さは翼を展開すれば、上昇する…更に破壊の鎧と破壊の翼で目で追えず消えたような素早さが出せるようになる…。
剣には血が滴った。
ソージもソピアも一人ずつ確実に倒しているが敵の数は全然だった。
さっきのレイムの攻撃で20万近くは消滅したはずだ…。
だが、数も強さも圧倒的…これが最強の魔王軍…だったらこっちも…。
「強さで勝負だ!」レイムは右手を前に出し、再び黒い魔法陣を無数に展開した。
そして「全てを貫け、破壊!」
その瞬間、目の前にいた軍勢が破壊の力とともに消滅していった。
「レイム~大丈夫か」とソージが駆け寄ってきた。
「うん。大丈夫…」言葉を返した。
再び4人が集まり、前を見ると半分とは言え、破壊の跡の後ろにはまだ魔王軍が侵攻していた。
だが、これで確実に50万は半分以下となった。
しかしそれでも、数は圧倒的…。
「やっぱり軍を束ねる者を先に倒さないとだめだね…」とレイムは呟いた。
もし、この軍全てを倒した所で最後に残る幹部と戦い、勝てるとは……思えるはずがない…。
つまりは…力を温存するために今の数の魔王軍を突破する…。
「やっぱりそうなるか~」とみんなが同じ意見だった。
「じゃあやっぱり倒すのは、レイムだよね」とソージは言った。
それもソピアとサリアは同意だった。
「レイムが魔王軍の一番後ろまで翼で飛んでいけばいいんだよ」とソージはこの事態を一気に解決することを言った。
まぁ、はっきり言えば、その方法が一番手っ取り早いだけどねぇ…。
「じゃあそれで決まりね」とソピアは勝手に決定した。
「わかったよ。行ってくる」とレイムは破壊の翼を展開し、魔王軍へと飛んで行った。
そして次いでに周りの魔王軍も少しは減らしてほしいとソージに頼まれ、上から破壊の力を展開するはめになった。
これが完全なるパシリだよね。
レイムのおかげで残り半分も500人くらいの数までに落ちた。
これなら下はソージ達に任せられる…レイムは束ねる者を探した。
すると下から炎の斬撃がこっちに向かってきた。
「うぉっと…」レイムは態勢を崩し、地上へと下がっていった。
地上に降り立ち、前を見るとひときわ大きい者がこちらを睨んでいた。
この人が…いや違う…ただの兵士か…。
レイムは剣を抜いた。
「ふん、そんな細い剣で我と戦うなどとは、いいだろう一瞬でかたずけてやる」とその者は大きく下へと剣を振り下ろした。
するとその周りに炎が広がった。
やっぱり紅蓮の魔王軍、戦うだけでも普通だったら火傷しちゃう…普通だったら…普通だったら…。
…てかっ、この間のドワーフかよ…。とレイムは心の中で呟いた。
「一瞬でかたずけられるのはそっちかもよ」とレイムは駆け出し、首を狙って剣を振った。
だが首の部分は固い鎧に包まれていた…いや全身が鎧に包まれていた。
これでは魔法も効きずらいはずだ。
だけど私の力はその鎧も砕ける力…。
するとレイムは剣の先を向けた。
「囲むように(スラウンド)破壊!」
その瞬間、剣先から小さな黒い玉が目で追える速さで近づき、強い光を放たれ、周りに魔法陣が展開されていた。
そしてスドーンという凄い揺れと音とともにその者は消滅していった。
「ふぅ~」と一息ついたのも…束の間だった。
一息ついたレイムの地面に炎の魔法陣が展開された。
レイムは避けようとしたがその前に魔法陣は展開し、レイムは炎に包まれた。
くそっ、だけど熱くはない。
レイムは炎の外をじっと見つめた。
魔王軍の中に一人だけ鎧を着ていなく、ローブを身にまとい杖らしい物を負っている者がいた。
見つけた……あいつが紅蓮の魔王の幹部の一人に間違いない…。
レイムは幹部を確認した瞬間、炎を操った。
するとみるみる炎がレイムの手へと吸い込まれていった。
この戦いで、私達は紅蓮の魔王に敵対することになる……だけどそれが勇者の…。
私の最強への道……一番の近道でもあるね…。
そして、レイムは破壊の剣を構えた。
「最高のデビュー戦だ……さぁ………始めようか…」




