表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
烏の羽根  作者: Taka多可
9/18

9、記憶


「んん~・・・」

その夜・・・

オレはいつも通り神社の木の上で寝転がった。


けれど、いつもはすぐに眠れたのになかなか寝付けない。

ヒトの姿のまま地面におりた。


フォボとディモがそんなオレを心配してか付いてきた。


「大丈夫だよ。 ちょっと散歩してくるだけだ。」


月が一番きれいな時間だ。




少し・・昔の事を思い出していた。

・・・・たしか、巣立ちしてすぐの頃だ・・・・・









――――――――――――――――――――――――――――――――――


久しぶりの里帰り…


人間が神社の境内へやって来た。

その時からなんとなく嫌な予感がしていた。


「おい、みろよ!カラス捕まえたー!」

「げーっヤメロよ気持ち悪りぃ。」

「ぁ、コレで改造銃の練習しようぜ?」

「おっいいじゃん。やろうやろう。」


黒い人間は、なにか知らないが黒い棒を振り回したり木を蹴ったりしながら五月蠅く騒いでいた。

よく見ると、捕まっている烏はオレの兄弟達だった。

片足をロープでつながれて、その片方は神木にくくられた。


 ガガガガガガガッ!  バンバン!!


聞きなれない不気味な音・・・

必死で逃げる兄貴、ぶら下がる弟や妹・・・




敵わない。 わかっていてオレは人間達の前へ突っ込んだ。


「ぅわあ!?」

        ガツン!



顔面に体当たりしたはずだった。

目をえぐってやろうと思ったけれど、見えない何かにはじかれて、地面に転がった。


「こ・・・こんのやろぉ!!」


   ドスッ……!



何が起こっているのかわからない。

自分の体が痛いのか熱いのか・・・そんなこともわからない。


目が片方見えないことに気が付いた。


顔になにか突き刺さっているらしい。動く事さえ出来ない。




どのくらい経ったのか・・・

まだ生きているのか、もう死んでいるのかも、いまだによくわからない。



そんなところへまた人間が現れた。



だが、そいつは皆をオレの近くへ置いた。

足からロープを外している。

そして、皆を布で一羽ずつくるんで地面に埋めた。

オレは赤い布だった。


「この間は犬と猫、昨日はウサギ、今度はカラスか・・酷いものね・・・・・・」




――――――――――――――――――――――――――――――――――



ここまでが、普通の烏だった頃のオレの最期の記憶。

こんなにはっきり思い出したのは久しぶりだ・・・



そして、気が付いた。






「そうか・・・あのハンカチ、あさなのなんだよ。オレのじゃねーんだ。」


オレたちを、埋めてくれたのが  あさな  だったんだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