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2016年/短編まとめ

年末年始ポスカ用SSの残骸

作者: 文崎 美生

窓の外はすっかり暗くなり、白いものがチラついていた。

今朝から降り続けたそれのせいで、今日も、ついでに明日も雪掻きだ。


「だから冬は嫌いだよ」


「アンタ、夏も嫌いでしょう」


年末年始のスペシャル番組を見ながら、ぼんやりと呟くと、頬杖を付いていた幼馴染みがこちらに視線を向けた。

黒縁眼鏡が、蛍光灯の光に当てられて、キラリと光る。


「極端な季節が嫌い。後、冬はまた来年ってなるから嫌い」


結局今年も死ねなかったよ、そういう意味を込めて言えば、皮の剥かれていない蜜柑が投げ付けられた。

鼻が潰れるかと思ったが、そんな簡単な話ではなく、炬燵布団に入れていた両手を出す。


テーブルの上に転がったそれを拾い上げて、自分の手で剥き出せば「どうせ来年も死ねないものね」と言われてしまった。

異論反論、色々と唱えたいところだが、毎年恒例のやりとりなので、そんなこと唱えられるはずもない。

幼馴染みの言っていることは、あながち間違いじゃないのだ。

現にボクは生きている。


蜜柑を剥き終わったところで、テレビの中からバラバラな「ハッピーニューイヤー!」が聞こえた。


「……今年も宜しくしてね。生きてる限り」


「どうせ今年も死ねないんだから、宜しくするに決まってるでしょう」


ボクが剥いた蜜柑を半分、奪い取った幼馴染みが笑うので、ボクも小さく笑ってみた。

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