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1 「店を出たら草原」

俺は異世界に飛ばされたことがある。


そんなことを突然知人が言い出せば少し前の俺はそれを笑って冗談だと思ったと思う。でも今の俺はそれを冗談だと言って笑えなくなってしまった。


俺が異世界に飛ばされてしまったからだ。


だだっ広い草原の中で俺は空を仰ぎ見る。


青い空を飛んでいる生物がいた。

長い首に長い尻尾、赤色の鱗が日の光を反射して赤く光り、巨大な翼を羽ばたかせながら空を飛んでいた。その生物はまさしく物語の中で語られる架空の生き物である西洋竜、ドラゴンだった。こんな状況にも関わらず思わず携帯を取り出して空を飛ぶドラゴンを撮った。


最大まで拡大して撮った画像をさらに最大までズームするとドラゴンの口の辺りに白い牙や金色の瞳があることを確認することができる。翼は鳥のような羽毛ではなくやはり蝙蝠のような薄い皮膜のようであった。想像上のドラゴンの姿によく似ていた。


しかしドラゴンが実在するなんて聞いたことがない。いや、大昔は恐竜というドラゴンに似た大型の爬虫類がいたことは知っているが、人類が誕生する以前に絶滅し現代では化石としてしか見ることができなくなっている。それにスーパーの出入り口を通って外に出たつもりが気付けば、ドラゴンが空を飛んでいる全く見知らぬ草原にいる状況は、その手の本を読んでいる俺にはここが異世界だと思う方が余程理解しやすかった。


「異世界に来ちまったのか」


だだっ広い草原にポツンと一人立つ俺はしばらくドラゴンが消えた空を眺めていた。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




何が起きているのか分からないことだらけだが、取りあえず今持っている物を確認するか。

ここが本当に異世界なのかは分からないが自分が何を持っているのか把握しておくことは大切だ。

作業に入る前に手に提げていたいくつかのビニール袋や紙袋を地面に下ろしてその中から飴の入った袋を探して取り出した。


味はグレープにしようかな。


飴の袋を破ってグレープ味の飴を取り出して口の中に放り込む。飴の甘味が口の中にじわぁと広がっていく。飴を舐めていると気分が落ち着く。コロコロと口の中で飴を転がしながら俺は確認作業に取り掛かった。


ここしばらく金がなかったせいで後回しにしていたものを一度にまとめて買ったせいで今所持しているものはかなりの量となっていた。

少し遅い衣替えで買った衣類や下着、独り暮らしであると便利なカップラーメンやちょっと物足りない時に便利なインスタントスープ、それに新商品という言葉に刺激されて買ってしまったおいしいかわからないインスタント粥などのインスタント食品類。他にも電池式の湯沸し器があったり、切らしてた調味料やシャンプー類、手入れを怠ったことで蓋回りにカビが生えてしまい新たに買うことになった2Lの水が2本に、夕食用に買った惣菜品だったりと買ったものをいくつか上げていくだけでも大荷物なのがわかると思う。


買ったものとは別で財布とかハンドタオルとかを入れた手提げ鞄もある。ズボンのポケットには携帯やアパートや自転車の鍵が入れてあった。


「あ、自転車」


スーパーの駐輪場においていた自転車はどうなったんだろうか


キョロキョロと周りを見渡してみたがそれらしいものは見当たらなかった。出入口から駐輪場は少し離れてたし一緒に飛ばされなかったのかもしれない。


「まいったな」


しかしだとしたら少し困ったことになった。


「この荷物はどうしようか」


全部合わせたら総重量は十キロ越えてそうだ。このあとこの広大な草原を移動することを考えるといくらか捨てないと厳しいだろうな。


「うーん、どうしようか」


どの道自転車がないのなら全部は持ち運べないので捨てないといけない。


ガガァ!


「ん? 」


何を捨てるべきか悩んでいると、聞いたことのない鳴き声が聞こえた。


ガガァ!


