第9話:「それ以外の道」
長考の末、私は王子のプロポーズを受けることにした。
私の当初の目標は
『悪役令嬢になって断罪されること』だったが、
あらためて『それ以外の道』について考えてみた。
もちろん、断罪されるのにも夢はある。
その気持ちは今も心の奥に残っている。
ただ、いわゆる「普通」を体験してみたい、
とも思った。
私は貴族の令嬢が、
どこかの家系の男と結婚して政治をしたり、
幸せな結婚生活を送るのがこの世界の令嬢の
「普通」だと思っている。
それはそれで楽しそうだし、
この王子となら幸せになれる気がした。
そうしたほうが、
人生が豊かになるかもしれないと思った。
一緒にお茶をしたり、仕事をしたり、
時にはイチャイチャしたり。
まぁ時にはうまくいかない事だってあるだろうけれど、それも王子と一緒に解決すればどうってことない。
結果、『それ以外の道』の道も
案外悪くないじゃないかと思い、
今回の決断をした。
後で家族(特にお母様)に
怒られるかもしれないが、
この人生は私のもの。
私が好きなようにする。
「そ、その、これからよろしく・・・・・」
「あ、いえ、こちらこそ・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
いや気まず!