第10話:「結婚式」
「カーン、カーン、カーン」
心地よい春風の中に、鐘の音が響く。
周りでは小鳥のさえずりが聞こえ、美しい歌を奏でている。
そして、深海のように深い青色のドレスを着た私と、
美しい純白のタキシードを着たルーカス王子。
私たちを見つめる涙目の家族や貴族たち。
牧師が私と王子を優しい顔でこちらを見て、話し始める。
「あなた達は、病める時も健やかなる時も、お互いを愛し合うことを誓いますか?」
『はい、誓います』
「あなた達は、死す時がくるまで、永遠にそばに居続けることを誓いますか?」
『はい、誓います」
「では最後に――」
「誓いのキスをお願いします」
正直、こんな大衆の前でキスをするのは少し緊張する。
周りから視線を感じる。
早くしないと・・・・・
けど、緊張する・・・・・
「!?!?!?」
私が緊張で戸惑っていたら、急に顎をクイっと持ち上げられた。
そして同時に、唇に熱を感じた。
「キャーーー!!!!!」
来賓の方から、黄色い歓声と拍手が聞こえた。
誰かが号泣してい声も聞こえた気がする・・・・・
「なんだミスエナ、緊張していたのか?」
「別に・・・・・」
「なんだツンデレか?」
「ちーがーうー!!!」
この後、私たちは結婚式を存分に楽しんだ。
ちなみに号泣していたのは顔をクシャクシャにしていたド変態メイドだった。




