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銃で撃たれた 痛む傷痕

作者: 志月 胡斗

本当に私が寝ているとき、夢でみた光景を再現したものです。

私は小屋の中にいた。小屋は森の中の開けたところ、日が射したところにあった。静かで居心地がよく、暖かかった。小屋には私のほかに18くらいの少年がいた。少年は窓辺に立って外を眺めていた。そこへ、1人の老人がやってきた。しかし、一言もしゃべらずに裏口から出ていってしまった。次に刑事が2人入ってきた。1人はヒョロっとしたのっぽで、もう1人はがっしりとしていて大きかった。刑事は少年に近づく。

「何か分かりましたか」

少年が聞く。

「ん……これから行こうと。お前も来るか」

「いや、いい」

少年と話が終わると、刑事は静かに出ていった。少年は相変わらず、外を眺めている。小屋の中は静かで気味が悪いくらいだった。

「刑事さんは?」

少年は刑事が帰ったことを知らないらしく、私に尋ねてきた。

「帰ったよ」

「うん、そうか」

少年はそう返事をすると玄関に向かった。私もそれについていく。玄関には帰ったはずの刑事の靴が置いてあった。

「あれ、僕の靴がない」

確かに玄関にあるのは、刑事の靴が2足と私の靴だけだった。

「ま、いっか」

少年はすごく大きな刑事の靴を履いて外に出た。あわてて私も後を追う。少年は森の道を歩いていった。私はある程度、距離をとりながらついていく。しばらくすると、コンクリートの道にでた。奥には自動車がビュンビュン走っていた。左側には芝生があって、そこで警視庁の刑事と鑑識が捜査していた。歩道は、手前にあり、左の芝生で行き止まりになっていた。少年かま10人ほどいる警視庁の人間の中に入っていった。少年は刑事たちから話を聞き、観察していた。少年は近くにいた刑事に、電線のたるみを指摘した。すると次の瞬間、まわりにいた警視庁の人間が全員で少年を囲み、ライフルを向けた。

少年が殺される!


私が行動を起こそうとしたときである。少年を中心に円になっていた人たちが、一斉に外側を向いた。一部のライフルの銃口が私の方に向けられる。

「ふせろっ!」

少年の叫ぶのが聞こえる。私はうつぶせになって、匍匐前進しようとした。ライフルの弾が頭上をとんでいく。前方に木が見えた。あの陰に隠れよう。

私の左には女性がいた。彼女はすでに脚をケガしていて動きにくそうだった。進むことすらできないようだ。

肩に激痛が走った。力が抜け、上半身が地面についた。肩には銃弾がかすった痕があった。もう前には進めない。後ろを振り返ると少年が見えた。無傷で刑事たちの中にいた。銃弾がこちらに飛んでくるのが見えて、思わず目をつぶった。腰に激痛が走ったと同時に、意識がなくなった。




目を開けると私は家にいた。1階には母らしき人物と、妹らしき人物がいた。

「ねえ、ママ。今日、肩痛いから学校休んでいい?」

私は階段を下りながら聞く。

「どうせ、ただのかすり傷でしょ。行きなさい」

「でも、痛いもん」

私は自分の肩を見ながら文句を言う。私の肩は、銃弾がかすったとは思えないくらいきれいに治っていた。少し青紫の痣ができたくらいだ。腰のほうも銃弾が直撃した痕などなかった。






ここで、私は実際に目を覚ます。それまで今までのことを現実だと思っていた私は混乱する。Tシャツの裾をめくってみるが、もちろん痕はない。ただ、傷痕は不思議と痛み始めた。


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