第110話:理さえ断ち切る者ジュウロウ・ハリアート
和国は完全に孤立した国…私はそこで育ち日々淡々に修行を積んで行った。
私がなぜ、破壊の神の守護神となったのか…それは光とは別の方向に進んでみたかった…。
…ただそれだけだった…。
私は破壊の神の手下となったこの刀を持って、私はもっと強くなっていった。
その先には何があるのか…私は結局見られることができなかった。戦いに負け、私は守護神を去った。
だが今になって、私はこの方なら…と思った…そんな感じがした。
「てぁぁぁっ!」レイムは翼を開き、光速でジュウロウに近づき剣を振った。
ジュウロウは刀を前に出し、レイムとぶつかり合った。
自分の力と翼で…だがそれもまた自分の力だと言える。
だがそれではジュウロウには勝てるわけがない…。
「一度は敗北を知ったほうがいいのではありませんか…」とジュウロウも挑発をした。
それを聞いたレイムの眉がより、挑発に引っかかった。
彼の強みは剣術もそうだが、気配の察知やタフで体力もある…それに対して攻撃力は最強だが今のレイムの攻撃は刀で止められてしまう…力の差は総合で7:3と言う所だろう。
ジュウロウが7でレイムが3となる。
何故、そんな差が生まれるのかと言うと…単純に生きてきた年数の数だ…ジュウロウはレイムより3000年以上前から加護を受け、この世界に生きている…そんなに時間があれば、対策などの技は当然奥に秘めているだろう…それに対してレイムは単純かつだが破壊力はいいだろう…それが勝負の分かれ目となるに違いない。
二人が戦う広場の周りには森林に囲まれ、その中からロナが一人でその戦いを見守っていた。
勝ち目は攻撃を相手に連続で放てば防御が崩れるだろう…。
レイムの頭にはそれがあった。
だからこの後、攻撃を叩きこむ!
「はぁぁぁっ!」レイムは上に刀を跳ね返し、片手に神雷・破槍を持ち思いっきり突いた。
だが、ジュウロウは軽々と刀の表面で受け止めた。普通の剣ならそれをやった瞬間折れるが神器も3000年以上も肌に離さず持っていれば、そうなるだろう…。
レイムはジュウロウの顔を見ると、一切表情を変えていなかった。
「くそぉぉぉっ!」自分の攻撃が相手に当たらなくムカつき始めた。
「まだまだですぞ…これでは大魔王に勝てても、他の世界七神皇帝には勝てまい……大魔王と君とは完全な差があった。大魔王は単に君と同じ…そしてその中で君の方が力もその使い方もよかったから勝てたまで…他から見れば、雑魚の戦いだ……」ときついことをレイムに投げかけた。
「何だと……」とレイムは怒った。
するとジュウロウはランスを跳ね返し、レイムと距離を取ると刀を後ろに向け、そして…。
「本当のことだ…つまり今のお前と大魔王は自分の力でさえも少ししか知らず、他のことは存在も知らない…それでは新時代になった瞬間…君達は他の最強の奴らに消されるだろう…だから私がレイム、お前だけに教えてやる。大魔王には初代の世界七神皇帝にでも教わりに行けと言え!」と語尾を投げ捨て、大きく息を吸った。
「力と言うのは自分の想像でなんにでもなる……『一空間斬り・覇刻』!」と大きく刀を前に振った瞬間、斬撃が空間を斬りながら高速でレイムに放たれた。
その斬撃をレイムは剣で受け止めた瞬間、後ろに吹っ飛ばされた。
「あはっ……」と背中を地面に強く突き倒れた。
だがジュウロウは刀を上に上げた。
「まさか……まだ…」レイムはまだ地面に転がっているがジュウロウは試らず次の技を放った。
「『空間破壊・黒撃』!」刀を縦に振って名の通り、とても高く黒い斬撃がレイムに向かってきた。
「これから、私が教えてあげます…だから死ぬことはないがちゃんと地に立ってください……」と不気味で勘違いするような笑みを浮かべた。
まさかそんなハードだなんて…だけどこんな所で…。レイムは手を前に出した瞬間背中の翼が前に動き壁を作った。
そして幾千の羽の塊と黒い斬撃がぶつかり合い強い衝撃がレイムに走った。
「くっ……こんなに重いなんて………」レイムも斬撃も引かず、レイムは耐えていた。
「破壊の……手ぇ……」その瞬間レイムの背後から無数の漆黒の手が斬撃を通り越してジュウロウに向かってきた。掴みつぶせ!…破壊の手。
そして無数の手がジュウロウに近づいた、その時刀を一振りした瞬間、破壊の手が全て消滅した。
「まさか……そんな………」破壊の手が消滅し、頭の中にはあり得ないという言葉が駆け巡り、その瞬間レイムの中にあった力が消え前に出した手も下がり…破壊の翼は弾き飛び、レイムは斬撃に飲み込まれた。
最強と思っていたものが敗北を知った時、力が体から抜けていく…。
ジュウロウはわかっていた…かつての自分も等しくそうであったから……。
「それが今の自分の強さだ……敗北を知った者は必ず、更に強くなる…無敗の者はいつか必ず破れるのは目に見えている……さぁ、その敗北で私に勝ちその心を示せ!…それが可能なら私は再び守護者の一人となろう…」刀をレイムの方に向け、その顔は引き締まり一ミリも乱れないものだった。
そしてレイムはゆっくりと地面から離れ、起き上がった。
そうか……私はこんなに……。あの一撃を込めたジュウロウ…レイムにはそれがわかった。
自分の力を…。
レイムは剣を後ろへ向け、低く腰を下ろした。
「『破壊・一刻』!」とレイムは剣を振った瞬間、さっきとは比べ物にならないくらい横に大きな黒い斬撃が放たれた。
「おぉ、早くも…」ジュウロウは笑みを浮かべ喜びつつも、その斬撃を止めた。
次にレイムは剣先をジュウロウに向けた。
「てぁぁぁぁっ!」剣を前に突き出した瞬間、黒い線が飛び出した。
その線は光を放った瞬間、七つの斬撃になり、斬撃を止めているジュウロウに突っ込んだ。
「ぐっ……」七つの斬撃は一つ一つ方向が違く、全部防ぐのは不可能に近い…。
「やはり…覚えが早い……ではここからは本気で行きます…」とジュウロウは珍しい構え方をした。
姿勢を低く保ち、刀を肩より高く上げた。これでは最初に走ることはないということが読める。
目を閉じた瞬間、体に破壊の鎧が展開し、レイムはゆっくりと紋章が刻まれた目を開いた。
「はい…最強のその先へ……」剣と顔の距離があともう少しで接触するという所まで上げ、ここからは二人とも本気モードだった。
この戦いで得られるものはあの人からでもあり、自分からもあることを気付いた。
ここからは自分の想像と全身で戦い勝つこと…それだけ…今の自分からその先の自分へ……。
その瞬間、紋章が刻まれた目から黒い光が漏れ始めた。
「さぁ、近道なんていらない…それことが冒険であり成長であり物語だ……」
レイムから波動や光が出て、この戦いで得られるのは強大な何かだと考える。
「これが、新世代の破壊の神……なんと神々しい…」ジュウロウはあるものを心に決め、ここから二人の本気のガチバトルが始まる。




