二学期も歩きたい
新学期というのはまたしても学校が始まるという悲しい現実ではあるけれど、実は少しうれしさがあったりする。
久しぶりに登校する教室は新鮮だし、数日も会っていなかったクラスメイトと顔を合わせるのはやっぱり喜びがある。みーちゃんと新は夏休みもよく会っていたから、鮮度は落ちるけれど。
教室の自分の席に座り、始業式までの退屈なホームルームを聞き流す。
体育館に移動すると、始業式が始まる。結局始業式も退屈だった。
今日の学校はこれだけ。これだけならリモートでもいいんじゃないかと思うのだけれど、登校することに意味があるらしい。私の知ったことではない。教育委員会の知ったことだろう。
下校時間になる。
新は早速部活らしい。スポーツに打ち込める姿はかっこいい。
みーちゃんはバイトだと言っていた。ころころバイトを変えているので、今は何をしているのかは不明。今度聞いてみよう。
私はいつもより早めに帰り支度をした。立家君がこっちに来そうな気がしたから。
今日は教科書も持ってきていないし、カバンに入れるものも少ない。
ささっと済ませると教室をでて、階段を足早に降りる。
なかなかいいタイムをたたき出しているのではないだろうか。
ロッカーで今日持ってきた上履きからローファーに履き替える。
そして校舎を出る。
「やあ、小花さん。帰ろうか」
くそお。先輩の方が早かったか。
「はい、砂川先輩。帰りましょう」
息を整えて私は答えた。
別に急いでなんかいません、というスタンスを保ちたい。
先輩が歩きだす。
その隣を私が歩く。
独特なスタイルを貫くため、周りからスペシャル――略してスペと呼ばれる砂川先輩。
私はこのスぺ先輩の隣を歩きたい。