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☆ドキドキ!?人生初の一番くじ☆

作者: 香久山瑠色

一番くじ以外の名称はなるべく伏せています。

 推しのいる人生と推しのいない人生とじゃ、まるで違う。クオリティオブライフに拘わるくらい違う。

 精神疾患を抱える私もヲタを名乗る以上、推しはいる。私は一貫して私というヲタクのことを「オタク」ではなく「ヲタク」と表記する。みんな興味ないかもしれないけど、それにはわりと深いこだわりがある。

 私の中のイメージとして「オタク」と呼ばれる方々は原作リアタイや推しグッズコンプなど、推しを推しに推しまくっているのが最たる特徴であり、それこそ「オタク」の名を冠するに相応しいオタクっぷりの表れだと思う。

 私はその部分に関して、「オタク」と名乗るにはまだまだ甘いと考えているのだ。田舎のおじいちゃんおばあちゃんのコーヒーくらい甘いと思う。

 というわけで、私は自分を一端の「オタク」として認められないため、「オタク」と名乗るのは烏滸がましいと考え、「ヲタク」と名乗るようにしているのだ。

 たくさんの作品が好きで、たくさんの推しがいるけれど、ガッチガチのオタクかと問われると自信がない。推しへの愛は劣っていると思わないけれど、形あるもので表現ができない。私のオタクとしての力量不足が私を「ヲタク」にしている。

 私はヲタだけど、グッズを飾る神棚もないし、推しアニメとかをエンリピしているわけではない。推しの推しエピソードを空で言えたりはするけれど、DVDやBlu-rayは持っていないから、何期の何話の何分何秒の台詞だとかは言えない。「オタク」の皆様はそれができる。神か? と思っている。

 まあ、私の最推しは女性キャラクターなのだけれど、マイナー寄りのメジャー作品のサブキャラクターという何もかもが微妙すぎる立ち位置でしてね……言い訳がましいことはしたくないのだけれど、大人気とまではいかないまでも、ハマる人は絶対にハマるツボが抑えてあるキャラなので、グッズがちょっとしか出ないのに情報手に入れる頃には売り切れているんですわ。悔゛じい゛!!

 情報収集能力が低いのでグッズ戦争に勝てない上に、そもそも貯蓄がないので貢ぐことがそもそもできないんですよね。推しに人生の全てを捧げるのが史上のオタ活とは思うんですけど、まず最低限の生活はできないと。

 推しは推せる範囲で推せって言葉もありますから、高望みなんてしなくても、私は「オタク」を名乗ってはいいと思うんです。でもね、でもね……


 私だって推しの神棚作りたいよ!! グッズ強者になりたいよ!! 推しを崇め奉りたいよ!! 周囲にドン引きされるレベルのオタ活を、一度でいいからしてみたいよ!!


 というわけで、ちょろっとだけお仕事をしていただいたお給金で、「オタ活」として憧れの一番くじを引きました。私にしては散財しましたよ。

 一番くじ! オタクたちは景品を求め、コンビニを流離う……謂わばグッズ戦争の最先端にして最高峰! 人気シリーズ作品であればあるほど札束が飛び交う。飛び交うあまりに、一時は購入回数制限が設けられたほど。

 そんな一番くじという娯楽は、私にとって、テレビの向こうのアイドルくらい遠い存在でした。けれど、私は見つけてしまったんです……

 推し作品の一番くじが近所のコンビニでやっているのを!!

 しかし、私にはいきなり爆買いをする度胸も根性もなく、千円札握りしめて、「一回七五〇円」の文字にびびり散らかしていました。ご覧ください。これが田舎のいも臭いヲタの姿です。

 一昔前は一番くじって一回五〇〇円のワンコイン娯楽じゃなかった? 消費税とかそんな高くなった? 私の知っている価格の一・五倍の値段のくじ交換券を握りしめて、コンビニのレジに並ぶ。千円では一回しか引けないけれど、何事も経験。

 えいや、と並んでから、目が平坦になった。一つしか稼働していないレジを打っているのは慎ましやかな毛量のおじさんだったのだ。なんだろう、私の人生初一番くじ、このおじさんに見られるの? おじさんは何も悪くないけど、なんか嫌だ!(完全なる偏見である)

「お待ちのお客様、こちらへどうぞー」

 そうしてもう一つのレジについてくれたお姉さん、マジで天使だと思った。年齢も近いし、朗らかで接しやすい。ヲタである以前に人間として小心者である私に射した希望の光。ありがとう、生きててよかった。まだくじ引いていないのに私は満足していた。

「何回引きますか?」

 さっと一番くじの箱を出してくるお姉さん。私はキョドる。

「あ、えっと、あの、はい、い、一回……」

「はい、一回ですね。七五〇円になりまーす。千円からのお預かりでーす。二五〇円のお返しになりまーす。では一回引いてください」

 すげえ、引いていいんだ……! と感無量になりました。はよ引けって思います。

 私はくじ運はわりといい方です。ゲームのガチャとかも課金なしでわりといいカード引いているので、家族からは口を揃えて「この引きで引き悪いとか言ったら課金勢に●されるぞ」「相変わらず引きいいね」「神引き……」と言われます。運だけがいいのが自慢です。

 で、えいや、と引いた私の神眼で見て引いて出た人生初一番くじは……F賞!

 ビミョー……と皆様言葉を失くすかもしれないが、初引きでこれはそこそこすごいですよ。A賞とB賞が残っていて、C~E賞までの景品が見当たらない中でH賞まであるのにF引く私。F賞はハンドタオルですし、実用性も抜群。

 しかも、なんと店頭にある中から好きなキャラのやつ選べるんです。

「どれか一つ選んでください」

 選んでいいんだ!? と困惑。けれど、じっくりと見て、さすがに今シーズン大活躍だった推しの姿がないことを確認。でも、そのシリーズで莫大な人気と経済効果を誇ったあのキャラのが、ラス一でありました! これをここで選ばないなんてあり得ない!

「これにします」

「はい。こちら、引換券の控えですので、お持ち帰りください」

 あっ、くじ捲ったやつって半券みたいに持ち帰るのね! なるほどー!

 というわけで超社会現象作品の一番くじで景品ゲットした私。これで終わりかと思いきや。

 車に戻り、ヲタクのお決まり、開封の儀を執り行い……変な声出た。

「ひょえほわひえっほおっ」

 みたいな声が出ました。マジで。

 なんでって、景品のハンドタオル、めっちゃ触り心地がよくて……びっくりしてわたわたやった果てに取り落とすほどの衝撃の肌触り。

 ハンドタオルでこれってなかなかやべえなって思いました。訳もなく鞄から出して、その滑らかさを体感している自分がおります。マジで癒しです。


 数日経って、お給金を全て一番くじに捧げることにした私。といっても、シナリオライター募集のテストライティングでもらったものなので、五千円です。それに貯金の千円を加えて、八回引いてきました。結果ランダム景品のG賞H賞で推しを引くという大金星。「相変わらずすごい引きしてんな」と家族に言われました。

 A賞もB賞も推しではないので、ある意味これでよかったのだと思います。推しのフィギュアはラストワン賞なんですけどラストワンまで引く財力ないですし、推しグッズが引けただけで私は大満足です。

 貯金財布の残金がぐっと減ってびびり散らかしたので、やはり私は慎ましくヲタ活を続けたいと思います。

 人には人のヲタ活。一番くじ楽しかったです。

 以上、ヲタクの初めての一番くじでした。

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