第11話:強いパーティー
「では、戦闘を開始する……始め」ザレムの声ともにレイムとソージは地面を蹴り前に走っていた。
「てぁっ」レイムは大きく長剣を縦に振り下ろした。
そしてソージは左下から振り上げ2人の攻撃はぶつかり合い火花がじりじりと散った。
「くっ」レイムはその攻撃を両手で剣を持ち受けたが耐えることは難しかった。
さすがに両手でも力ではこの人には勝てない。
戦闘では力を強化することはできるが、今のレイムは自分の力だけでソージとソピアに相手をしていた。
これが、正々堂々の勝負なんだろう…。
自分の力とその剣だけで……。
開始と同時に突っ込むっていう作戦だったのに何であっちも…。
レイムは一旦距離を取ろうとした。
その瞬間、ソピアがレイムの左側から現れ長剣を大きく上から振り下ろそうとした。
レイムはソージの剣を上に跳ね返し、すぐさま後ろへ下がりソピアの攻撃を避けた。
「はぁ、はぁ」
危なかった。
なんで速さ…剣が見えなかった。
これが、あの人達の力…。
さっき、目で追えなかった……。
するとソージとソピアはこっちに向かってきた。
「これで…」レイムは魔法で下の砂に向けて放ち大きく砂が舞い上がった。
これで目隠しにでもなってくれれば…。
そうか魔法も使えたのか。
俺は剣で舞い上がった砂を吹き飛ばした。
そしてソピアが光の魔法陣を出現させ光の力を放ちレイムに直撃した。
「…くっ」
我に力を…。
レイムは右手前に出し、破壊の力を放った。
「ふっ…」俺は剣に力を込め、飛んできた破壊の力を斬った。
くっ…破壊の力を斬った…だがまだだ。
まだ、力が戻っていない……だが、今の力で…。
するとレイムの背中から黒い翼が現れた。
だがあの時のように完全ではないがこれでもすごい破壊力を持っていた。
そしてレイムは再び右手を前に出し黒い魔法陣を無数に展開した。
…くそこれは防ぎきれない。どうすれば妹よ。
俺は妹を見た…。
すると妹はぶつぶつと何か言っていた。
何かを言ってる?…あの二人にまだ何か?…。
すると妹は俺を見て「私にまかせて」と言った。
「すべての光の力よ、私に力を」
ソピアはレイムと同じく右手を前に出した。
すると光の力が右手に集まっていった。
だが集まっている光の力が少し破壊の力と変わっていった。
まさか光の力を破壊の力にしている。
ソージは光の力が吸い取られいるのがわかった。
ソピアを見ると苦しい表情をしていた。
まずいこれじゃあソピアの力が全部吸い取られる。
するとソージはソピアに近づき右手を掴んだ。
「ソー兄…」ソピアはもう半分も力を消耗していた。
「大丈夫だソピア。2人だったらできる」ソージはそう言い自分を光の力をソピアに送った。
周りはいろんな力であふれていた。
「ソピアいくぞ」「うん」
2人は見つめ合いそしてレイムの方を見た。
「いけぇ~」と膨大な光の力の塊がレイムへとズドーンと大きな音を立て放たれた。
破壊の力に変えても、あの威力!…。
「全てを貫け、破壊の力」その言葉は理性を失っていた。
いろんな力が集まり黒々とした力がレイムの右手から放たれた。
そして破壊の力と光の力がぶつかり合った。
その周りは衝撃波の影響で蠢いていた。
…なっ私の力を食い止めた?。
まさかそんな…。
ヤバい…この力では負ける…。
その時レイムは理性を取り戻した。
そして2つの力消え、衝撃波が止んだ。
「何っ!」何故、消えた!…。
すると「止めぇぇぇー」というザレム様の声が響き渡った。
「なんでここで止めるんですか」
これじゃあ勝負がつかないのに…。
ザレム様はその理由を話した。
「神の攻撃と同等の力を生み出せるなんてもうこれは強いといっていいんじゃあないのか。さすが光の勇者だな」
いやっ…私の力は全て回復していないんだけど…。
ザレム様が珍しく人間を褒めるなんて…。
「レイムどうだ、決めるのは私ではないが…私だった入るぞ」
「なんでですか!…私は…」レイムはどこかで悩んでいた。
私の行く所なんて…。
「こんな所にいたってつまらないだけだぞ。お前はまだ若いんだから、新時代まで好きしたらいいんじゃないか……」
レイムはその言葉で自分の何かを防いでいたものが消滅し、自然と涙を流した。
「そんな親戚のおじさんみたいなこと言うんですか」とレイムは泣きながら訴えた。
俺は心の中ではいや親戚じゃあないのか…と助かった~でいっぱいだった。
そして俺は妹の方へ駆け寄った。
「妹よ大丈夫か…」
「うん…」
妹は何か気になるのかいつもみたいに元気がなかった。
まだ、力が回復していないんだろう。
「わかった…私の好きなようにしてみるよ…」レイムはザレムに告げた。
こうして俺達は神との戦いを生き残り、破壊の神レイムは俺達のパーティーに入ることになった。
そしてなんだかんだで次の日…。
レイムやソージ、ソピアの力は完全に回復した。
旅立ちの日。
俺たちは城の入り口の前でレイムを待った。
「やっほーお待たせ」レイムはいつもと何も変わらなく来た。
「えっとまあついていくって聞かないからロナを連れていくね」それは犬のぬいぐるみみたいな妖精だった。
「よろしくお願いします」とソージ達に頭を下げた。
レイムの側近か…まぁ、いいとするか…。
「まあいいぜ」
「うん。大歓迎だよ」
二人はその姿が可愛らしく、好評だった。
パーティー人数が増えるのは俺も嬉しいが…。
「レイムなんで何も持っていないんだ」ソージはレイムが身に着けているものが、剣以外に見当たらなかった。
「あっ持ち物はこのポーチに入れてあるから」
レイムは腰にぶら下がっているポーチを指さした。
すごい便利だな。
「じゃあ行ってくるね。ザレム様…」
ザレムはレイムの頭をなでながら言った。
「次合う時は、新時代でな……」
レイムはまた涙を流すのかと思ったが笑顔で顔を上げ「うん。次合う時は新しい時代で…」と言った。
その新時代はいつに来るのか……。
それはここからまだまだ先の話だろう…。
そしてレイムと俺達は旅立つ時が来た。
俺は結局、妹の考えがわからないままだった。
そもそも何故、ソピアは破壊の神に会おうとしたんだ…結局の所…。
その時上からたくさんドラゴンが現れた。
多くのドラゴンから一匹が下りてきて首を曲げレイムに顔を近づけた。
その姿はとても美しく種族の王を誇っていた。
最強の神、破壊神が創ったドラゴン…全ての属性を操り、戦闘に合わせて使い分けている。
生息地はディスラクシェント王国全体であり聖域を守っている。
種族の中でも最上位に入る強さを誇る。
「レイム様行ってらっしゃいませ」とドラゴンは言葉を発した。
「うん。君達もありがとう」
最強の神が創ったと言われているドラゴンその姿は神の使いだった。
これほどの迫力とは…まさかに種族の中の最強格だ。
破壊の神レイムはザレム様や種族達に見届けてもらいそしてドラゴンの背中に乗りディスラクシェント王国を出て風の神の領域である森へと向かった。
そう、ソピアの言った、もう一人の仲間を探しに……。