第174話:初代の力と過ち
質量に関しては世界最大の一個体だろう。
ディスラクシェント城と同じ大きさの城を一瞬にして崩壊させている。
「厄介だな……」とレジナインは言った。
いや、レジナインが言ってしまったらもう終わりだろう。
だが、好戦的なレイムはここで下がることなんてありえなかった。
「じゃあ、私が削るから、サポートよろしく!」と言い、レイムはすぐさま飛び立った。
高さもあって、どこが弱点なのかわからない。
レイムはまず暴食より上へ上がった。
「破壊の力よ……」と剣を前に出し、レイムの左右には無数の魔法陣が展開された。
まずは、ぶっ放す。
完全回復状態のレイムは絶好調である。
エマ達の視点は、無数の魔法陣が広がったせいで地上は薄暗くなっていた。
そしてレイムは全ての魔法陣から破壊の力を放った。
「全てを貫け……破壊!」と叫んだ。
その瞬間、天から破壊光線の雨が降り注いだ。
「あれっヤバいッ――」とエマ達はすぐさま移動した。
あの上空からでは、暴食を狙っても周辺にも被害が出るからだ。
ズドドドドドォォォッ!!、と暴食は破壊光線の雨に包まれた。
放たれる回数は一秒間に2回ほどだ。
だが永遠ではない、すぐにバテテしまうレイムには……。
精々2分だ。
「これは、すごいな……生きていても動くことはできないだろう……」とレジナインは感心していた。
「さすがだ……。これで倒れてもらえればいいが……レジナインはそんなこと思っていないだろう……」とエマはレジナインを見た。
「あぁ、なんせあの暴食のリソースとなったのは、破壊の神の力だからな……」
3000年前よりもっと遥か昔のことだが、レジナインははっきり覚えている。
2代目のレオン・レギレスより前の代の破壊神を……。
そうそれはつまり初代を見たことがあった。
世界創造された少し後にエマ達6人は創造された。
だから2代目とほぼ同じなのだ。
そしてレジナインはその初代の風格を思い出した。
―無邪気な雰囲気に世界に笑顔で手を思いっ切り振っている……見た目は子供だった。だがレジナインには確かにそれが初代破壊の神だと分かっていた。
初代は世界を創造した神……。
いや、その神達は世界の外から来た……。
そしてこの世界を創った……。考えていくと、どんどん枝のように考え事が分かれ面白くなっていく。
初代はその力の全てを理解している。
恐らくこの世界に散らばっている理やレイムの力全てを初代は使用することができた。
だが、初代は消えてしまった……。
……何故?。
一つの枝の分かれが止まった。
そう何故永遠にも等しく存在する神が代などという受け継がれているのか、だがその者達はその神の血を引いている者達だ。
それを知りたかった。
だから私は初代の神々とともにいた死の神に聞いてみた……だが、死は何も答えてくれなかった。
――ゴォォォォッ――、と破壊光線の雨が止み、何やら唸っている声が響いた。
その瞬間、黒い触手なものが周囲に伸びた。
その先は口のようなものがあり、あちこちのもの食っていた。
城の瓦礫や大地まで、すると真上にも伸びレイムにも向かっていた。
それに気づいたレイムは自分の手に魔法陣を展開し、その触手に放ったがその力を食った。
「なッ――そんなのあり!」とレイムは止めることなく、破壊の力を放ち続けた。
だが何度放っても、その力は何となく食われた。
全てを食らう……それが暴食の神……。
この過ちは戦力を埋めるために、邪神を創造した天才魔王の過ちだった。
その瞬間、「はッ―――」
触手は破壊の力を食べる都度、どんどん加速しレイムとの距離を埋めていき、距離感を把握していなかったレイムは……。
エマ達も触手から逃げ、エマはふと上を向いた。
すると触手の口が大きく開き、レイムを食う光景が目に飛び込んできた。
エマはすぐに止まった。
「―ッ――レイムゥゥゥゥゥッ!―――」




