第6話:「縁談会③」
縁談パーティが始まってから20分ほど経った。
「あの伯爵家、裏では女遊びが酷いらしいですよ」
「本当か!婚約者に良いと思っていたが、それなら婚約は愚か、縁を持つ必要はなさそうだな」
私はこんな感じで、色々な場所で悪役令嬢ムーブをかましていた。
この他にも、イイ感じの雰囲気を放っているペアの間に入って、
習得した悪役令嬢技を披露した。
一番効果があったのは私のアレを腕に押し付ける技だ。
押し付けると全員鼻の下を伸ばしてニヤニヤしていた。
男ってのはちょろい。
万年発情期だからな。
ちなみに、練習のおかげで羞恥心なんてものは一切なかった。
「ミスエナ・ホーランド様、ルーカス王子がお呼びです」
どうやら私の出番らしい。
よし・・・
やったるか!!!
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「お前がミスエナ・ホーランドか」
「はい。そうでございます」
ルーカス王子が少し睨んでくる感じで私を見つめていた。
これは悪役令嬢ムーブが効いている良い証拠なのでは?
思ったより王子に伝わるのが早いが、別にいいだろう。
特に問題はない。
「最初は結婚を希望する理由を聞こうか」
「承知いたしました」
ここからは、慎重に考えて言葉を選んで発言しないと、上手く悪役令嬢ムーブが出来なくなる。
集中しよう。
「私が結婚を希望する理由は、2つあります」
「そうか、言ってみろ」
「一つ目は、政略的な意味です。具体的にどんなことかと言うと・・・・・・」
この政略とは、ホーランド領の特徴を最大限に生かしたものだ。
最近、ホーランド領では「スカイス」と言う、
新しい鉱物が大量に眠っている鉱山が発見された。
この鉱物はとてつもなくレアで、日本でいうダイアモンドより希少な鉱物だ。
値段でいうと、1グラムあたり2万から3万フォルンらしい。
あ、ちなみにフォルンとはこの国の通貨の名称で、
1フォルン=1円と考えてもらえば問題はないと思う。
ともかく、この「スカイス」のおかげで、ホーランド領は莫大な収入を確保しており、
どの領よりも、経済が発展しており、いわゆる高度経済成長期真っ最中だ。
これが一つ目の理由だ。
ものすごーく魅力的だと思うが・・・・・・
「なるほど、確かにそれはいいかもな」
おっ!
これはいい感じかも!
それに、少し笑っていたような気が・・・・・・
「二つの理由を言ってみろ」
「あ、はい。承知しました」
まずい、考えてごとしてて反応するの遅くなっちゃった。
これぐらい許容範囲だよね?
ていうか、私の目標は結婚じゃなくて断罪なんだけどね★
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「二つ目の理由は・・・・・・」
「・・・・・・」
ここは間を長めに置くのがいいらしい。
ド変態メイド(アイシュ)に聞いた話だから、
色々な意味で信頼度は高いだろう。
「貴方様を愛しているからです!!!!!」
「ンッッッ!」
あれ?
なんかニヤニヤしてるけど・・・・・・
多分私がキモすぎて呆れてるんだな!
「私は、今日会う前から王子の魅力をすごく感じていて、まるで何年も共に過ごしてきた幼馴染のような気持でした」
「そして、初めて王子の姿を見た時も、私が想像した通りの素晴らしい方で、私は運命を感じたんです!」
その後も、私は王子への "LOVE" を熱弁した。
かれこれ30分は喋っただろう。
最初はドン引きされると思っていたんだが、なんかわかんないけど殿下は終始ニヤついていた。
きっとドン引きしすぎて、一周回って笑ってしまったのだろう。
もう私の、悪役令嬢としての使命は果たせた。
あとは断罪されてこの世を去るだけだ・・・・・
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