狼煙 -陣-
「……大丈夫かね」
「ええ、でも今のは一体!?」
アルゲントゥムの火力と
八百のアシストで、飛龍の眷属を
全滅させたメサイアであったが、
強い光にかつてない異変が、
この都市を襲っていると感じとる。
「私にも分からん。
それに電波の乱れで通信が出来ん。
司令に現状を報告せねばな」
「そうね、
急ぎましょう博士」
メサイアがブリッジに
近づこうとした直後、
アルゲントゥムの脚部が
内部から爆発する。
「なんッ!?」
モニターに敵の姿らしいものは無く
周囲から攻撃を受けた形跡も無い。
では、機体の整備不良なのであろうか?
几帳面なメサイアに限って、
そんなミスをするとは考えられない。
「……あ、あなた!
どうしてここに!?」
必死に索敵を行っていた八百が、
物影に隠れていた狐の姿を捉える。
先ほどから続く電波障害で
通信どころか、レーダーまでもが
機能不全をおこしていた。
この隙に狐はメサイアと八百、
そして機神の索敵機能に気付かれず、
アルゲントゥムの脚部へ爆薬を
取り付け起爆したのである。
「貴様……
理由次第では刺し違える
覚悟でいくからな!」
脚の動力部を完全に破壊され、
アルゲントゥムが思うように
動けずにいると
金色に輝く機神が現れ、
男の声が響く。
「ご苦労だった、メサイア」
「き、機神アウルム!?
アレは性能に問題があり封印したはず。
教授が何故それを————」
取り乱したメサイアが思わず、
かつての肩書で呼びかける。
「ふふ、さしもの私も
操縦するのに苦労したよ。
なにせあまりのオーバースペックに
この大陸を壊しかねんからな。
あとは製作者である君を葬れば、
他にアウルムの自爆コードを
知る者は居なくなる。
これで脅威となる者は
全て消え、私の勝利だ」
男の満足そうな言葉と共に、
レーザーガンの照準が
アルゲントゥムに定まる。
「何を言っているの!?
メビウス総司令!」
「いかん!
降りろ八百君!」
いざとなれば自身の命さえ
捧げても惜しくない。
そう忠誠を誓ったかつての
師であり司令となった
男の言葉にメサイアは
今になって思惑を悟る。
メビウスは
狐からの情報で、
メフィスト陣営と
イートニャン陣営の情報を
初めから知り抜いていた。
邪魔な勢力同士を上手く
タッグで組み合わせたのも
共倒れに誘導させるための
仕掛けである。
「しね」
飛龍、メフィスト、
イートニャン、そして天人、
全てを出し抜き、
手の平で躍らせた黒幕が
銃の引き金を引くのであった。




