第161話:世界樹の守護者
世界樹をレイム達は眺めていると、葉の隙間から何かが光った。
それをレイムは発見した。
「んっ……はっ!……」と何かに気付いた。
「来たよ!」とレイムは剣を抜き、構えた。
形ははっきりと見えないが、物凄いスピードでこっちに向かっている。
突っ込まれたら、一貫の終わりだ。
「ふっ!……」とレイムは翼を動かし、飛行船から飛び出した。
飛行を保ち、対象を見た。
「やばっ!」とレイムはすぐさま対象に猛スピードで接近した。
予想以上に対象が早く、止まって見ていたら防御が間に合わないからだ。
さすがと言うべきか、龍人種は最初から翼という器官を持っているから上達と熟練は他種族が努力してもかなわないだろう。
レイムも力の一つだが、翼は器官としてではなく人間と同じだ。
そして速さを見た感じだと、レイムと同等かシルスと同じだろう。
久しぶりでもないが、この瞬間楽しいと感情が湧いた。
「てぁぁぁぁっ!」とレイムは両手で剣を握り、迫った一瞬で思いっきり振り下ろした。
キン!、と何かにぶつかった。
相手も武器を持っているのか、飛んでいるから見えなかった。
そんな理由で攻撃は届かなかったが、相手の姿は近くで見ることができた。
普通の青年だが、背中には龍人特融の羽が生えている。
そして手には、白と青が合わり、きれいな装飾が施されているランスを持っていた。
長年ではないが、神器を所有する者としてそれは見ただけでわかった。
「急に飛んできたけど……もう戦っていいの?……」とレイムはそいつに言った。
「あぁ、背完七神皇帝同士で争い、雷神が新人にやられたと聞けばなぁ……」とあの噂は聞いていたらしい……。
つまり、こいつがリーンか……。
「それは、恐れている?……」
「あぁ、おまけにその最強の力のおまけつきでなっ!……」とリーンは剣を弾いた。
「はぁぁぁっ!」とランスを前に突き出した。
グサッ!
「かはっ!……はぁぁぁっ!」腹にランスを貫かれたレイムはすぐに剣を振り、斬撃を飛ばした。
リーンは斬撃を避けるために、ランスを引きレイムと距離を取った。
腹にはガッポリと穴が開き、そこから赤い血が垂れ流れていた。
「くっ……手始めに攻撃を食らうか……」と呟き、すぐにその穴が塞がった。
「ほう…大した再生能力だな……」とランスを肩に乗せた。
「だが、真の姿を見せないのか、俺が見た感じだと背後にあった10本の剣たちはただの剣じゃないと思っているのだが……」
まぁ、そうだがあの剣たちを行使出来たのは間違いなく初代だけだ。
終焉の剣を出現させたのは、初代、3代、5代目の三人…。
言い伝えとパーレルゲンからの話だと10本の剣は神と天使を繋ぐ、十人の天使は10個の破壊に必要な力を持つ……。
だがまだそんな力は行使出来ない…。力の問題ではない。
「だけどあなたに使う価値なんてないと思うけど…」
「さぁな、だがこれは本気の戦いだ……」
その言葉はもう何回も聞いた。
「そう……だけど……」レイムは何かを言いかけた。
その瞬間、黄金色の斬撃がリーンを襲った。
「なっ…卑怯だぞ……」世界樹の島に降り立ち、ソージとソピアは神器『純龍剣』の能力で飛行が可能になった。
ただし神器を展開している時だけだ。
「三対一、別に戦いは複数でもいいんだよ」今回はソージ達の力も借りたい。
素早さは圧倒的にあっちは有利だ。
つまり1人では勝てない。
レイムは剣を構えた。
「さぁ……行くよ!」そい叫んだのと同時に三人はリーンに迫った。




