第199話:12月の一人・前者:如月”突”玩惨
「危なかったな……増援の参上だッ!」
紫色の鎧を着て、一色の騎士がシールとピールの目の前に現れた。
「闇の神……」
――何故、ここに神が……。
「なッ、何故ここにッ神がッ――」シールは驚き、そいつに声を上げた。
「成り行きだッ……早く立てッ、奴はお前達が言っている幹部のようだぞ……」その手には神器級の盾と剣を握っていた。
すると大地のへこみの中心からデカい体の男が姿を現れた。知性はあるように見え、こっちを睨みつけていた。
「ふッ……人数はまぁまぁだが、これじゃあ相手にもならない。我は12月の一人、前者の如月玩惨である……さぁ、始めるか……」戦力差はここでひっくり返った。
4代目の神々であれば、実力と力はレイムを超えるだろう。
玩惨は両手に掴む触手のようなものを振りかぶった。
「グラァァァッ!」その触手は意思を持っているようにうねりながら迫ってきた。
「ふッ――」闇の神ザレムは腰を落とし、盾を構えた。
その防御はレイムと同等で盾を持つ神は他に水の神ジウが装備している。迫りくる触手の先は蛇のような姿に変化し、ザレムの盾に突撃した。
「そんなものは効かないッ……約束の時までに間に合わせねばッ――」
その時に何かが起こることをザレムは知っていた。
その瞬間衝撃を受けた盾の中心が桃色に光り出し、光の球が玩惨に向かって放たれた。無数の光に攻撃された。
これは、闇の神と水の神のオリジナルである盾に衝撃を与えるとその倍の力の光が敵に放たれるのだ。
「今だッ最破ッ――」ザレムはそう叫び、リツリとディリア、シールとピールは自然と体が動き、4人は玩惨に攻撃を仕掛けた。
全員の心の中にはレイムの幼児期の光景が写っていた。
――レイム様……あの時は、一緒に遊んだことを覚えているでしょうか……。
――あの時だけの姉妹だった……。シールとピールの中ではそう言葉が転がっていた。教えを望まず、自身の剣技を自ら開発しているようにも見えていた。
教育者であった闇の神ザレムと交えた時も覚えている。
驚くほどに、ほぼ実力は8歳にも関わらず互角であったのだ。
――大きくなったと……そして信じています。
姿を消したレイムのことを信じ、4人は玩惨に刃を振った……。
「ぐッ……こんなッ――」ザレムの力によって玩惨は一切体を動かすことなく、4人の攻撃で力尽きたのであった。
こうして全ポイントの排除は完了した。
他の二つのポイントはビー、ベルーナ、ビリル、レインによって完了した。
そしてそれより少し前に時間は遡るである。
暗い空間だが、刑務所の特性のガラスで挟まれた応接室に青年が入って来た。
そして明かりがつくと向こう側には拘束台を立てに設置され、そこには裸体のレイムが拘束されていた。
「ご気分はいかがですか……」と青年はレイムに優しく話しかける。
「あれ~、おかしいな……もう麻酔は解けていると思うんだけど……」と青年はわざとらしく頭をかき、もう一度レイムに問い掛けた。
「破壊神レイム……暗黒世界については興味はないか……。それとも破壊神のくせにまさか知らないとか……」
するとレイムは手足についている拘束具を簡単に取り外し、青年にゆっくりと近づき真顔で青年を見つけた。
「暗黒面にようこそ最古の神々の一人である破壊神レイム・レギレス……」レイムに顔を近づけ、何も恐れる表情もなく、そう言った。
「うふッ――」とレイムは鼻で笑った……。




