ラサ
649年チベット
——吐蕃王国首都ラサ——
ラサからは
世界一高い山とされる
霊峰チョモランマが見え
その世界の屋根に相応しい絶景に、
イートニャン一行は目を見張る。
目の前には天空の中で、
そびえ立つポタラ宮殿があり
幻想的なチベットの
清冽な山麓と雲海が、
そこに広がっているのであった————
「……寒いわ。
凍えちゃいそう(>_<)」
「そりゃ博士は裸ですからねぇ。
お尻ぐらい隠したらどうです?」
イートニャン一行が、
朝の山中を歩いていると、
それは唐突に起こった。
「あぎゃ!」
「地震!?」
大地が縦に大きく震え、
八百が辺りを警戒する。
「レディお怪我はないかね?」
盛大に転び地面の窪みに
頭から嵌り込んでいるイートニャン。
そんな事はさておくように、
ドラクルがよろめいた八百に
丁重に手を差し出し気遣う。
「ええ、私は大丈夫……」
「ちょっと!?
あたしの心配もしなちゃぁぁい☆」
地面から起き上がったイートニャンが、
ドラクルに抗議してみせる。
が、八百もドラクルも、
それ以外のメンバーの視線は
イートニャンとは明後日の
方向に注がれ、とっさに振り向く。
「あら、このおじちゃんは……?」
一同の前に山吹色の
ゆったりとした衣装を着た、
菩薩のような老人が
イートニャンらへ微笑んでいる。
その左右両脇には天女のような
長衣を着た美女二人がたたずんでいた。
「待っていたぞ。
猫の魔獣とその一行よ」
「いいよ待ってなくてもw
いつ来るとか予告してないんだから!」
老人はイートニャンを見つめ、
にっこり笑って見せる。
「ワシは、この吐蕃王国の王。
ソンツェン・ガンポである」
「ソン・ゴクウの親戚かしら☆」
「んなわきゃねーだろw」
「ソンツェン・ガンポ……
チベットを統一し、仏教を
本格的に広めた王ですよ博士」
のほほんとした老王と
イートニャン、
そして悟空を尻目に、
八百が解説をする。
同時にソンツェン・ガンポという名と、
老王の着物に刻印された文様を見て、
何かを察したかのように八百が
姿勢を正して首を垂れる。
「私は八百比丘尼と申します。
吐蕃の民を救わんため悪しき者を倒しに
遠路、はせ参じました……!」
「あれ、このおじちゃん、
もしかして、お知り合い?」
「おそらく、この方たちは
八百さんの組織の関係者ですよ」
イートニャンの肩でポテチをカジる
ホムンクルスが耳元で囁く。
「そう言われてみりゃ、
両脇のゴージャスな姉ちゃんの服装、
八百の姉貴にそっくりだなぁ」
「……あなた方を妾も、
お待ち申しておりました」
右わきに控えた、
色白の豊満な仙女が
凛とした仕草で頭を垂れる。
「さぁ、まずは宮殿にて。
積もるお話は、それから始めましょう」
続けて左わきに控えた、
褐色のスレンダーな仙女が、
にこやかに笑う。
どうやら早速、共同戦線を
張れる八百の組織の関係者と
出会えたようである。




