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二三四
食べ終わった。
会話はもちろんなかったよ。
椅子から立ち上がった婆は腰が痛いのか
しゃがんで腰を抑えてやがる。
決行の時間だ。
台所の引き出しを開けて荒れた手つきで包丁を取り出す。
それと同時に引っ掛かってきたハサミが床に落ちた。
怖かったわけじゃないよ。
怖かったわけじゃない。
包丁を母親に渡した。
受け取った母親はすぐさま椅子から立ち上がり
体勢の変わらない婆の背中に
それを突き刺した。
それだけのことだ、特に変わったことはない。
変わった様子もない。
ただ
婆は何故か
『あいうえおかきくけこさしすせそたちつて─』
と言ってぶっ倒れやがった。
勝手に。