第4章:砕けた鏡の中の閃光
この章では、レンがプロト・レンとの初めての「対話」を経験します。
敵として現れた彼は、レン自身の否定された側面の象徴です。
カオスの中で自己受容を始めることで、物語は次の段階へと進みます。
「人が最も恐れるのは、自分自身の本当の姿だ。」
次元ジャンプの果てに、レンはデータと光の渦に飲み込まれた。
地面は存在しない。物理法則は曖昧で、背景にはスローモーションのカーニバル音が流れていた。
まるでブラックホールに取り残された廃墟のサーカスのようだった。
ようこそ、ROUND 2 ― カオス・カランボラ。
このゾーンは元のゲームでは跳ね回る明るいステージだった。
だが、ここではすべてが壊れていた。光は点滅し、ビンゴマシンはプレイヤーの腕をつかもうとする。
そして……鏡たち。
何百枚もの鏡がステージに立ち並び、それぞれ違う「レン」を映していた。
父親になったレン。ミュージシャンのレン。世捨て人のレン。自ら命を絶ったレン。
鏡の前を通るたび、映像の中のレンが現実へ飛び出そうとする。
足元のプラットフォームに弾かれながら、レンは前に進む。
しかし道筋はない。混乱の迷宮に放り込まれたようだった。
その時、笑い声が響いた。
「楽しかったか?オレを操作してるつもりで、いい気になってただろう?」
プロト・レンが現れた。
ついに口を開いた彼の声には、憎しみがこもっていた。
「オレは、お前が本当になれる姿だ。恐れも、モラルも、限界もない存在。」
戦闘が始まった。
プロト・レンは鏡の中を移動しながら現れては消える。
レンの攻撃は全て跳ね返される。
しかし、レンが攻撃をやめ、静かに鏡を見つめた瞬間――
「……何をしている?」
「自分を見てる。初めてだ。敵じゃなく……自分の一部として。」
その言葉とともに、鏡が砕け散る。
プロト・レンは赤いコードの欠片となり、消えた。
それは敗北ではなかった。受け入れだった。
【ZONE クリア】
■ 結果:カオスとの対話
■ 記憶回復率:20%
■ 解放されたトラウマ:[過剰な自己要求]
レンは膝をつく。心も体も、限界だった。
しかし、優しい声が響く。
「残りは五つのラウンド。時間は加速していく。君は……止まったまま。」
そして、まるで「コンティニュー」ボタンが押されたように、次のゾーンがロードされ始めた――。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
次回、レンは「心の遊園地」に再び足を踏み入れます。
そこにあるのは、楽しいはずの記憶――しかし、そこに潜むものは?
次章「カーニバルの葛藤」もお楽しみに!