第24話:浮遊する城
そして山より高い、神々の世界と同じ高さにある永久に浮かぶ城。
その中にある広い玉座に座る黒い大きな影があった。
「魔王様、シズゼリア領域にて破壊の神との戦闘で暗部と思われる者に攻撃を受けました」
フィナは赤い絨毯の上に跪いた。
「何っ…暗部だと、我の計画を邪魔するとは……ボスは何と言っている」
「はい。ボスはこのままでいいと言っています。シズゼリア領域に紅蓮の魔王軍を襲撃すると言っています。多分あの4人がここに来るのも時間の問題でしょう。その時は覚悟を決めます…」
フィナと会話するのは、完璧に紅蓮の魔王当人でしょう。
すると魔王は少し考えた。
「ではこのまま計画は進む。では私も死を覚悟しよう…」と魔王はそう告げた。
この感じはまるで誰かが自分達を殺しに来る…そしてその死は絶対だと言っているかのようだ。
フィナはまだ安心できない表情を浮かべた。
「しかしシズゼリア領域を奪還とはいえ、あそこには奴が潜んでいるという情報もあります」
「そうか。奴なら魔王軍の侵攻を止める力は持っている。だが魔王軍の侵攻を止めたとしても計画には何の支障もない。だがもし失敗したら…」と魔王は言葉を止めた。
するとフィナは「まさか全員殺すとかないですよね」と言った。
「なっ、訳がないだろう。私はそんなに残酷ではない、他の魔王と比べればな」
「そういえば、他の魔王にはこの計画のことは知っておいでなのでしょうか…」フィナは少し緩み敬語を自然にやめてしまった。
「いや何人かは知らぬ者もあるが最古の魔王達には集まってもらいこの計画の事を話した。そしてあの3人にもな」と魔王は何かを悩んでいるようだった。
「あの3人についてはどう思っているのですか」とフィナは顔を上げ、質問をした。
「新世代の魔王にしてはまあまあだ。まあ最強と言われた私が奴らに負けるはずもない」と見栄を張った。
「ボスはそのことについて何と言っている」と魔王はフィナに言った。
「ボスはほおっておけと言っていました。あと気を付けろと…特にあなたはと言われました」
その言葉にフィナは震え、魔王は言葉を失った。
「そうかあの方がそう言うんだったら、気を付けておくとする。では計画の方は頼んだぞ」
「はい。お任せください」とフィナは立ち深く令をした。
そしてフィナは玉座を出て城の入り口へと戻った。
二人の会話でボスという言葉が出てきた。
その人物は二人にとって偉大な人なのだとわかる…。
ボスというのは何者なのか…。
城の入り口には大勢の紅蓮の魔王軍がいた。
「この計画はあの方の望み、かつて最強と言われて紅蓮の魔王様にその剣を捧げよ。最終の標的は破壊の神の討伐である、そのためにはまず世界最大領域のシズゼリアを我がものに!」
フィナは大剣を太陽に掲げ、叫んだ。
そして紅蓮の魔法軍も左腰にある赤い剣を抜き紅蓮の魔王に忠誠を誓った。




