2歩目:つながりだすもの
大丈夫。まだ壊れてないよ。
心配しないで、壊れるまで歌い続けるから。
朝、HRの時間から俺に悪夢は訪れたんだ。
『今日は転入生が来たぞ〜。』
『先生!可愛い子ですよね?』
『ばーか、男だ。』
・・・どこでも、転入生が入ると騒ぎ出すんだよな。
まぁ、俺には関係ない。適当に仲良くすればいい。
『どうもー。可愛い女の子じゃないけど阿昼颯太です。よろしく〜』
ずいぶんと軽そうな奴。それがこいつの第一印象だった。
黒板の前に立つ姿はひょろっとしていて、でもガリガリってわけじゃないし。
体育系の体つき。顔もかっこいい。何より肌も白い。
その辺の女の子より白いんじゃないかな?
『よろしく。』
「あぁ、よろしく。俺は竹内柚希。何かあったら言えよ?」
一応の社交辞令。まぁ、そんなに関わる必要は無いと思う。
クラスの女子たちが頼んでもないのに世話を焼いてくれるだろう。
俺もそれを経験したから間違いないだろう。
そして、それはHRが終わり次第始まるとして。
奴の席はドア側に近い。俺の席は窓側に近い。女子の3分の2がドアに近い比較的前の席に座ってるから、
黒板の前ぎりぎりを通って廊下に出れば女子の波に飲まれないですむだろう。
まぁ、俺は逃げるがオレンジ頭クン、せいぜいがんばるんだな。
最初の授業は・・・理科か。
あの先生嫌いなんだよね。サボっちゃおうかな。
逃げた後に、屋上へ直行すればいいか。
【キーンコーンカーンコーン】
戦いのコングがなった。
俺は女子の波に飲まれるオレンジ頭を尻目に屋上へと足を動かした。
『はぁはぁ、おい。竹内。お前知ってただろ?』
軽く睡眠をとっていた俺に影と低めの声が同時に落ちてきた。
「・・・。知っていた、とは?」
『女子に囲まれること。』
・・・・それを言うためだけにここに来たのか?
バカなのかこいつ?
「え?君みたいなカッコいい容貌をもった人は囲まれちゃうんだろうなとは考えてたけど?本当に囲まれるとは思わなかったなぁ。」
『嘘。じゃぁ、何であのルートで教室を出て行った?』
ほぅ、こいつなかなか洞察力があると見た。
「?俺はたまたまあの道を通っただけだけど?」
『・・・・。そう。・・・ぁ、涙!こっち。』
オレンジ頭はそう叫んだ。
おかしい、人の気配はしなかったのに・・・。
いつの間にか、アニメの王子みたいな容姿の奴がフェンスに寄りかかってこちらを見ていた。
『あっれ〜、颯太さんもう友達になったんですか?』
『おぅ。まぁな。』
「って、いつから俺がお前と友達になったよ。っていうか、なに君?俺のこと知ってるの?」
『はい、校内で結構噂になっていますよ。成績優秀・性格良し・顔良し。3拍子がそろってるって。俺の友達が先輩の憧れですよ。』
性格よくないと思う。自分でもね。
『ねぇ、竹内はなんか部活に入ってるのか?』
「入ってないけど。何で?」
いちいちうるさいやつだなぁ。・・・今までこんな風に突っ込んで聴いてくる人はいなかったから疲れるのか?
『だったら、俺らと一緒のところでバイトしない?』
バイト?何でいきなりそういうことになるんだ?
「遠慮しとく。金に困ってるわけじゃないしな。」
第一、面倒だ。
『よし、じゃぁ今日の放課後3人で行こうな。なーに、大丈夫。俺についてれば上司も怖くない。』
オレンジ頭は言った。
『?竹内さん、なんで颯太さんのことオレンジ頭って呼んでんですか?』
・・・・。俺は口に出してこいつをオレンジ頭と呼んだか?
『・・・。なーにいってんの。涙。竹内はそうやって呼んでないよ?』
そのはずだ。口には出してないはず。
『・・。あ、そ、そうですね。言ってませんよね。へんなこといってすんませんっす。』
この2年生も気をつけねぇとな。
ニャァァ〜
どこかで猫が鳴いた気がした。




