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第16話:奥地へ



 リーズェル国に滞在して一日が過ぎた。

町の人に聞いた話によると、やっぱり森の奥地へと向かったということだ。


 一体なんのために森へと向かったのか。

 その者も、あの噂を聞きつけたのか…。

 もし、そんな噂を聞いて自ら向かったのであれば、強さは持っている…。


 まぁ、それか本当かはわからないし、現状の所行って見ないとわからない…。


 それが正しいのかはともかく俺達は国を出て森の奥地へと向かった。

 

 リーズェル国は領域内の森林数が少ない地にあるが、その奥の妖精の国やエルフの国の周辺は木々が多く、人間は近づけない…。

 更に奥にある聖域である巨大樹に向かうのを拒んでいるんだろう…。


 だが魔法を使える者だったら別だ…。浮遊魔法などや転移魔法があればの話だが…。

 つまり4人目は魔法が使える者、いや人間だとは限らない。


 それはそれで、楽しみだ…。


 「なのに…どうして」俺は諦めるしかなかった。



 俺達は序盤からある問題につまずいた。

地は歩けない、空間移動魔法を使っても初めてきた場所だからわからない…つまり樹の上を伝って移動するしかなくなった。

 幸いに樹の表面は普通の樹とは違い固く、素手でも掴み登れるほどだったが高さが圧倒的だった。


 「はぁ、例え登れるとしてもあの高さよりかはましだが…」

 俺は城の崖のことを思い出した。

 つまりまた妹が俺の背中に乗るのか~。

 大体想像はつく…。


 少しトラウマになっていると認めた方がいい…。


 「わぁ…高い」

 「うわぁ、これ腕がもたないよ」と言うとソピアは俺の方を向いた。


 やっ、やっぱりどうすれば…そうだ。と俺は完全に察した。

 今、俺達は2人じゃあない3人だ。


 そして俺は完璧な考えを思いついた。

 レイムもいるし、レイムの前でそんなことはできないだろう…。

 「ソピアぁぁぁ~、お姉ちゃんだからこの前みたいに俺にー」と俺が一番重要な所を言おうと瞬間、予想通りに俺の口を閉ざした。


 俺は続けようとしたがソピアの顔がだんだんと赤くなっていった。

 「お兄ちゃんそれはやめて~」

 ソピアは涙を流し、両目を手で押さえた。


 「べっ別に泣かなくても…」と俺はソピアの大げさの反応にいつも困っていた。

 なんでこんな奴が主席で卒業できたんだ…。


 可愛い…でも人がたくさんいる所では、人の目が痛い…。


 「じゃあ登るぞ…誰が先に行く?」と俺は2人に言った。


 最初に行く女子なんていないだろう…。


 どうせ、俺が最初なのは頭に浮かぶ。

 「じゃあ私が行くよ!」…なっなんでよりによってソピアが…。

 「ん~大丈夫か…」そう言うと「だだだ大丈夫に決まってるじゃん」と慌てていた。

 別に俺はそんな強気じゃあなくてもいいんだけど…。

 完璧にレイムに良い所を知りたいんだろうなぁ…。


 「じゃあどうぞ…」と俺はその後が気になり過ぎるから…ソピアを先に進ませた。


 以外にソピアはどんどん上へ進んでいった。

 「じゃあレイムも…」俺は誘導したが「無理無理~高い所怖い」と言って聞かなかった。


 何で子供みたいに…って子供か。

 仕方ないと思った俺は適当に「じゃあレイムは魔法で上に行けばいいじゃあないか…」と言った。


 「でも……魔法じゃ、視界が上まで見えないから…転移魔法じゃ…」とレイムは魔法での正論を言った。

 まあそうだな。

 肉眼で上が見えない高さなんて素手で登るっていうのが、まずまちがっているけど…。


 「じゃあ翼で飛んでいけばいいじゃあないか」と俺は最強の答えを出した。


 すると上からソピアが声を上げて、降ってきて俺の上に落ちてきた。

 「びっくりした。怪物が落ちてきたと思ったぜ…じゃあ翼で上へ行きますか…」と俺はソピアを下から見た。


 「うん」とソピアは結構素直にうなずいた。


 俺はホットしたが、んっ、なんか横から視線が…。


 「はぁ…じゃあ飛びましょうよ」呆れたようにレイムはそう言った。

 まさか…レイムにまで、呆れられるとは…。


 「じゃあ先に行ってるからね」気まずそうに言いレイムは黒い翼で凄い速さで樹の上へと飛び立った。

 レイムの背中に生やした黒い翼は破壊の神が持つ、6つの力が一つ…破壊の翼という力だ。

 

