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イートニャン  作者: 坂本龍馬♀
―アメリカ―
27/273

incident2:エロ屋敷



「なるほどぉ、わっかりました。

この真夜中の山野に美女を

追い出すというのも酷な事。

ひとまずお入りください。


夜が明けるまでは、当屋敷に

お泊めしましょうぞ!

いーっひひひ」



玄関先に立っていた白髪交じりの

ロマンスグレーの男が口を開く。



「やった! 

なんとお礼を言っていいか……」



とりあえずは泊めてくれるという

紳士的な決定に八百は緊張を

ほぐして深々と頭を下げた。


しかし、他の人々の中には、

かえって不安と疑いを

募らせる者もいた。



「正気か旦那?

()()()()が起こった後だってのに……

コイツらどう見ても不審者だぜ!」



カウボーイ風の大男が

苛立ったように漏らす。



「そうイキり立つな。

屋敷の主の決定だ、我々が

口出しする事ではない」



山高帽にフロックコートを着込んだ、

無精髭の男が大男を諭す。


が、柔和な態度とは裏腹に、

その眼光は恐ろしく鋭く、


八百とイートニャンが

何者であるかを探ろうと二人に

容赦なく注がれているのであった。




————ロビーに案内された二人。


内部は古めかしいインテリアで、

現代に近い雰囲気を感じ取る。


タイムマシンのユニットでは、

この時代が19世紀の

後半との事であったが、


現代でも味わいのある別荘として

通用しそうに見えた。



「……紹介が遅れて失礼した。

私はアラン、君たちは?」



無精ひげの男が、山高帽を脱いで

軽く会釈をし名を名乗る。



「私は八百、日系人です。

こっちはイート=にゃん。

インカ帝国あたりの末裔です」



改めて屋敷の人々へ自己紹介し、

受け入れてくれた事を

重ね重ね感謝すると、


玄関に集まった六人はそのまま、

屋敷のロビーに集まり手短に

二人に自己紹介を始める。



背筋のぴっしりした

ロマンスグレーの初老の

屋敷の主人の名はエローズと名乗り、


もともと富豪の別荘だったこの屋敷を

買い取り、宿として経営している。


特に女性が大好きらしく

従業員は女性しか雇わない

というスケベ信条を持つ。


宿主の名にちなみ、

さしずめここはエロ屋敷と

いったところであろうか。



そのエローズの傍らに隠れ、

未だ二人への警戒の念を

あらわにしている栗色の巻き毛の

十代半ばくらいの少女がサラといい、


雇われメイドとして、

このエロ屋敷で働いている。



背が低く寡黙な老夫妻が

エドマンド・スミスと

アンナ・スミス。



そして、先ほどから最も

二人に疑いの目を向けている

大柄な男はビルと名乗る。


食肉業者で、元は中西部で

カウボーイをしていたという。



一区切りがついてか、

アランはテーブルに腰をかけ

コーヒーを飲み干す。


八百とイートニャンも、

アランと同じテーブルで

メイドのサラが運んできた

コーヒーを飲み、ようやく体を休める。



「ぷはー五臓六腑に染み渡るぅ☆」



八百が先ほどから

気になっていた事を

アランに問いただす。


イートニャンの

容貌のせいもあるものの、

どこか屋敷全体が異様に

殺伐としているが、


カウボーイのビルが言っていた

『あんな事』というワードに、

原因があるのは薄々気付いている。


そんな中でアランが

重々しく口を開く。



「実は今、色々と取込み中でね。

口で説明しても良いが、君たちに

是非見てもらいたいものがある。

エローズさん、よろしいですかな?」



「いーっひひひひ……」



八百にじろじろ

視線をおくりながら

怪しい笑みを浮かべる

宿主のエローズ。


一方、ロビーに集まった全員は

沈痛そうな表情を浮かべている。


アランは屋敷内の一室を指さし、

自ら八百とイートニャンを案内した。




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