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第179話:クロテナの安楽と死の神の登場



 「我が力よ、世界に轟け!……神器、解放!」

 レイムがそう叫ぶと、『神雷(ジンライ)破槍(ハソウ)』が黒く輝き、先端が変化し雷を天に放った。


 その瞬間、その雷の波動が空に広がるのと同時に黒い魔法陣が空一面に展開された。

 『神雷(ジンライ)破槍(ハソウ)』の属性は破壊と雷。火力に関しては破壊の剣より上回る。


 そして空がだんだん黒雲に覆われたその時だった。

 「轟け!《雷破(ライハ)一閃(イッセン)》!」


 万物を破壊するほどの雷が一閃により大地に降り注ぐ……。

 

 レイムは今名前を考えた。

 

 そして空全体が光った瞬間、下に向けて全ての光が暴食の神クロテナを包み込んだ。

 その後、物凄い音と衝撃が世界に轟いた。


 ドコォォォォン!

 周りの地系は姿を変え、荒れた。



 そして光と衝撃が止み、レイムが見た光景は本体のクロテナだけとなっていた。

 するとエマが後ろからレイムに近づいた。


 あの音で戻ってきたのだ。

 「エマ……やったよ……」


 そしてレイムは地上へ降りた。

 ゆっくりと足を進め、暴食の神クロテナに近づいた。

 

 「グググググッ……がはッ……」

 もうクロテナは立ち上がる力もなく、全裸の姿で仰向けになった。

 「はぁ、はぁ、はぁ……」と荒く呼吸をしていた。


 だが時間が経てば死ぬことはない、再び再生し復活するだろう。

 それは、破壊の力を元に創られた生物なのだから。

 

 確実に心臓を貫かねばならない……そして同情なんて必要ない……。


 レイムは『神雷(ジンライ)破槍(ハソウ)』を手放すとスゥーと消えていった。


 そして破壊の剣の先を下に向け、両手で柄を握った。

 エマもレイムの後ろへ行き、ロナとレジナインも近くへ寄ってきた。

 「レイム……」とエマが名を呟いた。


 すると更に奥から違う声が聞こえた。

 「貫け!……相手がどんな存在でもどんな姿でも、お前は今そいつを殺さなくてはならない……自分のため、誰かのため、世界のために……」男の声だが、レイムは振り返ることはなかった。


 今、両手で握っている剣に全集中しているからだ。


 「はぁ~……」と大きく息を吸い、息を吐いた。

 「私達も勝ちだ………さようなら………」とそう言い、レイムは剣を心臓に降ろした。


 「あッ……かッ………」と心臓刺した瞬間、クロテナは目はどこを見ているのか分からないくなり、だが我慢のような力が全身に走っている。


 そして右手を上に上げ、何かを掴み取ろうとしていた。

 「あッ……わッ……たッ、しッ………あッ、りッがとう………」とその意味は殺してくれてと……。

 自分で殺すことなんてわからず、何千年も眠り、食らい、眠り、食らいを続けていた。


 そんな意味もないことだと、人格、命、自分がある以上分かってしまう……。


 そして理解した瞬間、その行為を続けてば確実に自身を蝕み、それは苦しみと化す。

 その苦しみを解いてくれて、ありがとうと剣を握っているレイム、そしてそれの光景を見ている皆にはわかった。


 そして息を引き取ったクロテナから剣を抜いた。

 「ふぅ~……」と息を吐き、剣を一振りし鞘に納めた。

 「死の神……会えてうれしいですよ……」とレイムは普通の表情で後ろを向いた。


 そこには、死の神の姿があった。

 黒い布に覆われているが顔には赤い目が光っていた。

 そして骸骨の手には黒い杖を握っている。

 「あぁ、破壊の神レイム・レギレス……私もだ……。だがゆっくり話している時間はない、その神をどこかに埋葬してやれ、そしたら仲間達をつれて、この先にある城まで来るがいい……話はこれからだ……」と言い、死の神は消えてしまった。


 「話か……。よし、ロナ!”最破”を全てここに集めてくれ、私はクロテナを教会に埋葬してくる……」とレイムは自分より小さい命なき体を抱えた。

 「畏まりました……」とロナは言った。

 「私もいくよ、レイム……。レジナインは先に城に行ってて……」


 「了解した……。先に準備に取り掛かる……」とレジナインとロナも姿を消した。



 そして二人は背中を寄せ合いながら教会へ足を進ませていった。

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