あ、また聞こえた。

その鳴き声が気になり周りを見回すと少し離れた茂みに緑色の肌をした二足歩行する異形の生物を複数見つけた。


ガガァ! ガガァ!


俺はゴブリンと遭遇した。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




ゴブリンと遭遇した。

しかし、戦闘に発展することはなかった。


「ガガァ! 」


「ガガァ! 」


目があったゴブリン達はこっちを見て鳴き声らしき声をあげていたが、危害を加える気はないようで、しばらくしたら茂みに姿を隠すようにしてこの場からいなくなってしまった。


「ドラゴンに続いて今度はゴブリンか……。ハハ、ますます異世界色が濃厚になってきたな」


緑色の肌をした人よりも小柄な異形の人型、ゴブリンが茂みに姿を消していくのを見ながら俺は頬をかいた。


「ゴブリンかー………この調子だとエルフとかドワーフも出てきそうだな。獣人もいそうだ」


獣人は獣が二足歩行しているのから人に獣耳と尻尾をつけただけのまで色々とパターンがあるけど一体どれなんだろうか。

エルフとかもやっぱり長寿で高慢なのかなー


そんなことを考えながら改めて周囲を見回す。

広大な草原は、ポツリポツリと木々が生え腰の高さくらいはありそうな草がとろろ所生い茂っているだけで他には何にもないとろこだった。動く影は見当たらないけど、木や茂みの中に隠れて見えないだけかもしれない。

ここにいる生物が先程のゴブリンのようにこちらに危害を加えないとは限らないので警戒しとくに越したことはないだろう。

というか、今まで無警戒で所持品の確認作業なんて無防備過ぎた。

ドラゴンが空を飛んでゴブリンが地を徘徊しているところなんだから襲われることも視野にいれておかないといけなかったな。


でも仮に襲われなんかしたら……


「逃げ一択だな」


武器もなしに野生の生き物にどう対抗しろと言うのだ。

幼い頃に習った合気にはそこそこ自信はあるが、所詮付け焼刃の護身術。達人ならともかく素人に毛が生えたような生身の人間が過酷な弱肉強食の環境を生き抜く生き物と真正面から戦うなんていうのは馬鹿のすることだ。ましてや幻想のゴブリンが出てくるようなこの場所にいる生き物なんて野生の動物以上に予測不可能な危険な存在だ。楽観視することは出来なかった。


「……とは言っても現状周囲を警戒することぐらいしかできないな」


今持っている武器になりそうなものは……



ペットボトルとか?

いや、持ちにくいな。そうするとソースのボトルとかも無理だろう。


水を浸したタオルとかはどうだろうか?

ダメだな。確かに先っぽが団子状にすれば簡易の鈍器になるけれど威力が微妙だ。


重りを入れたバックは……威力はありそうだけど磁石で留めるタイプだから当てた衝撃で中身が零れ落ちそうだ。同様にビニール袋も無理そうだ。


「あっ! ―――ってダメだなこれは……」


ブラックジャック、という名案が今、頭を高速で駆け抜けたが現状無理だった。

ブラックジャックにするには今俺の履いている靴下は余りにも短すぎる。買ったものの中にも靴下はあるが、長さはそんなに変わらない。砂詰めて投擲武器にすることくらいはできるだろうが流石に勿体ない。


やはりというか、武器になりそうなものがないな……


「うーん……あ、七味」


ゴソゴソと袋の中を漁っていると、七味の詰め替えパックを見つけた。

相手の目や鼻といった敏感な場所に七味をかけたらよく効きそうだ。問題があるとすれば七味を相手の顔にぶちまける際にかなり接近しないと難しいことだろうか。それに使える回数も限られる。……取りあえず保留にしとくか



他には何かないだろうか………そう言えば鞄の中に筆箱を入れっぱなしだったな。


そのことを思いだして俺は鞄の中身を漁ってみたら、底の方にタオルに隠れるようにしてあるのを見つけた。


もし中身が俺の覚えている通りなら


「お、やっぱりあった」


予想していた通りハサミが見つかった。立派な武器である。


百均で買えるような安物じゃなくって割とちゃんとしたよく切れるハサミだ。しかも2本ある。


布の裁断用のハサミと普通のハサミだ。裁断用のハサミはよく切れるので家庭科で裁縫道具を使わなくなってから筆箱に常駐するようになった。普段は2本のハサミを気分で使い分けてた。


あとシャーペンとかボールペンも使えるな。思いっきり突き刺せば刺さりそうだ。


他には……鍵かな?


