表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
206/212

第205話:12月の一人・前者:睦月”漆黒の聖典”希章



 「ふッ――」希章(きしょう)は紅蓮に包まれた。

 その瞬間、杖の先端で攻撃を繰り出した。

 「くッ――」余裕で避けたが、紅蓮によるダメージはあるようだ。

 そしてエマの杖が何か変で光輝いていた。

 

 「小賢しいッ……漆黒の聖典《斬・漆渦(しちうず)》ッ!……」細い剣で希章(きしょう)はエマに迫り、文字通り渦を巻き、エマを切り刻んだ。

 「がッ――」


 漆黒ッ!?――闇かッ!

 だが希章(きしょう)の攻撃は止むことはなかった。

 漆黒の聖典というものは何か違う……こいつは特別なのか!?……。

 

 漆黒の聖典《斬・暗黒斬り》

 次に繰り出したのは、単純な横斬りだった。

 エマはその技もまともに食らった。


 「ふッ――」

 「がはッ――」希章(きしょう)はエマとすれ違い、再び前に現れ足でエマの体を蹴り、奥へと飛ばした。

 奥には漆黒の聖典で創った空間がない場所であった。


 「ぐッ、はぁ、はぁ……」吹っ飛ばされたそこは、さっきまでのスカイツリーの上だった。

 「お前本当に魔王なのか……最強とか言われているらしいが……」希章(きしょう)の言う通りだった。

 だがエマはその原因を分かっていた。

 魔王と配下がここに来る敵を足止めすると言い、下に降りていった。


 だがそれは各地のポイントに幹部が出てきている情報が入り、ボスがまだ誰かわかっていなかった。レジナインが指定した位置は絶対に何かあると思ったのだろう。

 配下たちはここに絶対に誰かが来ると確信していた。


 ――ここで、死ぬことは奴らへの恩を仇で返すこととなる……そしてあの時手にしたこの杖も役立たずだッ……。

 ――糞ッ!糞ッ!糞ッ!糞ッ!……だったら自分の力を信じるのみ……。体のあちこちに切り傷ができ、そこから血が滴っている。

 

 エマは自分も斬られれば血が出ると、改めて思った。


 「あぁ、私が最強の魔王だ……。悪の王にして、最悪の存在だッ!」ゆっくりと立ち上がり、希章(きしょう)を見た。

 「ふふッ、そうか……なら私は光栄だな。そのような存在と戦えるなんてッ!……だがそれも今失望で終わり、貴様の死で戦いは終わる……闇こそが信じられるものであり、見えない光を神と思い、願うバカ共など一匹残らず殺し尽くすのみッ!そしてッ暗黒の闇が世界を再創生するのだッ!!」と感情を見き出しにして叫んだ。

 

 「大魔王、エマ・ラピリオン……貴様に聞こうッ!我々の仲間になる気はないか……破壊の神を殺せば、この宇宙を破壊し、我々の世界を創るためにッ……さぁッ決めろ……俺の右腕にッ――」

 

 「断る……貴様の悪と我々の悪を一緒にしないでほしい……貴様らの悪とは何だッ、闇とは何だッ、光とは何だッ、何を求めるッ――」エマは自分の中にある何かに気付いた。

 「あいつは、自分が完璧な悪の存在でありながら、一人は世界の理に気付き、一人は神々を裏切り世界を守ろうとした、一人はもう一人の自分の過ちを正そうとし、一人は自身の存在と運命を辿り、始まった戦争を終わらせようとするもの……。そして私は、その破壊神とともに世界の果てまでついて行くと誓った。

 貴様らが、我々に対する闇であり、悪だッ……そして貴様ら破壊神を狙い、世界を再創生と聞けば、たどり着く末は、貴様らの奥にいる存在だけ……そのために今、ここで貴様を倒すッ!」


 杖を強く握り、黄金の光が更に強くなった。

 「なッ、何だッ――」希章(きしょう)は目を瞑った。


 とある世界に生まれ落ちた大魔王……自分が手にするのは、悪の力か正義の力……。

 

 その答えは――。

 

 その瞬間、杖が歪み形を変えた。

 それは、重くずっしりとした鞘に黄金一色で装飾された剣へと変化した。

 「なッ……あれはッ、まさかッ――」世界創生の時代に破壊の神を追跡した漆黒の騎士団……かつての悪のしもべで最強の12人のリーダーが使用していた神器だ。

 

 全世界の産物として神器が創造された。


 そしてエマは手にしたものとは……。

 「さぁ、再開しよう……我が力をッ今ッ!」エマは黄金に輝く剣を上に向けた。


 属性は紅蓮と光……最強クラスであることは間違いなく、その神器はとある感情が固定された時に出現するとされた。

 その心は、自分の進む道を正義と決めたこと……。


 オプロ系創造神器《大魔王の(つるぎ)・エクスカリバー》である。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