第138話:紅蓮の夜空の日に…
それは、今から約1000年も前の話だ……。
親父が強いのは町の人が誰もが知っていた。
あいつと出会ったのは今でも鮮明に覚えている。
あれは……空が赤く燃えていた日だった。
17の俺は、剣術の修行を終えて帰る途中で空から落ちる黒い光を見た。
俺の体は自然にその光で導かれるように、走っていった。
そして黒い光が落ち、その場所にはあいつがいた。
最初に出会ったときは、俺より下のガキだった……。
―それが、あいつとの出会いだった。
俺は自然と家へ招き入れて椅子に座らせた。
ライトは上で何があったか話してくれた。
見た目は普通の人間と変わらないが、その中には人間とは別の何かがあるのは俺は知っていた。
2代目破壊の神によって天界を襲撃された。
自分の親は誰かわからず、俺は3代目達に外へ放り出された……。
何故自分だけ逃がしてくれたのか……それは今の自分にはわからないと、オドオドしながらも話してくれた。
「つまり、お前は新時代の破壊の神だと……」と俺はその話を聞いて、確認しようと問い掛けた。
「うん……。いつ戻れるかなんてわからない……もしかしたらもう戻れないかもしれない………」と下を向き、そう呟いた。
まだ幼い彼には荷が重すぎたのだ……。
「そうか……俺はグア・ソシアルだ。一様勇者だ……」と俺は一様だが自己紹介をした。
すると、奥の扉が開き、もう一人の青年が何かを持ち近づいてきた。
「グア!できたよ……」とグアとライトの間にあるデーブルにそれを置いた。彼の食事を作ってくれていたのだ。
その青年はグアとは違く、体型などは小柄で奥の壁には剣と弓が掛かっていた。
恐らく、この人が弓使いだ……。
「トム・ヒート、僕も一様勇者だよ……よろしく」とグアとトムはライトに手を伸ばした。
「あっ……」と何かを発しようとしたが、何かが解けたかのように言葉が出てこなかった。
その代わり、瞳から涙がこぼれた。
「あっ……り…がとう………あぁぁぁぁぁぁぁっ」とライトは今の思いがいっぱいになり大声を上げ、涙をこぼした。
そんなライトの両手にグアとトムは握った。
その瞬間、握られた手が純白の光を発した。
「なっ……」
その光は目を開けられないほどに強くなり、すぐに消えていった。
「一体何だったんだ……」と二人は困惑して、辺りを見渡した。
すると、壁に掛けられていた剣と弓が全くの別物になっていた。
「グア……これって………」二人はそれを見て、すぐにあれだと分かった。
「あぁ…神器だ……」黄金と純白で創られている剣と弓が目の前に現れた。
「願いとふとした所に神器は現れると聞くが……」
願い……守ること………。
そう俺達二人はライトを守るという願いを決めた。
そしてライトの方を向くと、伏せあっという間に寝ていた。
これが、俺達が出会い……大魔王を倒すという神と勇者の物語の始まりだった。




