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狼煙 -在-
「ゴミィ先生、メサイア博士が!」
時を同じくして医務室では、
血まみれになり、もつれあいながら
八百とメサイアがお互いに息も
絶え絶えに床にへたり込んでいた。
「……気休めは要らん、どうだ?」
「手遅れだよ」
意識を取り戻したメサイアが
ゴミィに向かって声を絞り出すと、
昨夜ドラクルとの出来事を思い出す。
『ハレルヤ達と共に祝杯を
挙げる事は出来なかったな』
後悔の念で夕暮れ時の窓をのぞくと、
雲海の中に白と黒の無機質な点をとらえる。
ハレルヤのアルブスと
イートニャン、アリスのニゲルが
今まさにファルザードに向かって
飛ぶ姿がメサイアの瞳に移った。
『来世があるというならば、
もう一度彼らと会ってみたいものだ————』
「博士!」
すでに冷たくなった
メサイアを八百がゆすると
ゴミィが、メサイアの瞼を
そっと閉じてみせる。