指の間に挟んで即席メリケンサックにするのを聞いたことがある。効果があるのか微妙なのでこれは保留かな。


「取りあえずハサミを両方とも出しとくか」


ポッケにでも入れておけば直ぐにでも取り出せるだろ。

所詮気休め程度が有るに越したことはない。というわけで所持品の確認と武器の用意ができた。


取り敢えずの目標は、草原を出て現地の人と会うことだろうか。



「さてと、どこに向かおうかな」


どこに向かっても大差ないけどな、と思いつつ俺は適当に決めた方角に向かって歩みを進めた。



結局どれも捨てきれずに重い荷物を背負って当てもなく草原を進み始めた俺は、この後1週間も草原を彷徨うことになるとは思ってもいなかった。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




あれから1週間が経った。

どうやらマジで俺は異世界に迷い込んだらしい。1週間も草原でサバイバル生活をしていればそれぐらい理解できた。


不幸中の幸いと言うべきか衣食住の内衣食は手持ちのもので解決できたが、寝床の確保には苦労した。お陰で寝不足でかなりまいってる。



あれからずっと草原を彷徨っているわけだが、モンスターを何度か近くで見かけることがあったが、結局襲われることは一度もなかった。


目が合うこともあったがどのモンスターもしばらくこっちを見た後は何もせずに姿を消した。

理由はよくわからないがまぁラッキーと思って深く考えないようにしている。どうせ考えたところで答えは出てこない疑問だ。因みに今まで見かけたモンスターはドラゴンとゴブリンの他に、角ウサギ、紅シカ、コボルド、サーベルタイガーと名付けたモンスター達がいた。



角ウサギは、その名の通り額から鋭く長い角が生えている。草食のようだが一度間近で見れた時は角の先が血で赤黒く染まっているのを見た。角は威嚇目的だけじゃなくて実用もされているようだ。見た目に反して攻撃的らしい。角ウサギは、俺に気付いた後も気にせず暢気に草を食んでいたが怖くてとてもそれ以上近づこうとは思わなかった。ましてや触る勇気なんて微塵も湧かなかった。


紅シカは、シカに似た姿と毛並みをしていて、角の部分は紅のような赤い水晶のようなものが生えている。夕方に群れで走る姿を遠目で見ることができたが、太陽の光を反射して赤く光る角がとても幻想的で綺麗だった。


コボルドは、大型犬が2足歩行をしたような姿をしていて、猿人の犬バージョンといった感じだ。ゴブリンのように衣服や武器を持っていた。と言っても剥いだ毛皮を直接巻いたような服に木の枝に石を蔓で巻いて固定したような石斧なので知性はあるみたいだがそれほど高くないようだった。


そしてサーベルタイガーは、口から長くて大きい真っ白な牙を生やした白い虎の姿をしていた。夜間に一度遭遇した。と言っても襲われることはなく敵意のようなものは感じられなかったが俺を探るような様子で少し離れた場所に座り込んでずっと見られた。正直その時は生きた心地がしなくて朝まで一睡も出来なかった。試しにとばかりにパック詰めされた生の鶏肉を投げたところを、その肉を咥えて去って行った時は心底ホッとした。3日くらい常温で袋の中に入れっぱなしだった肉だったが、果たして大丈夫だっただろうか。

まぁ、中って復讐にこないことを祈ろう。



他にもこの草原にはいそうなのだが、はっきりと見たモンスターはそれだけだった。因みに地球では見たことのない生き物はモンスターということにした。名前は見た目から適当に命名した。


