狼煙 -臨-
————時は少しさかのぼる。
イートニャンと
ハレルヤの別動隊が
アスモデウスと遭遇する直前。
ファルザード内部はすでに
何体かの飛龍の侵入を許し、
悟空やドラクルが
飛龍と戦っていた。
「くっ、アリスが
いてくれたなら……」
機神を知り抜いている
メサイアとはいえ、いつも複座で
サポートしてくれていた妹の
不在は大きい。
「一旦、格納庫へ戻りたまえ。
機体の損傷、いや、それ以前に
君自身が持つまい」
ブリッジで指揮をとるメビウスが、
メサイアに撤退を命じると、そばに
控えていた八百が声を上げる。
「メビウス総司令!
アルゲントゥムまで
行ってきます!」
「……どういうつもりかね、八百君?」
「私もイートニャン同様、
魔人のようなものだからです。
アリスさんほどでなくとも博士を
サポートできるはずです!」
72柱の一匹ヴェパールの
稚魚を食べて、不老不死となった八百が、
モニターでのイートニャンのニゲルとの
融合を見て、自らアルゲントゥムの
複座に志願する。
「「今は猫の手も借りたい。
ありがたく受けさせてもらおう」」
同じく魔人と機神の融合を
モニタリングしていたメサイアも、
その衝撃から性格的な角が取れたのか
申し出を快諾すると、
アルゲントゥムが一時的に
戦線から離脱し、八百を
搭乗させるため帰還する。
「……さて、突然の
実戦になるが、覚悟はいいな?」
複座に乗り込んだ八百に、
疲労困憊のメサイアが声をかける。
「もちろん、私も
伊達に生き残ってきた
訳じゃありませんからね」
八百が機銃の照準システムを
操作し、背後から襲ってくる
飛龍をレーザーで撃墜してみせる。
機械に強い訳ではないが、
イートニャンとの旅を補佐する過程で
タイムマシンの整備を手伝う中、
得体のしれない機械を直感的に
扱う事にすっかり慣れていた。
「いいぞ、索敵機能が
飛躍的に上がっている。
このまま押し切るぞ!」
八百の存在に機体が
上手く共鳴したらしい。
サポートで息を吹き返した
アルゲントゥムが、次々に
飛龍を撃退していくのであった。




