第2章:目覚めの丘 - 記憶を取り戻すジャンプ
この章では、レンがゲーム内で過去の記憶と向き合い始めます。
敵を倒すたびに、自分の中の「影」が少しずつ見えてくる構造です。
ゲームの中のルールが、彼自身の精神構造とリンクしていく展開にご注目ください。
レンはこの世界での動き方を学び始めた。
各ゾーンには時間装置、汚染されたカプセル、そして進路を変えられる分岐ルートがあった。
時間移動は単なるゲームの機能ではなく、物語のツールだった。
だが、何かがおかしい。
隠された洞窟の中で、赤いキャップを被ったグリッチキャラを見つけた。
名前も目的もないそのキャラは、バグのように震えながら一言だけ残して消滅した。
「彼はすべてを覚えている。お前は断片だけだ。早く逃げろ……さもなくば、ゲームの一部になる。」
その瞬間、レンの脳裏にフラッシュバックが走る。
弟のトオル――小さな彼が携帯ゲーム機で遊んでいた記憶。
母の笑顔――治療を受ける前の姿。
誰にも祝われなかった誕生日の夜。
汚染されたカプセルを破壊するたびに記憶が戻ってくる。
過去へジャンプするたびに罪悪感が襲う。
敵を倒すたびに、それは自身の影との戦いだった。
そしてゾーンの終点。
塔の上から、プロト・レンが無言で彼を見下ろしていた。
彼は何も語らず、リラを包むデータフィールドを起動する。
リラはそのまま吸収された。
ステージクリア。
だが、魂は不完全なまま。
ご覧いただきありがとうございました!
次回、レンは一見楽園のように見えるゾーンに足を踏み入れます。
しかしそこには、「ゲームを終わらせたくない」もう一人の自分の欲望が待っていました。
次章「楽園の罠」に続きます!