早くここを出て現地人と接触したいところだ。



野宿だと襲われないからといって安心できるわけがなく、夜は微かな物音でも過敏に反応してしまい碌に眠れてない。このままこの状況が続くと精神をやってしまいそうで怖い。一刻も早く安全な寝床が欲しいと切実に思う。


あとこの1週間で俺は異世界転生定番の特殊能力を使えるようになった。あ、いや転生したわけじゃないから転移か? ………まぁ、そんなことはどうでもいい。兎も角そんなわけで異世界に来て俺は特殊能力を使えるようになった。


その能力に名前を付けるとしたら


『複製魔法』



名前の通り、物を複製する能力だ。このお陰で俺は衣食に困ることはなくなった。


複製魔法が使えるようになったきっかけは3日目の朝のことだった。

食べ物はインスタント食品がたくさんあったので何の問題もなかったのだが、2日目の夜で水が尽きてしまった。未だに川や池といった水場を見つけれず、補給する目途の経ってなかった俺は、そのことに漠然と危機感を募らせていた、そんな時だ。朝起きて喉の渇きを覚えて水を欲した俺の目の前に虚空から水の入ったペットボトルが現れたのは。


何かが体から抜け出た感覚と共に現れたそれに初めは寝惚けたのかと思ったが、蓋を開けて口に含んで、それが本物だと分かった。そのことに驚きつつも喉の渇きを潤した。


俺が複製魔法を使えるようになったのはそれからだった。

この能力を『魔法』と称したわけは、虚空から物が生み出されることと生み出す際に体から何かが抜け出る感覚を伴うからだ。俺は、その何かを魔力と仮定して物を生み出すために自分の魔力を消費すると考えたからだ。

『複製』と称したわけは、生み出せる物が俺が所持していたものに限定されていたからだ。そして生み出された物は、ここに飛ばされた時の状態だったからだ。生み出したペットボトルは未開封であったし、生み出した携帯には異世界に飛ばされたその日その直後の時間を示していた。


つまり、綺麗な水を飲み放題、惣菜を食べ放題、インスタント食品も食べ放題、着替えもタオルもあり、洗剤もあるから体を洗おうと思えばできる、ということだった。そんな複製魔法が使えるようになったのでサバイバル生活のド素人なのに睡眠以外は問題はほとんどなかった。お湯だって電池式湯沸しポットがあるから簡単に用意できた。インスタント食品をポットで沸せたお湯を注げば火なんて起こさなくても食事はできたし、鞄のストラップとしてつけていた小型LED電灯で夜の明かりを確保できた。ひとつで心許ないなら電灯を複製してセロハンテープで束ねてしまえばかなりの明るさになる。


負担になっていた荷物も何故か複製できてしまった自転車で随分と楽になった。複製した物は任意で消すこともできて不要になれば消せれるので嵩張らなくて助かった。

消すと生み出す時とは逆に体の中に何かが入ってくる感覚を伴うので、消したものは魔力に還元されて体に再吸収されるのだろうと勝手に考えている。





そんな感じで手持ちのものや複製魔法を使って何だかんだで草原の中で一週間生き抜いた。

そしてついに俺は草原から山に辿り着いた。しかも運がいいことにそこで現地の人とも接触できた。

初めて会った現地の人は茶髪で黒目で筋肉隆々のおっさんだった。

本人曰く狩人らしい、はっきりとは分からないけど弓持ってるしそうなんだろう。

おっさんから見て俺はかなり奇異に映っていたらしい。俺がおっさんに気付いた時弓を構えてはいなかったけどかなり警戒されていた。


まぁ、俺もおっさんを警戒してたからお互い様だ。いや、だっておっさんが山賊みたいな人だったら身ぐるみ剥がされて殺されたりするかもしれないじゃん。だけど少し話を交わすといい人そうだった。だから素直に迷ったから村まで連れて行ってくれいなかとダメ元で頼んでみた。


