創造神の眠りと至上神……。
微笑む…。
腕の中の愛おしい存在を見つめ……。
そして、愛するべきか、憎むべきか…悩む目の前の幼き神を。
ヨチヨチ歩きもままならぬ、ヨタヨタと近づき、頭を下げず、
「父上!!なぜ、私の子を旅に!!」
眼差しは、目を開けぬ愛おしい存在に似ている。
顔立ちも、同じく……柔らかい頬に白い肌……髪の色も……。
似ていて愛おしくそして憎い……この相対する想いをどう表現すれば良いのだろう……。
「……父上!!」
「大地は混乱しておる。お前の治めるべきアシエルを、お前が治めきれぬのだから、お前の子供たちが地に降りて治めれば良いことであろう。それも出来ぬなら……死ね」
冷たい言葉に、唇を噛む……しかし、キッと見つめ、
「父上は、必ず失敗する!!母上の優しさを、父上の身勝手さを赦す母上の想いを踏みにじる!!それが父上に解らぬなら、父上は必ず、私の子供たちに今までの強い命令では物事は進められない!!私の分身のこの世界は、父上の思い通りにはならない!!」
「それは楽しみだな……」
唇を歪める。
「必ず!!貴方の凍りついた思いが、どれだけ母上を悲しませているか、思い知ると良い!!私は、負けない!!」
「そうかそうか……泣きつくよりも、自分の弱さを思い知り、絶望を思い知るが良い」
クスクスと笑う父親に、母と同じ瞳で、宣言する。
「父上の思い通りには……なりません!!私の子が、世界を導く道しるべとして、大地に根付き、あるものは旅をし、あるものは行く末を案じて生きていきましょう!!そして……」
「なんだ?」
「父上の愚かさを、目が覚めた母上が見限るのを見て差し上げます!!ご安心を!!」
にっこりと笑い、心配したように、幼いよちよちあるきの息子を迎えに来たその子供たち……つまり孫たちが待っているところにたどり着くと、一番大きな少年が、
「父上?大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ!!僕はお父さんなんだから!!」
「って、よろけているじゃないですか」
抱き上げ、そして、祖父を見つめ、長男の少年が、
「おじいさま……ご安心ください。おじいさまの苦しみは、おばあさまもご存じですが、おじいさまは身勝手です!!泣いているおばあさまをなぜ知らぬのです!!では!!おじいさま……両親と弟妹は長男である私が守ります!!失礼を!!」
こうして、アシエルと言う星の物語が始まる。