序章
この小説にはグロテスクな表現があります。
残酷な描写や、不愉快な表現がお嫌いな方は読まない方が良いです。
雨に打たれていた。まるで滝のような雨。
夜の摩天楼の狭間にすらも降り注ぐ雨粒は、私の汚れを綺麗に洗い流してくれるのだろうか? いや、それは無理な話だろう。
何故なら、目の前に映るこの光景こそが私の汚れであり、洗い流し、消し去ることなんて出来るわけがないからだ。
ーー私は、目の前に映る光景に対してこう言う。
「あなたは不運なだけだった。好奇心で私に付いて来て、こんな場所にまで来て。……そう、あなたは交通事故にあったようなもの。だから私を恨まないで、恨むなら自分の運の無さを恨みなさい」
目の前に居るあなたはうんともすんとも言わない。
いや、発せない。
言葉を発する口が無いから。
それどころか、私の言葉に対してリアクションも起こさない。
いや、起こせない。
聞く耳も、見る瞳も、動かす体も無いから。
「……あなたは私に会った。そしてこんな状態になってしまった。その一連の責任はあなたにもあるけれど、私にもある。だから……ごめんなさい」
目の前に映る紅の光景は、夜の月に照らされてまがまがしい光を放っていた。
肉塊と共に。