 この翼を展開すると、移動や飛行などのスピードが速くなり、目では追えないほどの速さに上がる。

 展開時間はレイムの力が尽きた時だ…。

 

 今現在のレイムの力は6つのうち3つしか宿していない…。

 破壊の神としては、まだまだ未熟と言うことだ。



 「はぁ…ソピアもういいだろう、重いから降りてくれ…」

 んっ…もう俺達の他に誰もいないはずなのに横から強い視線が…。


 「やっぱりバカ勇者ですね」といつもより低い位置から声が聞こえた。

 横を向くと、そこにはロナが2人をじっと見つめていた。


 「…はっ」俺は見られたと確信した。

 間違ってはいないが口で言ってほしくない言葉だ…。


 「あっいえ、褒め言葉です。じゃあロナもお先に…」ロナは何も唱えずに、浮遊し、上がっていった。

 あれは、ロナも呆れているはずだ…。

 これからめんどくさくなるはずだと…ロナの目は死んでいたからなぁ…。


 もし、心が読めるとかだったら、後で殴られるな…。


 するとソピアは俺の上からゆっくりと起き上がって笑顔で言った。

 「じゃあ私達も行こう」俺はその顔を見て告白して振られたけど頑張って立ち直った顔だと思った。

 その顔に俺は素直に安心した。


 「あぁ、そうだな」と俺も立ち上り俺は光の翼の魔法を唱え樹の上へと向かった。

 光の勇者の称号を俺達は獲得しているので、光の力で翼を生やすことができる。


 そして楽々と木の上まで上がった。

 「ふぅ、結構高いな…下が見えないくらいだぜ」とちょっと初めての体験で興奮気味の俺はそう言い後ろを向いた。


 そこにあった光景は大変だった。


 まさか、翼を展開できる二人が……。

 「やっぱ無理だって高いこと嫌い」レイムとソピアは完全に怯えていた。


 この状況に「はぁ…」俺はため息しかつけなかった。

 最初からまとまりがないパーティーなんて最悪に等しいからな…。

 

 だが、これはまとまりと言うより、わがままだ…。

 

 それは、すぐになれるだろう…でないと、これからが心配だ…。


 「二人とも、怖いのはわかるけど…慣れていかないとこれからが大変だぞ…。新時代までなんていつになるのやら…」

 俺は二人を少し励ました。

 

 新時代がいつ来るのかなんて…神でもわからないだろう…。

 あと1000年後なら俺達は生きていないし…。

 

 と、俺はこれからのことを冗談を交えながら思っていた。

 

 この先の事なんか俺は、わからないが…それをいいものにするためには自分達でやっていかなければならない…。

 まぁ、最初だから問題や悩みは当たり前だから…。


 これから全て解決していけばいい…。


 ソージの言葉に二人は表情を変えた…。

 小さなことで、グダグダと言っていたらいつになったって……。

 「そうだね。お兄ちゃんたまにはいいこと言うね」二人は立ち上がった。

  

 少し時間はかかりそうだが…二人は少しずつ克服していくだろう。


 「たまにはいいことを言う。それは間違いじゃあないみたいですね」ロナそう言ったが今の俺には誉め言葉としか聞こえてなかった。

 

 「じゃあ行こう!」とソピアははしゃいだ。

  「そうだな」と俺達は木の枝を転移魔法でだんだんと進んで行った。


 こうして俺達3人と妖精一匹はさらに絆を深め森の奥地へと入っていった。


 そして余裕で何時間かわからないが進んで行ったが、最大の広さを誇る領域だから、奥地はまだまだだった。

 転移魔法で移動した方が徒歩よりマシだ…。


 「まあ奥地地帯までまだまだ遠いからどんどん移動魔法で進んで行こう!」

 俺達はレイムの移動魔法でどんどん森の奥地へと向かっていった。


 進みは順調だったが、俺は次のパーティーメンバーのことが心配になった。


 何で奥地へと向かった理由を…。

 俺はそのことを気にしながら移動魔法で樹の枝の上を点々と進んでいった。







ソージ、ソピア、サリアはいざということに支える役割です。

個性的なキャラですが、そこがいいです!

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