警戒されてるし無理かなーと思ったけど意外なことにすんなりOKしてくれた。ただここから村に帰るまで一日かかる上に山を越えなければならないらしい。

それを聞いた時は軽く絶望した。山登りとか、道なき草原を自転車で移動したくらいで全身筋肉痛になるくらい体力のない俺には苦行だ。既に尻と脚は限界な上に連日の寝不足などで疲れも溜って全身がだるいのだ。とは言え、この時を逃すのは惜しい。しばらく悩み俺は死体に鞭打つ覚悟を決めた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



山の中の移動なので、自転車など複製品は不要なものは全て決して出来るだけ荷物を軽くした。それでもオリジナルは消せないのでそれなりの重さの荷物を運ばないといけない。複製した鞄にオリジナルを入れてそれを両肩にかけた。ひとつやふたつじゃ収まりきらないので、肩にかけた鞄はいくつもある。


かなり重いです。



その作業をおっさんからは奇異の目でみられた。視線が気になり聞いてみるとやはり俺の使う複製魔法が珍しかったらしい。


そうだよなー。魔法みたいだろ-

と、てっきり魔法みたいなことをできることが問題かと思いきや物を複製する魔法というのが珍しいらしい。


あ、魔法自体は一般的にあるんですね。流石異世界


そんなことを言ったら何言ってんだお前?と余計奇異な目で見られた。



そんな感じで始まった山登り



心が折れそうです。

マジできつい。ホントに道なき道を歩いてるから斜面は急勾配で滑りやすいし茂みが行く手を阻んでくる。

おっさんは、俺と出会う前に狩ったという大きな鹿を担いでいてもすいすい行くけど俺に余裕は一切ない。

嵩張る鞄も邪魔な重りになってて余計きつい。

俺の持っている荷物の総量よりも重い鹿の死体を担いでいるのにまだまだ余裕そうなおっさん化け物かよ。

だけど、それでも食らいついていった甲斐あって日が落ちる頃には山を一つ越えれた。

今日は湧水が近い開けた場所にでの野宿となった。


もう体を動かしたくなかったが、おっさんに急かされるように野宿の手伝いをやらされた。言われるままに枯枝を拾ったり、おっさんの指示で鈴のようなものを周辺の木々にくくりつけたりした。

ふらふらしながら準備を終えて俺は、やっと人心地つけた。

おっさんも腰を下ろして自分の分の食事の準備を始めた。俺もお腹が減ったのでカップラーメンを作ろうと思い、ペットボトルごと水を複製して、それをポットに入れて湯を沸かしていると、おっさんが不思議そうに何しているんだ?と聞いてきた。


湯を沸かしてるんだよ。と答えると魔導具を持っていたのかとおっさんは少し驚いていた。


魔導具ってやっぱ魔力で動く魔法のアイテムなのかな?


そう勝手に思いつつ似たようなもん。と曖昧に答えておいた。

沸いたお湯をカップラーメンに注いで、出来るのを待ってから蓋をベリッと剥がして麺を啜った。


これまた食べているとおっさんがなんだそれは?と不思議そうに聞いてきたので、故郷の保存食と答えておいた。大体あってると思う。その時におっさんの食べ物を見たけど、おっきな肉とパン、それに丸いボール状のチーズだった。

肉は俺と出会う前に狩った鹿の肉みたいで焚火に翳して焼いて食べていた。美味いのかな?


そう思いながら俺は、二つ目のカップラーメンに手をつける。

喰いすぎな気もしないでもないが今日はそれだけエネルギー消費してるだろうし気にしない。というか体重とか気にしたこともないしな。


ご飯を食べ終えると同時に体の訴える欲求が食欲から睡眠欲に切り替わったように急に眠気に襲われた。

うつらうつらしていると、おっさんが俺に何か色々言った後、先に休んどけと言われたので俺は素直に礼を言って、眠りについた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] すぐに女を登場させない点。 昨今の盛り猿も真っ青な小説がはびこる中で、 「きゃー」とか「助けて!」からのヒロイン化が無い。 たったこれだけで超良作と言っていい。 「おっさんありがとう」だ…
2019/11/14 05:27 基地外女は糞くらえな名無し
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