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第5章:カーニバルの葛藤 ― 自分を超える観覧車

この章では、レンが「成功」と「自己価値」の本質に迫ります。

楽しいはずのカーニバルが、次第に彼の心を映す「裁きの場」へと変わっていきます。


「カーニバルとは、混沌を祝う祭り――だが、灯りが消えた後に取り残された者は?」


レンは、スローモーションで回るメリーゴーランドの上で目を覚ました。

まるで全世界が止まらぬアニメーションの中に閉じ込められているかのようだった。


音符が空中に舞い、壊れた蝶のように漂っている。

メリーゴーランドの馬には、それぞれレン自身の顔が貼り付けられていた。


【ZONE 1 - カーニバルの葛藤】

【ROUND 2 - カオス・カランボラ】


地面はネオンで、壁は鏡張り。

だが、今回の鏡は彼自身の姿を映してはいなかった。


そこに映るのは、経験したことのない人生――

だが、なぜか「自分の記憶」と感じる光景だった。


「これは……何だ?」


レンは呟いた。

空中に浮かぶローラーコースターの軌道を歩く。

ステップのたびに、ピクセルのガムのような足場が彼を弾き飛ばす。


花火の中に、かつての同僚のホログラムが現れる。


「一番になりたかったんだろ?」

「甥の誕生日を無視して、何を得た?」

「なぜ、まだ走り続けてるんだ?」


カーニバルは、静かな裁判になっていた。


奥に巨大な観覧車型デジタル装置が見えた。

その中心に、若き日のレンが座っていた。ポータブルゲームを笑顔で握りしめて。


レンが近づくと、少年は静かに言った。


「僕は、少しのことで幸せだった。

でも君は、全部を求めてしまった。――それが、今の結果だよ。」


レンは、疲れ切った声で答える。


「ただ……『十分な存在』になりたかったんだ。」


少年の姿が消えた。

代わりに、グリッチしたメリーゴーランド型のドアが出現した。


その先にあるのは、チケットマシン。

「レベルクリア!」と叫ぶ代わりに、ただ一枚のチケットを吐き出した。


そこに書かれていたのは:


「成功は成果では測れない。他人の記憶に残るかで決まる。」


レンはそのチケットを静かにポケットに入れた。

なぜか、それが大切なもののように感じられた。


【ZONE クリア】

■ 結果:内面の審判通過

■ 記憶回復率:33%

■ 解放されたトラウマ:[他者評価依存]


読んでいただきありがとうございました!


次回、レンは「コピーされた自分」との直接対決に挑みます。

現実に背を向け続けた結果生まれた存在との戦いに、彼はどう向き合うのか。


次章「複製との対話」もお楽しみに!


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