第210話:黒と白の二刀流
《創造の剣》は《終焉の剣》を白で塗っただけだが、その白さは何でも創造し、宇宙さえも創れるほどだ。
そして黒と白の二刀流レイムと銀の剣を手にするレイドは睨み合った。
「ふッ――」地面を蹴り、レイムは2本の剣をレイドに向けた。
「はァァァァァッ!」白の剣を横に構え、黒の剣を奴に向けた。
レイドは銀の剣を横に構えた。
最初に白の剣が交わり、次に黒の剣が振り下ろされた。
キンッ!――黒の剣はレイドの体に触れる前に城の剣とともに弾かれた。
「はァァァァァッ!」レイドは大きく足を踏み入れ、大きくを振った。
それを白の剣で受け止め、黒の剣をレイドに向けて突いた。
「ぐッ――」レイドに初めて傷を負わせた。
黒い刀身には鮮血がついていた。
「貴様にも赤い血が流れているとは……」とレイムは吐いた。
「それはこっちも聞いてみたかったがなッ――」キンッ!――その瞬間、白の剣が弾かれ、左の脇腹を斬られた。
「くッ――」当たり前だが、レイムからも赤い血が流れた。
今のレイムは神化の状態であり、鎧などは纏っていない……単純な剣技での戦闘である。
「てァァァァァッ!」その瞬間、黒の剣と白の剣が黒と白に光り出した。
「なッ……その光はッ――」危険を感じたレイドは距離を取った。
破壊の神、いやレイムのオリジナルの剣技である。破壊と力を刀身に宿し、世界最強の剣技となった。
そして今、終焉と創造の力を2本の刀身に宿しているのだ。
これこそ、経った今編み出した《破壊の剣》と《再生の剣》の二刀流と《終焉の剣》と《創造の剣》__その名も二刀流・破壊神剣技……。
「《無限銀河剣舞》ッ!――」レイムは二つの剣を広げ、腰を落とし、地面を蹴った。
「はァァァァァッ!」飛び、レイドに迫った。後ろに2本の剣を振り被った。
「ふッ――」レイドは左手に力を入れ、銀の片手剣を左手に出現させた。
そしてレイムは振りかぶった二つの剣を思いっ切り振り下ろし、レイドは2本の剣をクロスした。
キンッ!――と銀の二刀と黒と白の二刀が交わり、火花が舞った。
「中々だな……」
「いいやまだだ、剣技はまだ続いているだよッ――」レイムは少女とは思えない力で上から押した。
「くッ――」レイドは体勢を崩し、レイムは剣技を放った。
二刀流・破壊神剣技《無限銀河剣舞》は二刀流最初の剣技であり、これからの自分達を描く剣舞である。
無数の黒と白の斬撃がレイドに放たれた。
「くあァァァァァッ!」前で両手を構えたが、レイドに体は切り刻まれた。
「糞ォォォォォッ!」2本の銀の剣をレイムに向けて思いっきり前に出した。
レイムに迫ってくる2本の銀の剣を左手の白の剣を横に振り、弾き最後の一撃を黒の剣に込め心臓に向けて一撃を放った。
《終焉の剣》はレイドの胸を砕き、心臓を貫いた。
「武神である貴様は、この世界を守ったのは知っている……だからせめて安らかな死を……」そう言い、レイムはもう一本の剣を胸に刺した。
《終焉の剣》と《創造の剣》で終焉の効果が中和されて安らぎの死が訪れる……とレイムは思ったのだ。
傷つける力である『破壊』や完全な終わりの力である『終焉』、それに対する力は、癒す力である『再生』と完全な始まりの力である『創造』の4つの力で安らぎの死というものは中和ということである。
「かッ……感謝、する………」
その瞬間、不完全であった【万能の神】レイド・リベラジスは黒と白の光になり消滅していった。
それと同時にイルも笑顔を浮かべ、消滅していった。
「すまなかった……イル……お前につらい思いをッ……」
それは、純白の世界……。レイドはイルに謝った。
「いいよ……私はずっとお姉ちゃんのことを信じていたから……正義の心を捨てていなかったことが……そしてそれを継いでくれる人はいるから……頑張ったんだよ、お姉ちゃん……」とイルはレイドに手を差し伸べた。
「あぁ、そうだな……」とその手を取った。
すると二人の横にレイムの姿が現れた。今の二人の会話を聞いていたのだ。
「感謝する、最強の神レイム・レギレス……」
「ありがとう、レイム……」と二人はそう最後にレイムに感謝な言葉を言い、消えていった。
「あぁ、私が引き継ぐ……全ての正義を信じる心をッ……」その目には微かな涙がこぼれた。
すると王宮が大きく揺れた。
そして王宮に亀裂が入った瞬間、光となって消えていき、レイムは下へと落ちていった。
何故か、力が抜けていた。
そして気付けば、神化状態も解除され剣も元に戻っていた。
――完全に未知の世界で未知の敵だった……。レイムはその疲れか、何も抵抗せず落ちていった。
――我々は、勝利したのか……。
そのことを思い、嬉しくも悲しくも感情が揺れていた。
その頃地上では、ソージはずっと上を見ていた。
「何かが消えた……」とレジナインはソージの横に現れ、一緒に上を見た。空は透き通るような青空だった。
「レイムッ――」と二人同時にレイムに気付いた。
だが二人からの視線は動いていないようだった。
「レジナインッ!俺の上にッ――」と咄嗟にソージはレジナインに頼んだ。
「あぁ、わかった……行くぞォォォッ!」レジナインはソージの真下に魔法陣を展開した。
その瞬間、ソージは空高く飛び上がりあっという間に小さくなっていった。
「レイムゥゥゥッ!」ソージは上に進む力でレイムに迫っていった。
「えッ、ソーニィィィッ!」レイムは下から聞こえ、咄嗟に体の向きを変え両手に握る剣を手放し、伸ばした。
「レイムゥゥゥッ!」無事帰還し、レイムの声を聞いたソージは涙をこぼした。
そして二人は両手を繋いだ。
「ソーニィィィッ――」レイムはソージの胸に顔を押し付け、叫んだ。
その瞬間、レイムは自分の中にある思いに気付いた。
――もしかしたら、私はッ……。
ソージも強く抱きしめ、二人は地上に戻った。
衝撃はレジナインの魔法で消し、二人は地上でも他の無限の星メンバーを前にして顔を近づけ、キスをした。
「なッ――」
その光景を見て、ソピアやサリアなど女性陣は驚き、エマも勿論レジナインの後ろに隠れた。
「レイム……俺はお前が好きだ……」
それは、完全なる告白である。
「私も……あなたが好きです……」とレイムもそう返した。
「なッ!!!」と全員が声を上げた。
短い時間で告白をし、それは成立したのだ。
その瞬間、天が強く輝き、無限の星全員は光に包まれた。
無限の星は視界が変わるまで、移動したということは気付かなかったのであった。
【第一部:第九章】ファーストラグナロク-first Ragnarøk-完結しました。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
最終ボスとの戦い、進化した力でぶつかり合う……黒の剣と白の剣の二刀流……。
最後に主人公レイムとソージが結ばれました。
これは、素晴らしいことですが、まだ終わってはいません。
次回もお楽しみ!!




