第204話:大魔王全滅
世界はもう既にパニックだった。最初にマンションから爆発、そして東京内でのゾンビなどのパンデミック……。
この戦いは世界の終わりを意味しているのかもしれない……。
そしてそんな夜でも綺麗に輝く塔……いやこの世界では、スカイツリーと呼ぶのか……。
そこに待機した大魔王と魔王達と大魔王の配下……だったが、もう下は血の海だった。
「はぁ、はぁ……まだだッ……」と最上階である展望台にフィナと一人の男がいた。
フィナは《紅蓮の大剣》を床に突き、体はもう傷だらけであった。
「はぁ~、諦めが悪い女は嫌われるぞ……」と男は拳銃をフィナに向け、発砲した。
バンッバンッバンッ!
そしてフィナ・ラベンズリが最後であった。他の魔王と配下たちも同じようにこの男に殺されたのだ。
漆黒のスーツに身を包み、紫色の目をした男は展望台の更に上を目指した。
展望台の上は一般では立ち入れない屋外であった。手摺りなどはなく、ここは観光ではないことはエマは知っていた。
そして後ろの扉が開き、男が姿を現した。
「おぉ~、待っててくれたなんて、貴方は結構優しいんですねぇ……」と男はエマに近づいている。
「あぁ、誰が来ようと私が貴様を倒すと……」エマは振り返り、男を見た。
「ふふふッ、まぁいいでしょう……やる気がある敵は問題ありません……では、先に自己紹介から……」男は掌をエマに向けた。
先に話せと言うことか……。
「我は、大魔王エマ・ラピリオン……」
「私は、12月の一人である睦月の希章である……どうぞお見知りおきを……」希章は相手を舐め、丁寧に頭を下げた。
そして二人は睨み合い、同時に地面を蹴り接近した。
「ふッ……」希章は細剣のような剣を出現させ、握った。
その瞬間、周囲の空間が変わった。
「なッ――」木の床に光が差すガラスの窓……どこかの建物の中……。
この雰囲気は修道院の中……だが廊下だけ続き、先には光が見えた。
その先をじっと見つめていると、エマは背後の気配に気づき避けた。
ザンッ!
「くッ――」いつの間にか背後に姿を現したのは、睦月の希章であった。
「結構素早いみたいだね~」希章は戦いを楽しみ、自分が絶対の強さを持ち、相手には絶対に負けないと思っているようだ。
「相手を舐めていると痛い目合うぞ……小僧がッ……」エマは黄金の杖を強く握り、紅蓮の炎が纏い力を解放した。
「紅蓮ッ!!」とエマは叫ぶと、建物全体に一瞬にして紅蓮が広がった。
――”最強の魔王”称号を持ち、紅蓮を源にする魔王である。
――破壊の神、光の神、炎の神に何度も敗北したが、復活を遂げ更なる力を手に入れる存在……。
それは、”紅蓮の魔王”エマ・ラピリオンである。




