ブラフマン
しばらくすると、
今か今かと大会の開催を
心待ちにしているプレイヤー達を前に、
司会進行は零自身がノリノリで務める。
「ヘイ、今回は
堅苦しい公式戦じゃないよ!
エキシビションマッチさ!」
零のトークで会場も一気に盛り上がる。
ヴァカは参加プレイヤーの顔を確認したかったが、
みなすでにプレイする筐体に入ってしまったらしい。
せめてブラフマンのプレイヤーには、
ゲーム前に挨拶くらい済ませておきたかったが、
ヴァカと同じであまり人前に
出たがらない性格なのかもしれない。
「しょうがない、
気を取り直してやりますか」
指定された筐体に入り、
ヴァカは画面を起動すると
自身のIDを入力し戦闘準備を手早く整える。
「バトルスタート!」
零の合図とともに大会の開始が告げられ
会場に集まった観衆から声援が送られる。
その中にはブラフマンへの声援も混じっていた。
やはりこの界隈では相当の有名人らしい。
今日こそはリベンジを果たし、
その素顔を見てみたい。
ヴァカは、はやる気持ちを抑えながら、
ゲーム内で自分のアバターを動かし、
襲い来るライバルたちを淡々と
倒しながらクイズを解いていく。
「あ、いたいた……」
しばらくフィールド内を駆け回っていると、
アバターの上部に表示される名前に
ブラフマンの文字を確認し、
ヴァカは手持ちのカードを
確認して攻撃を仕掛ける。
「さぁ復讐のはじまりよw」
これまで戦ってきた戦術から考えて
ブラフマンはあくまで接近戦のバトルには弱い
知能派であるとヴァカは見なしている。
つまり基本は自分と同類であると————
「おっと、わざとらしい罠なんか
しかけちゃってブラフのつもりかしら。
それならその隙を突いて……」
そんな一進一退の
ブラフマンとの闘いの最中、
もう一人のプレイヤーが乱入して来る。
「天才のこの僕が、
きみ達に勝利する時が
やって来ましたよ!」
チャット画面に挑発的な文言が踊る。
『ばじりすく』と表記された悪魔型の
アバターがヴァカとブラフマンを、
ヒットアンドアウェイで
翻弄するように攻撃を仕掛ける。
「あんもぉ☆」
ばじりすくは漁夫の利でも
狙っていたのであろう。
二人が消耗したと見計らい、
今になって姿を現し
ヴァカとブラフマンを
一網打尽にするつもりなのだ。
しかし、その思惑は外れた。
奇襲に二人はすぐに対応し、
一時的だが息の合った共闘をして
ばじりすくを共に打ち倒す。
「この借りは、いつか
返しますからね!」
突然の邪魔者を排除し、
ヴァカとブラフマンが向かい合う。
すでに残ったプレイヤーは、
この二人のみとなっていた。
共に体力もカードも消耗して、
後一撃で勝負がつくのであろう。
両者のアバターが決着を
つけんと飛び掛かる。
そして———




