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雨星達の交響曲

作者: 檸檬

雨がふる


全て流れてゆけとふる


けれど


こんな夜は思うのです


 ひとつの命を


縢りながらいきるような


溢れる月の瞳を


流れてゆかぬ雨雲透かす朧月を


五月の風がさやさやと


木の葉を揺らして


外灯の小径に降り立つ影のマントも揺れる


雨がふる


全て流れてゆけとふる


けれど


こんな夜は耳を澄ますのです


雨の音があらゆる音をたてるのを


トタンの屋根や、ボンネットの上


竹林、泥濘みに、、カエルも加わります


破れ傘も、ビニール傘も、花模様の傘も


自然の美術さんが創る音


そんな見えない星として


わたしも奏でてみたくなる


月湖のごときに ワイングラスに雨水を、


揺れ落ちる柳の雨露に濡れた指先で


そっとグラスの縁をなぞればグラスハープの音色


風と木の葉のざわめきが水輪を震わせ


月灯りが胸にまで降りてくる


わたしの足元の縁側向いの小径を小さな黒い影が静かに過ぎてゆく


それは月からの使い


一匹狼となりたかった黒猫


足音もなく、鳴き声もなく、遠吠えもせず


今宵の音楽に耳を澄ませる


柳揺れ、雨粒が落ちて


グラスには海月が光り


月舟を海へと誘う


それぞれの音が合わさる、影と光が揺れる


なじり拗ねるわたしの心にさえ、沁み入る


雨音 あめ色 甘露、バラバラ、パラパラ、


しとしとと


今宵雨のひとときは


見えない星達の交響曲を


























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― 新着の感想 ―
タイトルから惹かれました。今年の五月は雨が多かったですね。溢れる月の瞳のように、雨雲越しに映る朧月と、さやさやと木の葉を揺らす五月の風。景色の中に耳を澄ませなくなる気持ちに、とても共感します。 自然…
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